表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/59

第1話 ー 異世界転生部に配属


35歳フジタカさんサラリーマンのおじさん。


本日付けで彼は異世界転生部に配属となりました。


目を覚ますと、そこはど田舎の村。


見渡す限り畑と山と草。文明レベル、縄文。


こりゃ終わったわ。


俺は開幕から絶望した。


父母が木製のクワで畑を耕しているのを見て、思った。


縄文は稲作してないから弥生くらいの文明だろうか?


そして、俺がこのような文明レベルの低い世界で生きていけるのだろうかと悲観する。


アニメもゲームもない、娯楽なんて無いも等しいだろう。


日々生きていることが幸せなんて、思い始めるのだろうか?


病になれば病院なんてないだろうから死ぬだろう。


あぁ、最悪だ……なんてこった。



なんだかんだ順調に、ド田舎の村で生まれ育った。


俺は歩けるようになり、村を見回り始める。


そして、5歳の頃に1匹の蟻を殺した歳にレベルアップしました。


『テレレンッ!!レベルアップしました!!』


《0Lv → 1Lv》


「え?何今の……レベルアップ??」


俺はその瞬間、世界のルールを理解した。


「殺す=成長」


ああ、なんて分かりやすい。なんてシンプル。


日本社会もこうだったらいいのに、と思った。


歩けるようになったのが1歳。


それから4年間も近所の田舎道を歩いていれば、蟻やら虫やらを気付かないうちに踏み潰しているものである。


それの積み重ねは計り知れず、レベルが1つアップした。


たかが虫、されど虫、殺した際に経験値が発生する事に気が付いた時の衝撃は計り知れない。


いや、まずステータスと言う物が存在する事すら知らなかったのだから、驚きは二重であった。


まさかのファンタジー。


しかもゲームチックなシステムが導入されている世界に生まれ変わろうとは、夢にも思わなかったおじさんである。


『それからは”狂った”ように虫を殺す日々。』


蟻、カナブン、バッタ、何でもだ。


最初は嫌悪感があった。だが、慣れるのに三日も要らなかった。


だって、殺せば成長できるのだ。


何かを殺せばレベルアップ出来る事がわかった為、将来の為に強靭な肉体作りを目指してトレーニングも開始した。


そうして2年が経過し、7歳の頃。


ようやくレベルアップした。


《1Lv → 2Lv》


長かった、まさかこんなに掛かるなんて。


たかが虫、まぁたかが虫であった。


次殺すのはもっとデカくて経験値を持ってそうな生き物だ。



はい、7歳です。


多少は身体も大きくなって行動範囲が広くなりました。


ステータス表示します。


名前 フジタカ(藤高)

年齢 7歳(中身35歳)

種族 人間

職業 自称・異世界サラリーマン

レベル 2

HP 45(※虫に刺されてもギリ生存)

MP 12(※魔法? 何それ)

筋力 20(※ウサギを殴り倒せる)

敏捷 18(※踏み潰す速度は神速)

知力 600(※会議で資料を作れる程度)

精神 560(※常識が崩れても笑える)

運 5(※転生先のガチャはハズレ)


スキル :

【虫踏み】 小型生物を確実に踏み潰す。成功時に微量経験値。


【経験値嗅覚】 「これ殺したら上がるな」という直感が働く。


【サラリーマン根性】 どんな苦行でも“残業”だと思えば続けられる。


【数値確認】 ステータスを見てニヤける。実際の強さは微妙。


【自己正当化】 罪悪感をロジカルに処理するスキル。超安定。


まぁこんな感じのステータスとなっている。


やはりゲーム的にはHPと筋力と俊敏を上げていきたいところ。


そうすればより殺しやすくなるだろうことは明白だ。



「よし、決めた。」


虫だと効率が悪すぎる。


よりデカくて経験値効率が良い生物を”殺したい”。


俺は手に先端を尖らせた木の棒を持って、1人森に入る。


でも俺には、レベルアップの法則がある。


理屈じゃない。行動こそ力だ。


草むらが揺れた。ウサギだ。


一瞬で足が動いた。棒を振り下ろす。


微塵も掠らずに木の棒は地面を突いた。


「くっ!!」


俺は歯を食い縛り、逃したレベルアップのチャンスに涙する。


「まだある、まだチャンスはあるっ」


レベルアップだけを求めて森へと入って行った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
無心で虫を踏み潰しまくる5歳児(中身はおっさん)……こわい。 経験値嗅覚、自己正当化……絶対まともな成長しないよ…! 第1話からすでにサイコパス誕生の予感がしてゾッとしました。 果たしてこの物語の行く…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ