表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血鬼狩人、宿敵と同居する  作者: せいいち
日付不明 一年目
85/104

日付不明 白昼夢

アルファポリスの近況ボードに書いたやつ二つです。

@その1:先生と俺

「おまえはこれを読み、理解し、畏れなければならない。」

 彼の前に放り出されたのは一冊の分厚い本だ。呆然と眺め、箔の凹みを指で押し、縁の膨らみを潰した。

 彼にとって文字は連なった小さなおもちゃだった。繋がった曲線を塗りつぶし、繋がらぬ曲線を繋げ、点に穴を開け、最後には紙自体を破く。

 あるいは目に留まらないか、手に届かない模様でしかなかった。

「おまえは知らねばならない。おまえ自身を、そして吸血鬼の生きるすべを。」

 数年して、幼い吸血鬼はその本を読めるようになったが、終ぞ理解はしなかった。



@その2:ファースト・エンカウント(あるいは狩人の物心)

「ダメだ」

 義兄に否定されて安心していた。

「人を傷付けて、それを嬉しいなんて思っちゃいけない。たとえそれがお前の倒すべき運命だとしても。敵でも傷付けて喜ぶなんて、正義の味方のやることじゃないよな」

 じゃあ自分は正義の味方ではない。そんなものなれなくていい。あこがれもしない。反骨心に下を向くと、雪が剥けた地面が見えた。

 義兄は肩をすくめて、頭をぽんぽん叩いた。それから小さな肩を抱いて、無理やり帰路に引っ張っていった。歩く気が無さそうなら脇に抱えるつもりでいた。

 朝日が木々の頭に被さって、長い影を作っていた。

「帰ろう。お前の秘密は内緒にしといてやる」

 ただ彼をもっと知りたいだけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ