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吸血鬼狩人、宿敵と同居する  作者: せいいち
十二月・浮かれ切った年の瀬に
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12/7(日) クリスマス・プレリュード

「そういえば君、クリスマスに何かやるんだ?」

「あ? 誰が救世主の誕生日なんて祝うかよ」

 プレゼントの用意はしているのに。つんけんした態度の吸血鬼にほら、と狩人は吸血鬼が借りて来た本を指す。

 今朝行った図書館も今月はクリスマス一色で、吸血鬼はつい無数にあるクリスマスの絵本のうち、特に料理に関する絵本を一冊借りてきてしまった。こうして定住して人間らしい暮らしをしているのだから季節感は大事にしようと考えている吸血鬼でも、己の敵の首魁たる神とかの誕生日を祝うのはなんとなくの抵抗があった。クリスマスに対する理解も雑だった。チキン食って酒飲んでワイワイガヤガヤやるんだろ。それくらいだった。ワイワイガヤガヤやるのはいい。自分も好きだ。それが誕生日でないのなら。吸血鬼は宿敵が生きている限り、誕生日にいい思い出は出来ない。

 狩人はこの前アドベントカレンダーを買ったのを見る限り、はしゃいでいた。きっとクリスマスが好きなのだ。

「でもまあ、お前が頼むんなら、ジンジャーマンクッキーぐらい作ってやるよ」

「お願い」

「うむ、よかろう。クリスマス当日にその気分になるかどうかはわからんがな……期待しないで待ってろ」

 ぺちん、と手を合わせて己を拝む宿敵の姿に、吸血鬼はまんざらでもないとふんぞり返った。

 クリスマス、悪くない。美味いものも食べられる。自分が作らなきゃならないけど。飯のことなら面倒だから何ぞ総菜を買えばいいが、自分の手作りは自分が作らなけりゃ手に入らない。それはもどかしい。

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