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第十一話

 ラインハルザ様は、侯爵家を継ぐために騎士団を脱退することになった。

 わたくしはと言うと、そんなラインハルザ様に付いて行きたいのはやまやまだったけど、できなかった。

 本当は、すぐにわたくしも騎士団を脱退して後を追いかけるつもりだった。

 だから、名残惜しそうに旅立つラインハルザ様を励ますように言ったの。

 

「ハルザ。僕も残ってる業務を片付けたら、すぐに行く。お前を手伝う」


「ヴィー……。ありがとう。待ってる」


 こうして分かれた後、すぐに持っていた案件を片付けた。

 そして、急いで旅立とうとした時だった。

 

 なんと、お義父様とわたくしの代わりに嫁いだはずのお義兄様が騎士団に乗り込んできたのだ。

 

 

「お前は!!なんてことをしでかしてくれたんだ!!」


 そう言って、鬼の形相でわたくしに詰めよる二人を見たわたくしは、術が解けてしまったことを理解していた。

 

 わたくしはと言うと、とうとうこの時が来たと溜息を吐いていた。

 

 騎士団の仲間たちはと言うと、この状況にただただ困惑していた。

 だけど、お義兄様は自分の中の鬱憤を晴らすようにわたくしに詰めよって喚き散らしていた。

 

「お前の所為で、僕は、僕は!!あの色狂いのヒキガエルに毎日抱かれていたんだぞ!!あんな気持ち悪い肥えた肉の塊のヒキガエルにだぞ!!」

 

 そうやって、公衆の面前だというのに、毎日その気持ち悪い旦那様にどんな風に抱かれたのか喚き散らしたのだ。

 聞きたくもない話をされていたわたくしは、欠伸をかみ殺してその場をやり過ごそうとしたけど、そうもいかなかった。

 お義兄様を押しのけるようにして、今度はお義父様が喚き散らしたのだ。

 

「この恩知らずの恥知らずが!!お前を拾って育ててやった恩をこうも仇で返すとは!!」


 きゃんきゃんと子犬のように喚き散らす二人にうんざりしていたわたくしは、心の奥底にしまっていた鬱憤を吐き出していた。

 指を鳴らし、身にまとっていた鎧を消して、生身になってから口を開いていた。

 

「はぁ。うるさいですわ。そちらがそう言うのでしたら、わたくしの言い分もお聞きになってくださるわよね?」


 そう言って、わたくしは声高々に伯爵家の醜聞……と言う名のわたくしの身に起こった醜聞を吐き出していた。



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