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「刃を引け、オーランド。お前も陛下のお眼鏡にかなった五人のうちの一人だ。悪いようにはしないだろう。何か不都合なことがあれば、俺から陛下に掛け合ってやる」
「そんな……、貴方は僕を、罰しないのか?何度も貴方の命を取ろうとしたのに……?」
「仕方なくそうしていただけなんだろう……?子憎たらしいヤツだとは思うが、俺はお前を恨んではいないよ。それに、お前のような優秀な人材を失ったら、それこそランサーにとって大きな損失だ。せいぜいお国のために、励むことだな」
オーランドはその言葉を聞いて、やっと刃を納めた。
「しかし、貴方も人が悪いよ。初めからすべて話してくれていたら、僕だってこんなに悩まなくても済んだのに」
「だから、確証がなかったと言っているだろう?お前が本心から、俺を殺そうとしている可能性だって大いにあった。それに何より、陛下からは厳重な箝口令を出されていたんだから。おめおめ反対勢力の手先に手の内を明かしたりしたことがバレたら、それこそ俺が殺されるところだ」
陛下はオーランドが反対勢力の手先になることすら、了承の上で人選したに違いない。オーランドの問題にどう対処するか、すべてをひっくるめて陛下の試験だったと言うわけだ。お陰でこっちは殺され掛け、オーランドは上官殺しの罪に苛まれそうになっていたと言うのに。
あのお方にとっては、コールもオーランドも、玩具のコマの一つぐらいにしか思われていないのだ。
ともあれ、このようにしてコールは、ラマン・オーランドという、賢くて優秀な、絶対に自分を裏切らない部下を獲得し、エンティナス・コール率いる、最強の小隊が出来上がったのだった。
さらに言えば、このことをきっかけに、コールは恐ろしい「自称友人」も得ることになるのだが、そのことが、更なる困難をコールに与えることになるのは、それからさらに三年後のことである。




