16.相談ー?ー
16話です。
「どうしたんだ?急に」
怪訝に思って聞き返す。なんだこれ。恋愛相談みたいな雰囲気だな。
そういえば…
ふと思い出してしまう。
…今まで、恋愛相談受けたことなかったな。誰も相談してくれなかった。そして、当然と言えば当然だが、俺にまともに答えられたとは思えないから、仕方ないで済むのだが。そして、その人たちが俺に相談しなかった理由も、分かってはいるのだ、一応は。悲しい友情を見せつけられたが。
しょせんは表面だけのものだ。
しかし、こんなふうに話しかけられたということは、少しはいい関係が築けているのかもしれない。
「実はさ、僕、まあ気づいたかもしれないけど、好きな人がいるんだ。」
やっぱり恋愛相談だった。うれしい。
「うん。で、その人は自分に興味がない。」
「うん。そこまで分かったら続きも想像つくよね?」
「まあ大体は。その人を好きでい続けるか諦めるか迷っているんだろ?」
「そうなんだよ。」
予想通りだったな。
「で、どういった答えがほしい?というか誰?」
「相手は…その…2組の鏑木和葉。」
あー…、鏑木さんかぁ。
鏑木さんは、正統派の美人だ。もちろん人気がある。ところがそれと同じくらい水無瀬さんも人気があるところが不思議なところだ。
「どういったところ?」
「彼女は凄いじゃん。スポーツみ出来るんだよ?中学の時から新体操で全国大会に行っているらしい。」
「それで、他には?」
それだけじゃ足りないはずだ。言葉にできるだけでも十分凄いと思うが、これだけで人を好きになることは滅多にないだろう。
「優しいんだよね。よくあることかもしれないけど…この前物を落とした時に、一緒に探してくれて。見た目もあるかもしれないけど、その件からよく見るようになっていつの間にか、おちていた。」
分かるなぁ。はじめは小さなことから。そしてその好奇心などを満たそうと、その人を見ていると、いつの間にか好きになってしまうんだよな。俺もそんな感じだ。
「ちゃんと内面で好きになったんだろ?だったらそんなに簡単に諦められないと思うけど?」
「そうなんだよー!」
どうやら図星だったようだ。
「俺は無理に諦める必要はねえと思うけど?新しい恋が見つかりそうだったら、そっちに行けるようにしておけばいいだろ。それまでは諦めず、アタックを繰り返しな。」
「そんな簡単に実行できるわけ無いじゃん。」
「それもそうだな。だけど、俺は実際そうしている。…諦めることは出来そうに無いけどな。」
「俺、水無瀬さんじゃなくて鏑木さんで本当に良かったと思うよ。」
「何でだ?悪口か?」
そすがに見過ごせないが?
「違う違う。こんなライバルがいる人を好きにならずに済んだことに対する安堵だよ。」
「そうか。それなら良かった。」
悪口じゃなかったら安心だ。ただ、俺に対する嫌味に聞こえた気がするのは気のせいだろうか?
それはそれでまた悲しいものがある。
「で、どうするんだ?」
「やっぱ、諦めたくはない。」
「だよな。」
「けれど、今回は鏑木さんだっただけで、たぶん他の子も好きになることは出来えうと思うんだよね。」
へぇー。それは羨ましい。俺は他の人を好きになることをあまり想像できない。
羨ましいは羨ましいが、それでもそんなことにはなりたくないから今のままでいい。今はかなり幸せなんだ。
「それで?」
「だから…結局は勝機があるまで諦められないと思うんだよな。」
「勝機?」
「例えばの話だからな?実際には起こらないだろうけど、」
「そうか‥」
この一途さを好きな人もいるだろう。そういうのが分かる人と、うまくいくんじゃないのか?
そのためには…好かれなきゃいけないのか。それよりは告白して…って、確かに勝機がある時に諦めることになるのか。納得だ。
「まあ無理しないで、ありのままを受け入れてくれる人物を探せよ。」
「探すって…普通の人は出来ないから」
「いずれ現れるって。良さげに過ごしていればな。」
「楽観的だなぁ。まあいいところを知ってもらえるように努力してみるわ。」
「それでいい。アハハ…あんまり役に立たなかったな。」
「いや、同類がいると分かって安心した。一部は違うようだけど。」
「そっか。じゃあこれからも仲間としてよろしく。」
「あぁ、こちらこそよろしく。」
何だか新しい良さげの人間関係を築けそうだ。
文字数は…もう気にしなくていいや。