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第六話

 騎士学校で愛しのラインハルザ様に再会したわたくしは、自身の魔術で作り上げた黒い鎧に身を包んでいた。

 

 いくらわたくしが周囲にはお義兄様だと認識されているとしても、実際にはちょっと魔術の才能があって、剣術の才能もある天才だとしても、か弱い乙女なのですもの。

 身体強化と保護、そして万が一術が解けてしまった時のための保険として鎧を装備しのたの。

 

 再会したわたくしというか、傍目に見たお義兄様が漆黒の鎧姿をしていたことにラインハルザ様はすごく驚いていたわ。

 そんなラインハルザ様にわたくしがお義兄様の声真似と言っても全然似ていない声で話しかけたけど、鎧越しの聞き取りにくい籠った声の所為で、声の違いはあまり気にされなかった。

 

「ヴィクター?どうしたんだその鎧?」


「あぁ。ちょっとな?格好いい鎧だろ?」


「そうだな。黒くて格好いいな」


 

 それよりも、あの屑……、じゃなくてお義兄様は、いい仕事をしてくれたわ。

 なんと、寮の部屋がラインハルザ様と同室だったのよ。

 こんなに喜ばしいことなんてないわ!!

 

 貴族用の部屋なので、リビングルームにミニキッチン、トイレにお風呂も完備。さらに、お互いの寝室もあってプライベートも守られているの。

 わたくしは、同室となったラインハルザ様と過ごせる幸せに、これまでの地獄がすべてこの時のための試練だと思えば安いものだと、毎日が心踊る日々だったわ。

 

 ラインハルザ様ったら心配になるくらい無防備で、本当に襲ってしまいそうで、毎日が天国で、ある意味地獄だったわ。

 

 例えばこんなことがあったわ。


 ある日、授業が終わった後、部屋に戻ったラインハルザ様は、いつの間にかリビングルームのソファーで眠ってしまっていたの。

 

 ラインハルザ様は、月のような美しい銀の御髪を短く切っていた。

 男らしい意志の強そうな眉に、今は瞑っていて見えないけど、澄んだ青空のようなブルーの瞳はいつ見てもわたくしを虜にした。

 体つきも一見細そうに見えたけど、綺麗に筋肉の付いた彫刻のように美しい体をしていたわ。

 眠っているそのお顔は少しだけ幼く見えて、可愛くて可愛くて食べてしまいたいほどだった。

 もし、わたくしが鎧を着ていなかったら、上から覆いかぶさっていたことだろう。

 まぁ、そんなことしてしまえば鎧の重さでソファーが沈み起きてしまったと思うから、そんな勿体ないこと出来なかったわ。

 わたくしは、自分に焦ってはダメだと言い聞かせながら、可愛いラインハルザ様の寝顔を堪能していた。

 

 そう、今はお互いに友好を深める時期なのだと。


 

 だけど、友好を深めた後はどうしたらいいのかとわたくしは頭を悩ませていた。

 まぁ、お義兄様だと思われている時点で何の発展も望めないけれど。


 でも聞いてしまったのよ。

 ラインハルザ様は、女性が苦手だという情報を。

 なんでも、小さくか弱い女性が壊れてしまいそうで怖いのだというのだ。

 それを聞いたわたくしの感想は、「ラインハルザ様、なんて可愛らしいの!!」だった。

 

 だってそうでしょう?

 意外と女は逞しいのよ?なのに「自分が触れたら壊れてしまいそうだから」と言う理由で、女性が苦手なのよ?

 可愛い以外の何者でもないわ!!



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