ちょっぴり特殊な薬屋さん?
……まあ、それはともあれ……さて、どうしよ。正直、今からでも帰りたい。帰りたいの、だけど……うん、流石にここまで来てそれは……それに……うん、やっぱりちょっと気になるし。
そういうわけで、恐怖を抑えつつゆっくり建物へ近づく。何やら看板らしきものがあるのを見るに、きっと何かのお店なのだろう。……まあ、全然読めないけど。何語なんだろうね、これ。ともあれ、恐る恐る……本当に恐る恐る、扉を開くと――
「…………あれ?」
見ると、誰もいない。視界には、仄かに明かりの灯る薄暗い空間――そして、そこには外観に違わぬ禍々しい雰囲気があるだけ……うん、やっぱり帰ろっか――
「――あれ、お客さんかい?」
「…………え?」
回れ右して引き返そうとした直後、何やらおどろおどろしい声が耳をざわつかせる。恐る恐る振り返ると、そこには――
「……ちょいと嬢ちゃん、そんなすぐに帰ろうとするなんて寂しいじゃないか。ちょっくら見ていきなよ」
「……あ、その……はい」
そう、何とも不気……いや、個性的な笑みで告げる長い赤髪の女性。……まあ、そう言われたら見ていくしかないよね。
そういうわけで、仄かな光を頼りにぐるりと店内を巡っていく。えっと、骸骨……骸骨……骸骨……いや骸骨ばっかじゃん! 何のお店なのここ!
すると、そんな私の叫び(心の)に答えるようにニヤリと笑う赤髪の女性。そして――
「――ああ、察しの通りだよ嬢ちゃん。ここは薬屋……だけど、ちょっとばかし特殊なねえ」