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敵なのか、味方なのか、それともそのどちらでもないのか、大きな違いがある。私にとって味方であるというのならば、警戒をする気持ちが少しなくなる。でも、敵だったらそういかない。


「どうすればいいの……っ、敵だったら、そこの派閥なのかも知らなきゃなんないし……。それに、今味方だと決めつけてはいけない……。疑わしきは罰しないというけど……、その言葉を借りるなら全部敵だって思っていかなきゃ、足元をすくわれる……」


ぼそぼそとつぶやきながら書物を本棚へ返す。調べたいことは調べられた。私の予想通りだった、でもそれよりもっと大きな問題にぶち当たってしまった。


「そもそも、あの騎士……、仮定として騎士だけど、お父さまは顔を変えていることを知っていらっしゃるの……?いや、まって……」


もしも、あの騎士がお父さまの命令で動いているのだとすれば……、考えすぎか……。もうやめよう、そう思い、まだ時間があったので未来視について調べることにした。


「……っ」


 未来視に関する記述というのは憶測の域を出ないものも多い。本当に実際の記述というのが少ない。昔に遡れば遡るほど、そうだ。魔法以外の力を有する人が昔は多かったようだけど、それでも少数。昔はその少数の人たちは魔法以外の力、いわゆる異能を持っているというだけで迫害対象だった。


前世でいうところの魔女狩りに似たようなことが、行われていたという記述もある。それだけその他大勢の人が持つ力と異なる異能という存在は特別視される。


 今でこそ、異能、特に未来視に関しては教会などで保護されている。だけど、今現在、教会に保護されている未来視の異能を持つ人を私は聞いたことがない。隠しているだけのような気もするけれど、噂というのは出るはずだ。その噂さえもないとなると、本当にいない可能性はある。


「失礼いたします、アイリーン王女殿下。お時間です」


 思考の渦に飲み込まれそうになっていたら、もう時間になったらしくあの騎士が迎えに来た。私が彼を殺したわけじゃないし、あれはゲームの中の話だったから本当に起こったことじゃないけど、どこか気まずい。彼の顔を直視できず、怪しまれない程度に顔をそらして返事をした。


「アイリーン様、そろそろお休みになられないと、明日がしんどいてすよ」


「そうね、もう休むわ……。ありがとう、レイラ」


「それでは、私はこれで失礼いたします」


 あの騎士と離れて部屋に戻った後、しばらく眠れなくてまた教科書を開いていた。でもさすがにそろそろ、と止められたのでおとなしくベッドに潜り込む。私が不在の間に双子の侍女から報告書が届いていたので、明日はそれも見なければならない。


「やること、たくさんね……」


勉強もやって、魔法の練習もして、公務の手伝いもあって……。しなくてはならないことはたくさんある。あと数年もすれば私も王立魔法学院に入学する。それまでに今必要な知識はほとんど習い終わった。だからまだ時間は作ることができる。


「大丈夫よ、私なら」


 前世の口癖は、時間がないだった。でも時間がないのは作ろうとしていないからだと学生時代に指摘されて、時間がないというのはただの私の怠慢なのだと知った。すべてがそうなのだとは思っていないけれど、私の場合はそうだった。


「はやく、力をつけないとね」


 誰も彼もを守れる力を、つけて。自分の死亡フラグはへし折っていかなくちゃならない。まだ私はヒロインのセシル・イディアに会っていない。彼女もいる王立魔法学院へ入学するのはいろんなリスクがある。自分を守るためにも頑張らなくちゃならない。



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