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幼馴染みは鈍感姫④



先程までの歓声が嘘のように、闘技場全体が静まり返った。



ウィルが剣を構える。相手の騎士が一歩前に出て、じゃりっと砂を踏む音が届く。



その瞬間、ウィルの剣先が火花のように弾けて、相手のバシネットへ叩き込まれる。


ガキィっと硬い音がした。


すんでのところで、相手の騎士が盾を突き上げたのだ。


剣を弾かれて無防備になったウィルの胴体に、騎士が剣を突き出す。



が、その剣はウィルには届かなかった。


盾で軽く剣を受け流したウィルは、疾風ような激しさで打ち懸かる。


闘技場に、激しく打ち合う剣の音が雷鳴のように響く。


思わず目を瞑りそうになる。


「ウィル!!!」


叫んだ私の声が届くと同時に、ウィルの剣が相手のバシネットを捉えた。


ガンっと嫌な音がして、相手の騎士のバシネットが弾けて跳んだ。



真っ直ぐ剣を構えるウィルの向こうで、ゆっくりと、相手の騎士が仰向けに仰け反った。


そのままズシッと地面にひっくり返る。




「勝者!ウィリディス マリス!!!!」


審判がウィルの勝ちを高らかに宣言すると、闘技場が歓声で揺れた。



「凄いですねえ!ウィリディス様!勝ちましたね!」


はしゃぐマルコに、私は頷いて見せる。


「・・・ねー!ウィルが勝ったわね!良かったあ・・正直心臓が痛かったわ。こんな思いをあと何回しなきゃいけないのかしら・・・。」


ウィルが強いという事は、ウィルにとっては騎士団での上司でもあったうちの父親から聞いて知ってはいるけれど、私にとってはやっぱり今でも、ウィルは口うるさいお兄ちゃんなのだ。



「・・・・家族のこういう場面はどーにも心臓に悪くてよくないわ・・。」


父親が出てなくて本当に良かったと思う。



ウィルにしろ父親にしろ、他人にとって如何に鬼神のごとく強かろうと、私にとってはただの口うるさいーずなのだ。


面白いユニットというか、芸人枠というか・・違うな。何だろう?



「・・・・はっ!身近すぎて、全然格好いいところが想像できないんだわ!!!!」


「それ本当に口に出したら駄目なやつだと思いますよ、マリア様。」


マルコが固まる。


「でも、じゃあ何でソルの事は心配しないの。」


ライナスが少し首を傾げる。


「え?うーーーーーん。・・・・うーーーーーん?」



あれ?


確かに。


私、一番身近で、大好きで、可愛くて仕様がないのに、何でソルの事は心配じゃないんだろう?


まだ、あんなに小さい背中をしてるのに。


「いや、でも、えっと・・。何だろ?何か、ソルは負けないって、信じてられるっていうか・・・。」


マルコとライナスがぽかんと私を見上げている。


いや変なこと言ってるっていうのは私も解ってるけど!!!!!!!



そうだよね、本来、ソルは子供なんだし、私が守ってあげなきゃいけない立場だよね・・・?


でも、何だか、最近のソルを見てると、可愛らしさと同時に、ソルならきっと大丈夫っていう妙な安心感が・・・・・・・。



「・・・なんだろ、これ。ねえ?何だと思う?この気持ち。」




眉を八の字に落とした情けない顔の私に、マルコとライナスの、


「知らないですよぉ。」


が追い討ちをかけて、私は途方にくれたのだった。


鈍感な主人公って好きです。


いや、単純に、僕が単細胞過ぎて聡い主人公が書けないだけかもしれんが・・・。

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