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不思議な空間?
ほどなく、ポツリと声を洩らす。なんと、目の前には更に狭い路地が続いて……うん、流石にそれはなくて。だったら流石に帰るわ。
まあ、そんな小ボケはさておき――晴れた私の視界には、地元の公園くらいの敷地。……うん、地元の公園がどのくらいなんだという話ではあるけれど……そこはまあ、ご自由に想像いただけたらと。
ともあれ、そこには穏やかな陽光に包まれ仄かに輝く木々や草花、そして鈴のように耳をくすぐる小鳥の囀り。うん、何とも心地の好い。心地の好い……はず、なのだけども――
「…………えっと……あれ、なに……?」
そう、ポツリと零れる。そんな私の視線の先――この空間のだいたい真ん中奥の方には、何とも禍々しい雰囲気を纏う漆黒の建物。そして、壁の至る所におどろおどろしい真っ赤な文字が……うん、これだけでもう全部台無しだよ。