1.入学式ー孤高ー
頑張ります。
ーガラガラ
その音につられて教室の入口を見た俺は、思わずため息をついた。そこにいた俺と同じ新入生…いや、少女は、綺麗だったのだ。美人…の部類には入るかもしれないが、結局は綺麗、その一言に落ち着く。そして、美しい、そうとも思った。
「おはようございます。」
そして、その人は挨拶をした。
嘘だろ!?こんなな雰囲気の中挨拶をする人がいるなんて…ショックを受けた。
もちろん誰も返さない。俺ももちろん返しはしない。
そんな中、その人は何事も無かったかのようにスタスタ歩き出した。
変な人もいるもんだ。さすが進学校。
そして、そんな人がいることが、とても嬉しかった。
その人は、俺の一つ前の席に座った。
俺は「牟田傑」だから、彼女の名前はま行のどれかだろう、そんなことに思いを馳せていたら、先生がやってきて、軽く入学式の説明をした。
そして、入学式。
「新入生代表挨拶、牟田 傑」
「はい。」
ちなみに、俺の一つ前の彼女は、「水無瀬洸」というらしい。まだ漢字まではわからないが、彼女の存在はほのかとは程遠いと思う。
挨拶もつつがなく終わった。
どんな感じだったかと聞かれれば…強いて言えば、他の人から見たらつまらなかっただろうな、ということだ。当たり障りのない挨拶。つまらないと思われるかもしれないが、進学校の入学式でふざけることなどできない。だから、仕方がない。そう答えるしかない。
校長先生の話はつまらなかった…というオチはなかった。
中学生の頃も校長先生の話は嫌いじゃなかった。というより、つまらない校長先生の話とは一体どういうものなのだ?興味がある。
さて、教室に戻ってきた。
これからいろいろ説明されるのか…と身構えてたら、自己紹介をしろ、と言うことらしい。
「先生は、小野田楓です。このたび、1年10組の担任になりました。担当は国語。読書が好きです。今日を楽しみにしていました。よろしくおねがいします。」
なんか…進学校だからと、もっと特徴的な先生かと思っていた…意外と普通の先生なんだ。
安心した。
「では、皆さんも自己紹介をお願いします。出席番号一番の方からどうぞ。」
そう言われ、廊下側の男子が立ち上がった。一番って最悪だよな。毎回はじめにされる。
「西中学から来ました青羽夏目です。趣味はゲームです。仲良くしてください。」
趣味はゲームか…最高じゃん!
「第二中学から来ました石橋咲です。友達をたくさん作りたいです。よろしくお願いします。」
今度は真面目そうな女子だった。
そうして、自己紹介は続き、水無瀬さんにやってきた。
「水無瀬洸です。趣味は読書です。檍中学から来ました…おすすめの本でもあれば教えてください。」
読書かぁラノベも読むのか?だったらおすすめはいっぱいあるんだけど。
それにしても自身がなさげに見えたのは気のせいだろうか?
こんな見た目をしていて自信がないというのは…また不思議な話だ。それとも、綺麗だと思ったのは俺だけなのだろうか?
次は俺の番だった。
「牟田傑です。ここには引っ越してきたばかりです。慣れないこともあるかもしれませんが、よろしくお願いします。あ、趣味はゲームです。」
任務終了。あとは聞き流すだけだ。
「森山星河です。名前の通り星が好きです。地学に興味があったらぜひ語りましょう。よろしくお願いします。」
地学に興味かぁ…うん、ないな。残念だ。
しっかし…聞き流すというのも意外と難しいぞ?思わず内容について考えてしまうではないか…
「「「さようなら。」」」
あのあと全員の自己紹介をきっちりと聞いたあと、軽くこの学校の話をされて、気をつけることも言われて、で、やっと今だ。
まだ緊張は抜けていない。知り合いがいる人はいいが、俺みたいに知り合いがいない人はまだぎこちないふうだ。
しかし、そんな中でも行動するのが俺!というわけで、ゲームが趣味で、一人ぼっちだったやつに声をかけた。全員やってきた。
やっぱ人の仲間作りたい欲って強えな。
半分来たら十分のつもりでいた。
約束をして、教室から出たとき、中を見たら、他の人は結構残っている中、水無瀬さんはもう帰っていた。
こんな感じですが、続きも読んでくだされば幸いです。