無観客
掲載日:2026/04/10
私のこの声、この言葉を聞くものはまだいない。
唯一の観客は埃と月明かりと静かなこの場。
けれども語らずにはいられない。やめられない。
私は私という痕跡を残したがる目立ちたがり。
確かにここに居たのだ、ここに私の意志は存在したのだと主張する。
誰も聞いていないこの場所で。
誰に聞かせるのかも知らないこの場所で。
この言葉は私に向けた物なのか、ただただ意志を残すために語る。
私が誰であったか、誰なのか、この意志が残ればそれでいい。
私の意志の痕跡をいつかの誰かが、記憶に刻めば私は永遠だ。
断片でもいい、一言でもいい。
同じ世界に居たのだと意志を残す。
私はここに居たのだと




