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一つの理解
「…………あ」
――ふと、目を醒ます。そこには、見覚えのない白い天井。ゆっくりと身体を起こし辺りを見渡すと、積み重なった銀のお皿や立派な燭台……そして、幾つもの壮大な宗教画が。朧な意識ながら、ここがどういう場所なのかは流石に察せられて。そして、私がどうなったのかも――
「……あら、おはようエルマ。よく寝てたわね」
すると、穏やかな微笑で告げる修道服の女性。果たして、ここは修道院――どうやら、私はここで保護され育ててもらっているようで。そして、ほぼ同時にもう一つの理解へと至る。
……どうやら、上手くいったみたい。どうやら……あの日、彼と会わずに済んだみたいで。