心の傷
「え・・・・・」
頬を押さえ、その場に座り込む。
恐る恐る顔をあげると、コワイ顔をした続の姿だった。
私は声を珍らしく荒げる。
「な、何をするの!?」
睨みつけると、続は声を低くして
「お前さ、ちゃんと優花のことを見ろよ」
そういい、続は部屋を出て行ってしまう。
私は呆然とその姿を見送る。裕也は私の腫れた頬を冷やす氷を持ってきて優しく言う
「優花も優花なりに悩んでいるんだ。続も・・・」
「え・・・優花が?」
「本家を追い出されると知った優花の父親が彼女に向かって、『お前さえ、いなければ!』と言ったそうだ。それを聞いた彼女はただ『ごめんなさい、ごめんなさい。』とただ謝るだけ。それを見ていたんだ、続は。だけど、本家の人間には逆らえない立場にあるから、ただ見ているしかなかった。そんな自分に今、彼は苛立っているんだ。許してやってよ。」
「何で優花は、私達にそのことを相談しないの? 何で・・・、役にたたないから?」
「もうすぐ話してくれると思うよ。」
「う・・ん。」
私はそれから自分の部屋に戻り、ベットに倒れこむ。
お互いに抱える心の傷。
何も出来ない自分に腹が立つ
泣けば心の傷口に沁みるだけ
治ることのない心の傷。
一番大きいのは、たぶん優花と続だと思う。
ピロンッ
机の上に置いてある携帯がなる。見ると、続からメールがきていた。
説教かと思い、怖くなる。
【さっき、叩いてごめん。痛かったか?
あの後、裕也に怒られた。しかもその場面に居合わせた優花にもすげぇ怒られ た。『幼馴染に手をあげるなんて最低』って顔を真っ赤にして優花が怒って た。さすが親友だな、あんなに大切に思われて正直うらやましい。
優花が話があるから私の部屋に来てだって】
(へ~・・・・えぇ!? 今から!?)
私は急いで部屋を出て、優花の部屋に向かった。
バッタン