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謝罪をした当初、家庭教師の先生方はとても驚いていたし、私の言葉を信じてはいなかった。マナーの先生に至っては私を容赦なく叱り飛ばし、王族としての振る舞い、王女という立場、淑女のマナー、今まで私に真剣に伝えてきた言葉をもう一度、一から厳しく指導してくれた。
「アイリーン様、お疲れ様でございます」
「ありがとう、レイラ」
毎日、クタクタになるまでマナーレッスンを受け、家庭教師の先生方の授業も真面目に取り組んだ。正直、私の手の込んだいたずらだろうと思われていたので、予習復習を欠かさず行って授業に行ったときは大変驚かれた。
でも、その反応は自分のしたことの事の大きさでもある。可愛い子どものいたずらなんて言葉で済まされないことをしてきた、私への周囲の評価。
「もしかして……、あれは予知夢だったのかな……。いや、まさかね……」
授業に一生懸命取り組み、わからないことはきちんと質問し、予習も復習もちゃんとやって……、そんな態度を崩さずに頑張れば、疑っていた先生方も私をまた、評価してくれるようになった。最初はかなり戸惑っていたようで、何か機嫌を損ねたらと不安に思っていたようだが、私の態度を見て改めた。そして、頑張る私に先生方も応えてくれるようになった。
「アイリーン・レインヴェルクに、未来視の力はなかった。それは公式ファンブックにもあったし、ゲームでもあった。じゃあ、あれは……ただの夢か……?」
レイラのいない、一人の空間で紙にこれから起こるであろう出来事を書き出していく。もちろんアイリーンが悪役のままであった時の、ゲームでの出来事の話だ。だからこれから先、全く同じことが起こるかどうかもわからない。だけど、覚えている間に書き出していれば、対処はできる。
「アイリーン様、お食事をお持ちいたしました」
「レイラ、ありがとう」
食事にも文句をつけていたアイリーンだったけれど、私になってからは適切な栄養バランスの取れた食事に変わり、年齢にしては太っていた私は少しずつ痩せている。食事の力って大きいと実感した瞬間だ。レイラが持ってきてくれた食事をマナーを意識して、完食した。私が文句を言わずに食事も残さず食べるようになってから、シェフは栄養を考えて出してくれるようになったと、あとでレイラから聞いた。
「私は、きっと変われる」
そんな、幼いながらに悪役の道を爆走していたアイリーンから更生し、新たなアイリーンとなった私の話が今まで会うことのなかった父親、国王の耳にまで入った。
「アイリーン王女殿下、国王陛下がお呼びです」
父の懐刀である宰相閣下自らが私を呼びに来て、私は父と対面することになった。前世を思い出してから初めて会うし、前世を思い出す前の記憶を見ても、私はどうやらほとんど会ったことがなかったようだった。
