いそがしい朝
漫画や小説みたいに好きな人に告白できたら、どれだけ楽だろう・・・
私は彼と恋人になりたいとは思わない
ただ近くにいたい
それだけで私は幸せだ
この関係を崩したくはない
ピピッピピッ
目覚まし時計の音が私の頭の上で響く
「・・・・・。」
音を止めると、時計の針は7時半を過ぎた
遅刻確定まで、あと10分
「ー・・!?」
私は声にならない声で叫ぶ
慌ててベットから飛び降り、
腰まで伸びているロングヘアの黒髪を全力でとかし、自分の通う私立「天神学園」の制服を着る。
部屋を飛び出し、長い長い廊下を走る
ここは都会のT都にある名家の間宮家本家の大きな屋敷
屋敷には本家の血筋の者が代々住んでいるが、現間宮家の当主の変わり者、間宮 翔の命で今は、分家の当主の血を者もこの屋敷で固まって暮らすようになった。
私は間宮家に代々仕えている柊家の当主の娘:柊 静咲
、中学3年生。弓道部・吹奏楽部に所属している
最近の私は遅刻が多い
「静! また遅刻か!!」
現柊家当主の父が玄関の前でにおう立ちしている
皆、私のことを「静咲」ではなく「静」と呼ぶ
「すみません。お父さん、説教する暇があるのならさっさと車を回してください。」
そっけない態度をとるのは、いつものことだ。
「・・・・車ならもう玄関前に止めてある」
父は私に口喧嘩で勝てないことは身を持って知っているため、これ以上何も言わない。
「そう。」
スタスタと父の横を通り過ぎ、黒いローファーを履き無言で家を出た。
使用人が門の前に立っていた
「静様、お車のご用意が整っています」
「ありが・・・・・。」
私は車を見た瞬間固まる。そして不機嫌な顔で
「前言ったよね?
ベンツを用意するのはやめてって、目立つから」
「すみません、今はこの車しかなくて・・・」
「この前、購入した赤のスポーツカーは?」
「それは、れお様が・・・・」
れおは、私の4つ離れた兄
柊家の次期当主であの有名な東大生でもある。
「あの馬鹿兄・・・」
はぁと溜息をつき、使用人に車のドアを開けさせ仕方なく乗る
使用人が安全運転で学校に向かっている間に後部座席で私は髪を束ねる。
「そこで止めて」
「天神学園」から10m離れたところで
髪をなびかせ車から降りた。
そして私は一目散に学校に、向かう
あの大好きな人がいる教室に・・・・・