14.団ー気楽ー
14話です。
それはいきなりだった。覚悟はしていた。それでもいきなりだと感じた。
いつもの体育のあと…ではない。シャトルランを終えた体育の後のことであった。今日で無事に体力テストが終わり、喜びの盛りにいる俺達1年生に、先生は、
「次の授業からは体育祭に向けてだぞ。」
と言った。そして、俺達は、まあ呆然としていた。白明高校のカリキュラムのおおよそはもちろん把握している。確か、体育祭は1ヶ月と少し後だったと思う。だから、余裕があるのだと、勝手に思っていた。
あとから、予定表を見てみると、1週間後に、結団式があるそうだと分かった。
…全く記憶になかった。学校行事は把握するようにしていたのに。今回は見逃した。
次の日の学活の時間。団分けが発表された。
この学校は9クラスに対して4団ある。つまり、クラス内で分かれることになる。
クラス内で対立されるような原因を作ってもいいのか?と思うが、まあそういうものはそういうものだろう。何も考えないでいいはずだ。
そして、団分けの結果。
C団だった。そして、水無瀬さんも一緒だった。うん、これだけで頑張ることができる。何か活躍したい、そう思った。
その間にもなんやかんやあったが、それは割愛して。
今日はいよいよ結団式だ。
団の色なんかどうでもいい、そう思うか?いや、違う。去年の優勝、応援賞の団になれるとやる気が沸くのだ。ちなみに、去年は青団が優勝。赤団が応援賞だった。
どうか青か赤がいい…そう願っていたが、その願いは虚しく消え、なったのは白団だった。
少し戻るが、団長、副団長紹介があった。
我らがC団(のちの白団)の団長は女子。そして、副団長は二人とも男子だった。
団長が女子!最近よく見るようになったソレである。
小学校のころは…一団だけ女子が団長だったことがあったな。しかし、この自称進学校において女子が団長になるというのはまたまた珍しい。そう思った。完全なる偏見だと思うが。
「C団のみなさん、はじめまして、中島みりです!これから、優勝、応援賞を狙って頑張っていきましょう!よろしくお願いします!」
可愛い先輩だな。素直にそう思った。そして、水無瀬さんには及ばない。そう考える自分もいた。
あとは…女子がめっちゃやる気になっている。
やはり同性が団長というのは嬉しいものなのだろうか?よくわからないけれど、これでやる気が増し、勝つ確率が上がるのなら大歓迎だ。
「水無瀬さん、やっぱ女子が団長だと嬉しいの?」
一応聞いてみた。断じて、話題が見つかったから、ではない!
「そうだねー。やっぱ男尊女卑…は関係ないかもしれないけど、身体的にも性格的にも女子ってこういう場に立たないからね。私も小学校の団長経験者としてはぜひ応援したい。」
「え?」
いきなり爆弾発言落とさないでほしい。
「どうした?」
「水無瀬さん、団長やっていたの?」
「小学校の時だよー。そこであんまり上手く言ったとは言えなかったのか、中学は副団長だった。」
やってたんだ。やりそうな感じは確かにある。しかし、それでも面倒だと言ってやらないのかと思っていた。
「十分すごいよ。」
「牟田は?今も指揮者挑戦しているし、やっていそうだけど?」
「…やってた」
それも、押し付けられまくった。もともと、前に出るのは嫌いではなかったから、それもあって断りきれなかったのだ。
「やっぱり?」
「うん。」
「大変だね。」
同情された。そして、自分に言っているようにも聞こえた。
「まあやることがある、というのは幸せなんだけれど。」
そう付け加えた。
「そうだね。」
同意できるだけに感慨深い。
「さっきの話に戻るけど、自分のことがなくても、応援はするよ。」
「なんで?」
何かまだ考えがあるのだろうか?
「やっぱ少数派は応援したくなるじゃん?」
「え、それってそんなに簡単な話なの?」
「そうだよ。牟田は応援したくならない?」
どうだろうな。
「なるかもしれないけど。」
「決め手にかけるかー。残念だなぁ」
「まだなにか隠している?」
怪しいよなぁ。
「せいかーい。これは女子だけだろうけど、女子の団長を増やしたいんだよね。」
「ふうん。」
「だから、今頑張っている女子の団長には頑張ってほしい。だから、応援する。そんな感じのことも含まれているよ。」
「へぇ。」
「あ、反応つまらない。この話題やーめた。」
「え?」
早!
まあもう心残りはない。
そうして、何でもない会話がまだまだ続くのであった。