戻ラヌ日々
話が進む速度が遅い。もう少し早くしたいなぁ。
今回はプロローグ後半の二日前のお話です
-お前は悪魔だ-
-神?違う-
-確かに邪神と呼ばれる存在もいる。全ての存在が良いものでないことくらい知っている-
-だがな、貴様のそれは言葉にするのも憚れるモノだ-
-もう一度言ってやる-
-お前は神などではない-
-お前は悪魔だ-
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
何だか久しぶりに制服を着る気がする。そんなことはないと言うのに。
昨日、あれから俺は本当に何事もなく家に帰れた。いつでも詠唱を唱えれるように周りを警戒していた。それこそまるでバカのように。なのだが、本当に何も何事もなく無事に帰路に着いた。以下回想。
『おい待てよ!帰っていいってどういうことだ!』
『どういうことだって……そのまま意味だが。どうせ向こうもまだ表立って動けないんだ。むしろこそこそ身を隠す方が連中もお前を襲いやすくて助かるんだよ。だから堂々としてろ。日常を謳歌だっけ?取り敢えず現状は戦わなくていい』
『……いや、でもさ』
『安心しろ。お前はまだ殺されない……はずだ。仮に殺されたとしても体は残る』
『……待て!いや死ぬんだぞ!体残っても意味ないだろうが!ってかはずって何だよ!?はずって!すげぇ怖いんだけど!』
『……あ~うん。まぁ、大丈夫だろ』
『大丈夫じゃねぇよ!!』
以上回想終了。その後グレイブと数分ほどもめたが結局、俺が説得され帰宅。家に帰り着き、莉桜と綾乃に何も説明できずにただ詫びることしか出来ずに情けなかったのは一応微笑ましい記憶だ。……多分。きっと。うん。
リビングから妙に焦げた臭いがする。あぁ莉桜が料理したんだな。
「……おはよう」
「あ~おはよう結君。これ……どうする?食べる?」
「いっ、いいもん!私が食べるって!」
「いや俺も食うよ。いただきます」
莉桜の料理は食べられないほど不味くはない。綾乃が美味しいだけだ。
「お、男前だねぇ。このこのぉ」
「茶化すなよ。不味いけど食えないレベルじゃないだろ。腹壊しそうだけど」
「不味いって言わなくてもいいじゃん……て言うかお腹壊さないし!」
莉桜を無視して食事を続ける。トースト以外全部不味い。ああ、実に平和だ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
だが平和なのは一瞬だけだった。俺はテレビのニュースである意味現実に戻る。
『次のニュースです。先日起きた家屋の倒壊事故の続報です』
「やっぱりこのニュースだよね……」
「ホントに大騒ぎになったからね。あれだけ家が一気に壊れたのに目撃者ゼロ。しかも近くで車が爆発。と言うかよく事故で放送できるね、これ」
「確か水道管の破裂事故も関係してるんだよね?」
「そう言われてるだけ。詳しいことは分かんないけど」
「……」
そういやレオグルスにぶっ飛ばされた結果これなんだよな。あの時のレオグルスは本気じゃなかった。もし、本気になったら?もし、多数対多数の混戦になったら?被害のほどを考えて止めた。不毛だし、考えたくもない。一体この国の税金がどれほど消えるのやら。
(水道管の方は多分グレイブがやらかしたんだろうなぁ。ま、俺には関係ないか……)
そんな風に一人思考に更けていると、莉桜が顔を覗き込んできた。
「ユウ、どうしたの?顔暗いよ」
「ん、何でもない」
莉桜がどこか心配そうな顔で俺を見つめ、綾乃は訝しむ目で俺を睨んだ。気まずいと感じつつも学校へ向かった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
同時刻
「……あのバカ娘は……」
「いない……わね。あとそう怒らないでよグレイブ」
神社に来ていたグレイブとアイクは目当ての少女が消えてイラつく。訂正、イラついているのはグレイブだけである。
「悪い、アイク。多分あいつ学園に行った筈だ。見に行ってもらえないか?」
「学園って結名くんが通ってる?」
「ああ、昨日少しだけ結名の事を話してな。そのせいかもしれない。と言うか結名の所以外に考えられない。むしろ考えたくない。ってか考えさせるな」
「グレイブ~だいぶイラついてるわね。落ち着いて」
髪をかきあげ少々声を荒げながらその場を去るグレイブ。そんなグレイブを目で追い苦笑しながらため息をつく。
「それじゃ私は結名くんの所に行こうかな」
アイクは結名とあの娘ならどんな会話をするだろう?そんな事を考えながら篁学園を目指した。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
グレイブは異様に長い神社の階段の中間当たりで声をかける。先程までのイラついた声音ではなく凛とした殺意を込めた声音だ。
「バレてんだよ。とっとと出てこい」
「ッチ……結構気配消せてたつもりなんだがな。どこで察しやがった?」
戦闘用の丈の長い黒のスーツに身を包んでいる雰囲気が暗紫色の男_レオグルスが姿を現した。
レオグルスは嫌そうに、でもどこか嬉しそうにグレイブへ疑問を投げる。
「確かに気配は全く感じなかったよ。現にアイクは気付いた様子がなかったしな」
「だろ?なら何でテメェ俺に気付きやがった?説明がつかねぇよ」
ハッ、と不敵に笑いながら階段を降りレオグルスの背後に立つ。グレイブは顔だけレオグルスに向け説明する。
「お前と俺が十三器を持っているから。分かるんだよ自然と、本能ってやつ?『こいつは俺と同じだ』ってな。お前も感じてるだろ?」
「……ああ。なるほど、この不愉快な感覚はそういうことかい。
じゃあもう一つ質問だ。何でテメェがそれを知っている?おかしいだろ、十三器を研究していたトールや年齢バグで生まれつき魔面を持ってたエルネストならともかく、ただ魔銃を所持しているだけのテメェが何でだ?それにどこで魔銃を手に入れた?」
「おいおい、教えると思ってんのか?第一それを俺から聞き出すのがお前の仕事なんだろ?」
「……ハッ、ハハハ!悪りぃ悪りぃ。確かにそりゃそうだ。違ぇねえな」
ククク、と堪えるように楽しそうに笑うレオグルス。刹那、笑いの質を変えグレイブを睨む。その笑みは実に好戦的だった。
「んじゃまぁ、ご要望通りテメェの体から聞き出してやんぜ。逃げんなよ?追うのが面倒だからな」
「約束は出来ないな。したところで信じないだろお前?」
二人とも完全には振り向いておらず視線と殺気だけをぶつけている形だ。
風が一瞬だけ強く吹く。そして、
『創れ血よ 階位九位『魔晶』』
『創れ血よ 階位十三位『魔銃』』
グレイブは振り向き様に魔銃を連射。レオグルスはそれを跳躍し躱す。
「目当てはあの織崎って四位のガキだったが、まぁいいさ」
レオグルスは体から魔晶を生やし、グレイブを見つめ嗤う。
「殺り合おうや。精々お互い楽しもうぜ」
レオグルスは魔晶を飛ばし連撃とばかりにグレイブへ殴りかかる。グレイブはそれを受け流し、レオグルスへ乱射する。狙いは足止め。レオグルスもそれを察した。
「おいおい、足止めなんてそんな勿体ぶってないで全力で殺しに来いよ。つまんねぇだろ?殺るんならお互い本気で殺ろうや」
「悪いなレオグルス。今の結名じゃお前ら相手に勝てないんだ。だから一番弱い奴を相手に経験積ませなきゃならないんだよ。」
「……なるほど、フェリスか」
「そ、だからそれまで俺で我慢してくれ」
グレイブの考えを察しレオグルスはつまらなさそうに言う。
「ま、確かに。今のあのガキじゃ手ぇ抜いた俺やエルを相手にしてそれなりに食い下がれるのが関の山だろうよ。だけどな、おい。テメェはあのガキを、それこそ一日二日で強くしようてっのか?俺やお前クラスまでに?
そりゃ無理だ。現実見ろよ。人ってのはそんな急には強くなれねぇ。もし、強く成れたんならそりゃ人間様々じゃなくてただの『化け物』だ」
予言の話が本当なら化け物でも不思議はねぇけどな、レオグルスはそう締め括った。
それを受けグレイブは-
-ババババババババババッッ!!
魔銃を乱射、連射。レオグルスは魔晶を地から壁の様に展開し銃弾を全てグレイブへ跳弾させる。その魔弾をグレイブは苦もなく全弾撃ち堕とす。
「やっぱりこの程度威力じゃ弾かれるか」
グレイブは魔銃を軽く一瞥する。
「レオグルス、もう少しだけ付き合ってやる。結名を殺りたいんだろ?なら先ずは俺を殺せ」
「ハハハ、いいぃや。予定変更だ。今日はテメェを殺る。あのガキはそれからだ」
グレイブは銃を構え直してレオグルスに銃口を向ける。
「ククク、ハハハアッハハハハァ!!」
レオグルスは魔晶を両手両足に生え伸ばし野獣めいた我流の構えでグレイブへ殺気をぶつける。
「行くぜ軍服野郎」
「来いよチンピラ」
魔銃と魔晶の激突はまだ終わらなかった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
昼休み 篁学園
髪がなびく。今日は風が少し強い。私は溜め息をつく。昨日から何度こんな溜め息をついたか分からない。
(織崎君……)
何故?純粋にそう思う。何故あの少年がこんな戦いに参加する。そんな理由があるのか?あんな化け物達の戦いを戦い抜くだけの重い理由があるのか?それは自分の命よりも大切なのか?
(それでも私は止まるわけにはいかない……)
仮にあの少年と敵対することになっても私は……
「なーにを思い詰めてんですかフェリス先輩?美人さんが台無しですよ?」
「真条さん……」
ニコニコとした顔でこちらへ声をかけてくる少女_真条綾乃。結名の生け贄ではない方の幼馴染み。
「……あなたには関係ないと思うけど?」
「う~ん。まぁね」
苦笑を浮かべると更に近づく。
「ねぇフェリス先輩?なにがあったの?」
「……」
「……もしかして結君の夢の事が関係している?」
「何であなたがそれをッ!?」
言って気付く。しまった、そう思っても遅い。目の前の少女は笑いながら更に畳み掛ける。
「あれ?私は結君の夢の事としか言ってませんよ?」
分かりやすいな、自分でも自覚している。だが、ここまでとは思わなかった。
「ま、いいですけど。あ、ここからは私の独り言ですから気にしないで下さいね」
そう前置きをすると彼女は饒舌に語り出す。
「結君は最近悪夢を見るらしいんですよ。その悪夢の内容は莉桜ちゃんが目の前で殺される事。それはいいんですよ。結君なら良い結果にしろ、悪い結果にしろどうにかするって信じてましたから。でもそれを語っている時の結君を見て怖くなりました。
いやいや、びっくりしましたよ。だって結君のあんな目久々に見たんですから。あんな人を殺しそうな目をした結君。それで夢の話を信じましたよ。あれで嘘をついているなんて疑えるわけがない」
「何が言いたいの?」
耐えきれない。あまりにも話が長い。苛立ちを隠さずに尋ねる。綾乃は私の顔を真っ直ぐに見つめながら言葉を続ける。
「昨日の騒ぎは知ってますよね?」
「ええ。それが?」
「もしかして先輩と結君、二人とも関係してます?」
まるで夕飯を聞くかのような気軽さで核心へ迫る。
「……あなたには関係ないわよ真条さん」
「ま、そだね。んじゃバァイバイ」
そう言って屋上から彼女はを去る。振り返りはしなかった。私も追いはしなかった。彼女以外の気配を感じたから。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ふーん、そっかそっか。なるほどね」
分かりやすい人だと思う。だからほとんど察しはついた。先輩とあの愉快な幼馴染みは何かとてつもない事に巻き込まれている。ならばどんなことに巻き込まれているのかを調べなければ。
「まずは情報を集めなければ話にならないかな」
彼が語った夢の話。アレが事の発端の筈だ。最初はそこから調べよう。その次は……
「さてさて、どうしようかな。全くいくつになっても退屈させてくれないなぁ結君は」
(あの人にも教えようか……でもそんな事したら結君に何されるか分からないなぁ~)
「あはは」
楽しくなってきた、そう思い頬を綻ばせながら綾乃は行動を開始した。
綾乃は午後からの授業を受けずにそのまま帰っていった。結名が何に巻き込まれているかを知るため。必要なものを揃えるため。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「……ふぁ」
あくびが出るほどつまらない授業だが、それでもどこかで楽しいと思えた。あんな化け物との戦いのせいでこの嫌いな授業さえも愛しく思える。これで綾乃が後ろからちょっかいをかけてくればいつも通りだが(何故か綾乃は帰っていった)。しかし、
(化け物……か。端から見れば俺も同じなんだろうな。嫌なことこの上ないが)
だが、この戦いに勝って生き残る。そして、人として生きる。しかし、敵は何だ?皆、レオグルスみたいな奴じゃないだろう。敵のビジョンが見えない。ビジョンと言えば俺はこの戦いに対してビジョンがない。精々がこの戦いの原因とも言える魔刻十三器を破壊するくらいだ。
(ビジョンね……グレイブやアイク、先輩はあるのか?そんなものが)
正直、あの二人の事はよく分からない。特にグレイブ。あんな欲も望みも目的も無さそうな男が何で戦う?戦闘狂でもないだろうし。アイクは何かあるような印象を受けるがよく分からない。先輩には聞き出そうと思ったが見当たらないし。避けているのが目に見えて分かる。
(まぁ、今は)
ともあれまずは人払いをどうにかしよう。
長考していたせいか周囲の異変に気付くのにワンテンポ遅れてしまった。人の目が有れば動けない。なら、それを無くせばいい。なるほど、実に簡単で分かりやすいな。思わず笑い出しそうになる。
よし、後でグレイブを思い切り殴ろう。あの野郎め、何が日常を謳歌しろだよ。いきなり襲撃されたぞ、畜生。しかも状況的に一人でどうにかしなきゃいけないだろうし。
グレイブへの恨み辛みを考えると思考がどんどん冷静になっていく。冷静になったところで立ち上がり見渡す。人の姿も見えないし、気配も感じない。いや、気配はやや感じる。この感じは、
(……屋上か?)
先輩だろうか、と警戒しながら人が消えた教室を歩く。先輩ならまだ話でどうにかなる……と思いたい。レオグルスは絶対に戦闘以外の解決方法はない。アレはどちらかが死ぬまで戦い続ける野獣だ。言葉でどうこうするのは不可能だ。神父や他の連中は分からない。会った事がない奴の方が多いし仕方がない。
教室から出るとやはり人の姿は見えない。いや一瞬だけほんの一刹那、窓の外から人が落ちるのが見えた。……………は?
ドサリ。そんな鈍い音が響く。
「おいっ!」
急いで窓を開けて下を見る。そこに落ちていたのはアリア・フェリス_つまり先輩だった。動いていないが、十三器を持っているんだ。四階程度の高さから落ちても多分きっと死なないだろう。
「やっぱ屋上か」
そう判断すると窓から飛び出て体の向きを変え、壁を垂直に走り抜ける。一気に屋上まで到達するとそこには痩せこけた長身の男がいた。お世辞にも綺麗な顔立ちとは言えない。
「そこな少年。階段があるのですから、そちらを使うべきだと思いませんか?」
「……ああ。そうだな」
デジャブと言うべきだろうか。なんだか初めてこの男を見る気がしない。ちょっと前に会った気がする。と言うか絶対にアイツの関係者だ。親戚かな?
「おい、あんた誰だ?」
「人の名を聞く時は先ずは自分の名を名乗るべきですよ。それに貴方だって私がどういう人間か勘づいているでしょう?自分自身が分かりきっている事を他人に聞かないで貰いたい。貴方だってこちら側の人間なのですから」
何で同じ様な事を三日も連続で言われなきゃならないんだよ。しかも今ので確信できた。こいつは間違いなく魔術師だ。きっとあの男と近しい奴。やべぇどうしよう。
「ふむ、貴方は魔刻十三器と言う魔具をご存知ですかな?いや、存じている筈だ。そして、所有している。でなければ魔術師でも無さそうな貴方が人払いを打ち消せる訳がない」
ま、そこら辺は考えなくても分かるか。やっぱり警戒しなくちゃならない。
だが、同時にこれはチャンスだ。こいつは戦闘じゃなくて交渉でどうにか出来るかもしれない。この男は戦う意思を感じない。なら、話し合いで解決する事が可能かもしれない。
「そうだよ。俺は十三器を所有している。アンタもだろ?一体何位だ」
「やはり勘違いされますか。少年、私は十三器を所有してはいません。むしろ十三器を欲しているのです。私は私の目的の為にアレが!魔刻十三器第十一位が!!」
「そ、そうか」
いきなり荒ぶり感情的に成りだした男に軽く圧倒されつつ相槌をうつ。
だけど、好都合だ。こいつに目的があるならそれに協力してやればこっちに味方してくれるかもしれない。はっきり言って俺は戦力としてはまだ怪しいしアイクも十三器を持っていない以上サポートに回ってもらうしかない。
だが、この男は十三器を手に入れようとしている。もし、十三器を手に入れれば現状グレイブしか戦力がいないこちら側に戦力が一増える。仮にも先輩を倒しているんだ。戦力としても申し分ない。それはグレイブやアイクにとっても都合がいい筈だ。それに最悪な手段だが仲間にして利用した後にこいつを裏切るという手もあるにはある。
しかし、俺の予想が正しければ-
「……フフ、感情的になりすぎましたね。では、少年。本題に入りましょう。あの少女には一蹴されましたが、どうです?私と手を組みませんか」
「あのさ、組む組まない以前に名前を教えてもらっていいか。俺も名乗るから」
「おや、私としたことがそんな重要なことを忘れるとは。私もヤキが回りましたねぇ。これではあの人と同じだ」
「なぁ、いいから名乗ってくれないか。アンタをどう呼べばいいか分からないだろ」
「ええ、そうですね。私の名はムルス・クライソン。トール・クライソンの便宜上の後継者ですよ」
悪い予想は大概当る。こいつは_ムルスはトールの関係者だった。予想出来ていただけにあまり驚きはないが、
(……やっぱり戦うしか無さそうだな)
俺は軽く溜め息をつき、臨戦体制をとった。ムルスが何故かそれを不思議そうに眺めていた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
魔刻十三器
第一位「??」
第二位「??」
第三位「魔槍」アリア・フェリス 『第四の代替』
第四位「魔剣」織崎結名 『無二の器』
第五位「??」
第六位「??」
第七位「??」グレイブ・ステンベルグ (推定)
第八位「??」
第九位「魔晶」レオグルス・ゴーラル 『第二の為の戦士』
第十位「??」
第十一位「??」
第十二位「魔面」エルネスト・ブローリュク 『第七の狂信者』
第十三位「魔銃」グレイブ・ステンベルグ
※現在の状況
一位&アイク(別行動)「バス使えばよかった……」(徒歩のためまだ学園に着いていない)
九位&十三位「ヒィィヤァッッハァァァァァァ!!!」(バトルなう)
十二位&屍兵「裏工作も辛いですねぇ(このエセ神父、人使いマジで荒い……)」(裏方のお仕事)
三位「ばたんきゅ~」(戦闘不能)
四位「やべぇよ。どうやって逃げよう」(逃げたい。すごく逃げたい)
他「はよ出番よこせ」
何だろ?こいつら物凄くダメな連中に見える……特に四位。