最高の笑顔
私が優花の部屋にいくと、続が暗い顔をして優花のベットの上に座っていた。
裕也は続を慰めている。彼もまた何かに動揺していた。
動揺するなんて珍しかった。
何があったの?
「あ、静咲。」
優花はこちらに気がつく、彼女だけが何も変わった様子はなかった。
私はストンと優花と向かい合わせになるように座ると、彼女は裕也に目を配らせる。まるで「静咲と二人っきりで話したいの」といっているかのような目をしていた。
裕也は続を連れて部屋を出た。こちらを心配した目をして・・・。
「何から話そっか?」
いつもと変わらぬ笑顔。
いつもと変わらぬ口調。
いつもと変わらぬトーンではなす彼女に違和感を覚える
「さっきの続、あきらかにただ事ではない顔をしていたけど・・・何をはなしたの? うんん、優花はこれから何をする気なの?」
彼女はすました顔でこういった。
「私、ここの家をでるのは知っているよね?
大学生になるまで戻らないかも・・・いいえ、二度と戻らないかもしれない。」
私は頭を強く殴られたような衝撃におそわれた。
目の奥がジンジンと痛む
二度と、もどらない・・・?
ここに・・・・?
嘘・・・・、嘘だよね?
「もちろん、夏休みとか冬休みとかは帰ってくるかもしれないけど、ここから学校に通うことはしない。」
「一緒に・・・・一緒に学校いけないの?」
「うん」
彼女は頷く
「毎日会えないの?」
「うん」
彼女はまた頷く
「そ・・・っか」
それ以外の言葉がでてこなかった。
「またねっ」
彼女は最高の笑顔だった。
次の日、彼女はある田舎の都道府県に引っ越した。




