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幼馴染みは鈍感姫①

試合はどんどん進んだ。

日が高くなる頃には半分以上の試合が終わり、腕試しや記念で大会に出場したエンジョイ勢が帰った分、手に汗握る迫力満点の試合が増えた。



「さっきの人強かったねえ、北の国の騎士様なんでしょ?」



遠目で良く解らなかったけど、身長の割に随分と線の細い騎士様だった。

うちの国の騎士を相手に、最後の最後で派手な水魔法でぶっ飛ばすという鮮やかな勝ちを決めた。


「魔剣士ってやつよねえ。初めて見たけど凄かったねー!」


うちの国では魔法というものが発達していない。

これは大陸の南側にある国全てに共通するのだけれど、実り豊かで基本的に食べるに困ることがない南側諸国ではそもそも魔法の研究をする必要がないのだ。


冬暖かく、夏涼しく、干魃も水害も冷害も少ない。


そして何故か魔物が出ることも殆どない肥沃な土地。


南では生きてるだけで生きていられる、という諺があるように、何もしなくても天からの恵みが降ってくる。


逆に北側諸国はとても過酷な土地だと聞く。


冬は厳しく、日照時間もとても少ない。作物も育ちが悪い。それなのに短い夏は過酷で、砂漠化した土地もある。魔物も多い。


人が生きるには適していない。


伝説では、そんな土地を開墾するために魔法が始まったのだという。


創造神は、南側に肥沃な土地を授け、北側に魔法を授けた。


東と西にもそれぞれ授けたと言われているけれど、顕著なのは北側だ。


魔物が跋扈する大陸で、どうして生きていけるのかと言うと、さっきの魔剣士のような人知を遥かに越えた魔法を使いこなす人間が多く排出されているからだ。


そのお陰で、北側諸国では痩せた土地には珍しく裕福な国が多い。


魔法さまさまである。


私も、折角ファンタジーな世界に転生したなら人生で一度くらいは魔法というものを見てみたいなと思っていたので割りと今興奮していた。


「良いなあ、魔法。使ってみたいよね、こうさ、アクアストリーム!的な!」


いや、穿(うが)て!篠突く(あまのさかほこ)!の方が格好いいか?!


「何ですかアクアなんとかって・・・。」


「格好いい魔法よ。」


マルコとライナスが呆れ顔で見つめている。


「いやあ、剣で戦ううちの国の騎士様もそりゃあ格好いいけどさー。やっぱりこう、ド派手な感じがして良いじゃん魔法って!」


「訳がわかんない事言ってないで応援しますよ!次、ウィディリス様の出番ですよ!」


「え!!!」


慌てて目を遣る。

遠く離れた入場口から、見慣れたシルエットが歩き出した。

相変わらず悔しいくらい顔が小さい。手足が長い。


キャーと一際大きな歓声が起きて、ウィルの人気も遂にアイドル並みになってきたと思う。


特に二階席の、貴族席の辺りからは悲鳴にも似た黄色い歓声が起きている。


こりゃ、社交界のスーパースターだわ。



私なんて近くに居たら、次こそ何処ぞのご令嬢の雇ったゴルゴさんにでも射殺されてしまうだろう。



本人は知ってかしらずか、全く無視を決め込んでいるけれど、それすらも絵になるのだから美形は恐ろしい。


私がそんな下らない事を考えていると、審判が始まりの合図をした。

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