夏休み2
「優花は・・・、続の事どう思っているのかな?」
五年生時の優花は、恋愛に関して疎かった。
いや、興味もなかった。
「優花は男に興味ないだろ。
完璧な兄が近くにいたからな。
しかも兄の方も優花を溺愛してたし。
優花にとって続はせいぜい【ただの幼馴染】だろ」
「・・・それ私も同じよ」
「あ・・・」
言葉を詰まらせる裕也
私がつらいのは好きな人に女として見てもらえないことだ。
「静~、ゆうやん~」
息をきらした優花がきた
その顔だと廊下を走ったのだろう
「もしかして走ったのか?
足、悪いんだから安静にしろよ」
やれやれと言いながら、優花の汗を拭う
「んっ、スパルタオカンの続から逃げただけだもん。
べ、べつに勉強から逃げてきたわけではないもん!」
「はいはい」
裕也=ゆうやんは少し棒読みで返事をする
「・・・・。 ね、出て行ってくれる?
もうすぐコンクールなの。
構っているひまないのよ、こっちは。」
裕也にも・・・・続にも甘やかされている優花をみて少しイラッとした
どうしてこんなにも彼女が愛されているのか?
本家の血筋だから?
「・・・ご、ごめん」
ビクッとし謝る優花
「じゃ、早く出て行ってよ。」
「うん・・・」
今にでも泣きそうな顔の優花は部屋を出て行った
裕也はコチラに歩いてきて
「泣きそうだぞ、お前。」
裕也が【お前】という時は機嫌が悪いとき
私はカタカタと肩を振るわせる
「・・・・、別に機嫌が悪いのはお前のせいじゃない
俺は自分に腹がたっているだけだ。
静が機嫌が悪いのは俺の一言だろ?」
「別に。 私は今日は機嫌が悪い日なの。」




