役割と共生
蓮side
「狩り班の皆さん。僕の方に来てください。」
僕は今、少し心がムッとしてる。さっき、にぃにに帰ってきたことを伝えようとしたら、避難民の人が怒鳴っていた。僕達は頑張って生活してるのに、にぃにはもっと頑張ってるのに。なんだか、避難民の人が気に食わない。でも、にぃにに頼まれたことだからしっかりやって見せる!そんな事を考えていると、班の人たちが集まってきた。4人くらいだ。
「では、座ってください。」
ぞろぞろと移動した。
「では、狩り班の仕事についてー」
その時、
ガタッ
誰かが勢いよく立った。
「お前、何歳だ!」
「7歳ですが、」
「まだ子どもじゃねえか。こんなおこちゃまに狩りができるのか?」
「僕は、この家の狩り係です。全員分の肉を用意してます。あなた達より動けます。話の続きをするので、お座りください。」
「ふんっ」
不服そうに座った。
「それじゃあ、気を取り直して狩り班の仕事について説明します。
まず、仕事は狩りです。だけど、この辺にはあまり大きな獲物は出ないし、皆さん全員分の食料を取ると生態系が壊れます。だから、3日ごとに、山へ行ってもらいます。ただ、全員で行くと体力的にも、いどうこうりつ的にも悪いから、2人に分かれてもらいます。バランスが同じになるように。3日交代と言っても、ここにいる日には、家事班のちから仕事を手伝ってもらおうと思います。内容は、家事班の、小春お姉ちゃんとこなつちゃんに聞いてください。つぎに、狩りするときの注意することだけど、怪我に注意すること、今は、医療用品にも限りがあるので怪我には気をつけてください。キノコも、素手では絶対に取らないでください。使った矢は可能な限り回収してください。洗ってまた使います。狩った獲物は、血抜きをして、解体してから持って変えるようにしてください。狩る獲物は、1頭までにしてください。あと、米を見つけたら、すぐに取らずに僕達に報告してください。それだけです。移動手段は、1人をカートに乗せて、もう1人は、自転車で引いてあげてください。帰りは交代です。ここまでの内容でわからないこと、ありますか?」
しばらく待ったけど特になかった。
「では、これで終わりです。ご飯の用意の手伝いをお願いします。」
小春、小夏side
「では、家事班の方々は、こっちに集まってください。」
「こっちだよ~」
ぞろぞろと、集まってきた。全員で8人が来た。女性が2人。あとは6歳から8歳の女の子たちが6人。
「では、説明させていただきます。
基本的に、仕事は洗い物や、布団干し、二ヘルの掃除、水汲み、2週間毎のお風呂の用意。濡れタオルの用意、食事の支度、1ヶ月毎の電石の確認と交換です。まず、こちらについてきてください。」
私達は普段使っていない、”丸鶴そば”のキッチンに向かった。
「皆さんには、ここを使って食事の支度と、食器洗い、濡れタオルの用意をしていただきます。食材は、ここの冷蔵庫を使ってください。この冷蔵庫のコンセントは、絶対に抜かないようにしてください。入れた食材が腐ります。その他は、皆さんで自由に用意してください。ただ、1日で食材を使い切らないように、次の日分の食材は、念の為残しておいてください。次は、食器洗いについて説明します。食洗機はありますが、電力の消費が激しいので、このシンクを使って、手洗いしてください。洗剤は、このカップ1杯分くらいの量を使ってください。このカップで、80mlくらいなので、これで、1日の洗い物を洗ってください。お風呂は、最後に、濡れタオルはお湯を沸かして、タオルを必要な分だけ桶に入れて、お湯をかけて下さい。温度は、このくらいほんのり温かいくらいになるまで放置して下さい。」
そう言いながら、私は、なつに手伝ってもらいながら実演して説明した。
「あ、あの」
そう言って手を上げたのは、毛先が荒く切られたおかっぱの7歳くらいの女の子だった。
「はい。どうぞ。」
「え、えと。お水とかはどうするの、ですか?」
「ああ、水については、今から説明します。」
そう言って、笑いかけた。
「では、ついてきてください。」
私達は、フードコートにある、ウォーターサーバー的なものの前に来た。水を入れている。
「ここに、煮沸消毒して冷やした、川の水を、3日間で、この30l入るウォータータンクを100個分汲んできてもらいます。今日は、ある程度汲んでおいたので、水使えます。」
「あの!そんなに水、私達だけじゃ1日で運べません!」
金髪の女性が勢いよく言った。
「ああ。それについては、狩り班の休みの日に手の空いている人に手伝っていただきますので。川からの水汲み、それのここまでの運びをお願いします。要は、バケツリレーです。煮沸と冷却は、ここでやります。」
「それなら、できるかも。」
「では、他に質問はありますか?」
とくになさそうだった。
「また、ついてきてください。」
私達は、二ヘルに向かった。
「敷布団とレジャーシートを上げて床をホウキで掃いてもらって。ゴミは、4箇所くらいに、集めてこのゴミ箱に捨てて下さい。布団は、フードコートのベランダに物干しスペースがあるので、そこに干して下さい。取り込むときは、この布団叩きで叩いてから入れて下さい。ここまでで何か、質問はありますか?」
なにもないようだった。
「では、お風呂の用意の仕方ですが、下の階に、子供用プールがあるので、それを外において、外にIHコンロを持ってきて、各自が入るときに、お湯を足して入れて下さい。それで準備OKです。つぎに、川の場所に向かうのでまた、ついてきてください。子どもは、カートに乗ってついてきてください。」
「「はい。」」
私達は外まで来た。
「こうやってのるんだよ。わかった〜?」
「「は〜い」」
なつが他の小さい子に得意げに乗り方を教えている。8歳の子の2人は、足が届かない子を手伝ってくれてる。なつも乗せてもらったみたい。
「ありがと〜」
「「ありがと〜」」
「なつ、偉いね。ありがとうって言えて。二人も手伝ってくれてありがとう。」
「い、いえ。」
「どういたしまして」
そう小さな声で答えてくれた。
私達は、川へ出発した。