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放浪の龍人編  作者: 世界樹の微睡み
第一章
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1話


───樹海。

視界いっぱいに拡がる木々の地平線、雲を突き抜ける山脈の壁が遙か彼方にみえる。

その少女リッカは山の頂で景色を見渡していた。


「…………爛華はどっち?」

「僕にわかると思うリッカ?」


少女の肩に乗った相棒──ラッカがリッカの赤い髪の毛をかき分け顔を出す。

ラッカ、赤い鱗を持った蜥蜴の様な生物に羽が生えている。

所謂、火炎龍の子供。

リッカの魂の片割れである。


「あの山って黒帝山かな?」

「………たぶんそうじゃないかな?」


この山の頂も1㎞位はあるのではないのだろうか。

なのに遙か彼方に聳える3㎞級の山脈に囲われているせいで小山に感じてしまう。

100㎞以上離れているであろう場所に聳え立つ一つの山へと指を指す。


「……じゃあこっちが爛華?」

「そういう事になるね」


反対方向を向く。

そちらにも同じような光景が眼に入る。

どとらにしても進むしかない、リッカが樹海に入って数カ月、もうそろそろ1年になるかも知れない。

母国“爛華”での食事が恋しく感じる。

物資も尽きてきた。

リッカは今、熱烈に望んでいる物がある。


「………待ってて調味料」


調味料が尽きて2カ月程、ただ焼いた肉しか食べていない。

食材でなく料理が食べたくなっていた。

それに久々に柔らかなベッドで寝るのも悪くはない。


「………フフフ」

「僕は寝るよ………」




『そしてリッカ達は目的地へ向かいだす。

果たしてその先は爛華なのか!!

リッカが望む料理はその先にあるのだろうか!

乞う御期待!!』





───三ヶ月後。

リッカ達は未だ樹海。


「………美味しくない」

「そうかな?悪くないと思うぞ」


巨大な蜈蚣(ムカデ)種の魔蟲。

その死骸を椅子代わりに、焚き火の前で焼いたその肉を食べていた。

調味料は無い、よって素材そのものの味。


「……塩が恋しい」


この魔蟲は先程襲ってきたので仕留めた。

殺したら食べる、命を無駄にしない。

齧り付き空を見上げる。

背の高い木々の間から覗く空と雲、豆粒大に見えるほど天空を飛ぶドラゴン。


「…………飛べる?」

「僕だけなら」

「………だよね」


食後の休憩とのんびりするリッカとラッカ。

たわいの無い会話をし、英気を養っていると、少し離れた場所から魔獣の気配が近づいてきた。


「………何か来た」

「複数いるみたいだね」


殺気が徐々に、リッカ達へと滲み寄ってくる。リッカは慌てず、それどころから未だ座ったまま。ラッカが僕の出番だねと、羽をひろげ宙へと浮き立つ。

現れたのは7匹の魔獣“水狐”。

大きい魔獣ではないが、油断は出来ない。

半透明な白毛の躰に青色のラインがはいった狐。


「…………任せた」


ラッカは低く唸り息をもらす。その息は平時と違い既に高温と化していた。躰も次第に白熱していき、ラッカの周囲の空間は高温で揺らぎ陽炎めいている。


「燃えてきたね!」


リッカの赤い前髪が揺れる。

その表情、赤い瞳からは相変わらず感情は読めない。

無言で肉を齧る───。


最初に動いたのは水狐。合図もなく、役割分担された連携。ラッカの視線を誘導し、惑わせる。

そして視線の外からの水流。鋭く、速い、対象を貫く為の高圧の水の槍。

ラッカはその水の槍を意識し───避けなかった。


「……おお」


水が表皮に降れる手前、その熱された空気圧と触れた瞬間――爆ぜた。

地面は抉れ、水流は瞬時に蒸発し、白煙が弾け飛ぶ。

衝撃と轟音に一瞬動きを止める水弧、そして戦闘に一拍の間が生まれる。

そしてラッカの──火炎龍の獰猛な瞳が一匹の水弧を捉える。睨まれただけ、ただそれだけなのに、水弧の躰は硬直してしまった。


「僕の熱はさませないみたいだね」


一息で肉薄したラッカ、躰を捻り、火炎を纏わせた尻尾で水弧を叩く。

炎の軌跡と共に吹き飛ぶ水弧。

樹木へと叩きつけられ、半ばまでへし折り地面に堕ちる。


「…………後6匹」


残る水弧達は距離を取ろうと散開する。

その瞬間ラッカは嗤った。

一瞬、獰猛な捕食者としての本能が顔を魅せる。

地面を踏み抜き、低空で這うように飛行し、一匹の首元に噛みつく。

首筋の鱗の隙間から一瞬白熱がもれると、火炎を水弧へと流し込んだ。

内側から焼かれ爆発か霧散か一瞬で消し飛ぶ水弧。


「もう1匹追加………さぁどうする?」


水弧達の判断は早かった。

格の違いを実力差を知ると、逃走へと判断を切り替え、動きを変えた。


「逃げるなら追わないよ、僕らは無駄な殺生はしない主義だ」

「………お腹いっぱい」


逃走する水弧を見送る二人。



『強者の矜持を魅せるラッカ!だがそんなことより何所なのだ此処は?!樹海まだ樹海、見渡す限りの自然!国は町はその影すら見えない!リッカの味覚は限界だ!早く樹海からでてくれ!次はでれるのか?乞う御期待!!』















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