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崩したくない関係  作者: ∮柊 琴音∮
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優しい言葉

この章は、過去編です

あれは6年前のある夏の日

優花の兄・・・・間宮まみや ひろが生きていた頃のお話

尋は完璧だった。常に人の上に立ち、周りの人は皆次の間宮家の当主だと思っていた。もちろん間宮家の次期当主として有力候補に名が上がっていた。

優花はそんな兄に憧れ、ピアノやヴァイオリンなどをはじめた。

彼女は私と一緒に大会にもでた。

優花は1位、私は2位。それがあのころは、普通だった。

決して手を抜いているわけではない、いや抜いた覚えなどない

嫉妬と劣等感に狩られた。


(私の方が早く習いはじめたのに・・・)


(追いつけっこない・・・・)


だが、私は彼女を憎むことができない。私は彼女が好きだから。

しかし、事故で優花はどん底に叩きつけられた。

いや、事故ではない計画された殺人で尋はこの世を去った。

事故を装って、尋を殺した人間は全員捕まった。

理由はただの逆恨みらしい

間宮家は大型会社を経営している。

逆恨みした人間は間宮家の経営している会社の一つで働いていたが、リストラされたらしい。

たくさんの人間が間宮家を恨んでいる。歴代の間宮家の人間は逆恨みで殺されることが多かった。

間宮家の人間もそれに仕える私達分家の人間も悲しんだ

一番悲しんだのは、尋に懐いていた・・・優花。

その日から優花はあまり人の前に出ることなくなった。

彼女はピアノもヴァイオリンも全てやめた。

もちろん毎回出ていた大会にも・・・

試合を放棄された気分だった。優花の出ていない大会で1位を獲っても意味がない。

続は毎日、優花の部屋に通っている。

が、優花は彼を部屋に入れようとはしない。


「・・・・・、優花の調子はどう?」


と彼に聞くが


「・・・・・。」


私を睨み付け無視される。相当苛立っている様子

自分は彼女に何もできないと、自分を追い詰めているんだと思った

それ以上私は、彼に話しかけなかった。

私は自分のベットに考えた。

何て優花に話しかけたらもう一度笑い返してくれるのだろう・・・?

どうしたら前みたいに戻れるのだろ?

 こんな毎日が続いたある日、私にも不幸が降りかかった。

私には二人、兄がいた。れお兄と・・竜兄だ。

竜兄は私と同じ、生まれるつき病気を持っている。

原因不明、最悪の場合死に至ると聞かされていた、最悪の場合を避けるためには月に2,3回ほど点滴をしなくてはならい。

いつ死んでもおかしくないので私は毎日、怯えていた。

そんなことを考えていた私の耳に竜兄の悲報が届いた。


「い、いやァァァあ!!」


竜兄の葬式にも出ず私は一人、部屋で大泣きした。

そんな時、


トントン・・


ドアをノックする音が聞こえた

私は無視する。


「どうぞ。」


などいっていないのに、ドアが開く。


「ゆ、優花・・・・?」


私は部屋に入ってきた人物をみて、呟く


(なんで? 彼女はあまり、部屋から出てこないのに?)


頭に疑問がよぎる。彼女は笑う。

何日ぶりだろう、彼女の笑顔を見るのは・・・


「竜兄さん・・・の葬式いかないの?」


優花は自分より年上のイトコに「兄さん」「姉さん」をつける。


「いけないよ・・・葬式の間、泣かない自信ないから。」


「でも竜兄さんは、静に会いたいと思うよ?

 最後に逢いにいったら? 車を用意させてあるから、ね?」


「優花はいくの?」


「・・・・いいから、いきなさい」


優花は私の背中をトンッと押された。

どうして?

私は貴女が兄を亡くしても優しい言葉などかけられなかったのに。

優花の優しい言葉が胸に突き刺さる。

私はなく。


「ど、どうしたの?」


「だって・・・だって・・・」

言葉にできない。

ただ、優花にあやまりたい。

ごめんね・・・・・って。

でもその一言が言えなかった。

・・・・その後、私は一人で竜の葬式に向かった。


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