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第7話 不可侵領域

第一部、エピローグです


「……なんとか、なったかぁ」


 真っ二つになったオーガの身体が消えていくのを見届けて、僕はヘナヘナとその場に崩れ落ちた。


 へたり込んだ僕の視界の端に、ピコン、ピコンと情報ウィンドウがポップして、レベルアップとドロップアイテムの取得を告げてくるけれど、今は確認する余裕もない。


(ほんと、よく勝てたよなぁ)


 綱渡りの連続で、本当にギリギリの戦いだったけれど、振り返ってみるならば、


「勝因は……やっぱり〈斬鉄剣〉、かな」


 今はもう、崩れて形を失ってしまった右手の刀を眺めながら、僕はそうつぶやいた。


 最後に使った技、〈斬鉄剣〉で使える〈一閃〉は、威力固定の技だ。

 プレイヤー側の能力値や相手の耐性に威力がほとんど左右されないため、ゲームが進むにつれて役に立たなくなっていくが、プレイヤーが育っていない間は最強の技になる。


 それでもオーガを倒せるかどうかは五分五分だったけれど、どうやら賭けには勝てたようだ。


(あれが効かなかったら、いや、何かが少しでもズレていたら、結果はきっと逆だった)


 そう思うと、今さらになって恐怖がこみあげてくる。


 特に最後の逃避行。

 目の前に不可侵領域が迫っていた時は、本当に死ぬかと……。


「って、そうだ!」


 僕は慌てて立ち上がった。



 ――〈不可侵領域〉。



 東京の中心に鎮座する、謎の空間。


 いつからそれが生まれたのか、そこには何があるのか、誰も知らない。


 一説には東京の街中に出てくる魔物はその不可侵領域から出てきているとか、実は魔王城があって最深部には魔王がいるだとか、眉唾な噂ばかりが流れている。


 何度か調査隊が組まれたそうだけれど、内部に入ることはおろか、観測すら失敗。

 誰も、無生物であっても中に入ることは出来ず、僕自身、数年前に試した時は見えない壁に阻まれて入ることが出来なかった。


 でも、今……。

 誰も入ることが出来なかったその領域の内部に、僕はいる。


(……確認、しない訳にもいかないよね)


 覚悟を決めて振り返ると、内部にいてもなお、不可侵領域はその全貌を伺わせなかった。


 中心部には真っ白な霧が渦巻いていて、そこに何があるのか、全く視認出来ない。


(正直行きたくはない……けど)


 尻込みしていても仕方ない。

 僕は怖々と足を進め、白い靄の揺らめく領域に手を伸ばした。


 霧に指先が触れた、と思った瞬間、



「……そう来る、かぁ」



 目の前に浮かび上がった情報画面に、僕は思わず声を漏らしていた。



 ――どうして誰もここに足を踏み入れることが出来なかったのか。

 ――どうして僕が今になってここにやってくることが出来たのか。

 ――どうしてここに来た途端に僕の身体に魔力が満ち溢れたのか。



 その全ての答えが、そこにあった。





【東京ダンジョン00】


種別   : オリジンダンジョン

入場条件 : 人間 男

入場難度S級!








ということで、これにて第一部は完結です!

ここまでが仕込みパートで、第二部からようやくバーチャル美少年ダンチューバーとしての活動が始まる予定!

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― 新着の感想 ―
ダンジョンの設定作ってから、慌てて男減らした泥縄だったり。
何というか、作為的だな。 作者以外の誰の意思が働いているんだろう?
男が少ない世界で男限定のラストダンジョン、もうレイ君のための世界だな。
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