(4)
「じゃあ、いくら聞いても、理由を教えてくれなかったら……?」
うーん……エリスはまた考え込む。
「どうでもいいヤツだったら、ほっとくね。めんどくさい。でも、ほんとに好きなヤツだったら、……殴るかな」
「な、殴る……?」
「だって腹立つじゃん。理由も教えてくれずに、シカトされるとか……」
そりゃ、確かにそうだ。
「はははは……殴る、か。いいな、それ」
コールは思わず笑っていた。
「お前、虐げられて育った割には、いいヤツだな……」
コールは笑ったまま言った。
「いいヤツ……?何言っちゃってんのコール、やっぱりあんた、落ち込んでるでしょう?」
「うるさいな。俺のどこが落ち込んでるって?お前はクソガキのくせに、いちいち生意気なんだよ」
コールはエリスの頭を小突いて言った。
「いてーな、何すんだ、おっさん…… !そんなことするんなら、闇術、教えてやんないぞ…… !」
エリスも遠慮なくコールの肩を小突いた。
親と子ほども離れた二人の、仲の良い小突き合いが続く。
…… 分かったよ、ほんとに好きなヤツなら、殴れ、だな。
とことん、向き合えってことだろう。
何も難しい話じゃない。むしろ、俺の得意分野だ。
「エリスよ、お前に感謝するぞ。お陰で目が覚めた」
エリスという十二歳の少年のおかげで、俄然、やる気を取り戻したコールであった。




