表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の悪役令嬢は愛されすぎる  作者: 葵川 真衣
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/119

37.謎


「いえ……お気を遣わせてしまって、私こそ申し訳ありません……。クリスティン様が謝ることはないのです。ただ……」


 彼は切なげに溜息をもらす。


「クリスティン様とアドレー様が手を繋いで夜を過ごすことを思えば……」


 クリスティンはメルの手に両手で触れた。


「わたくしが、こうしてあなたに触れるのは、あなたが好きだから。アドレー様や他のひととは違う」


 彼の顔が近づいてきて、クリスティンの唇に唇で触れた。


 それから彼は、はっと身を引く。


「……すみません」

「……謝らないで」 


 クリスティンは彼の頬に掌を添えた。


「嬉しいから」

「クリスティン様……」

 

 啄むようなキスを交わす。

 滴るような甘やかな幸福を胸に覚える。

 

 だが無常にも、馬車が屋敷に到着してしまった。

 名残惜しく思いながら、馬車から降りた。




◇◇◇◇◇




 襲撃者のことを耳にしたらしいアドレーが、公爵家に夕刻やってきた。


「クリスティン、昨晩のことを聞いたよ、大丈夫だったのか!?」


 大丈夫だったから、アドレーのお見舞いに行けたのである……。


「ええ、アドレー様。病み上がりですのに、こちらにいらっしゃるとお身体に」

「私はもう治った、それより君だ! どうして昨日話してくれなかったんだ……!?」

「それは……」

 

 クリスティンはアドレーの剣幕に少々圧される。


「アドレー様が快復した後で、お話ししたほうがよいと思ったからですわ」

「まさか、王宮で危険な目に遭うなど……」


 アドレーは奥歯を噛みしめ、クリスティンの肩に両手を載せた。


「このままでは私は、心配で心配で仕方ないよ……! 君には私の傍で暮らしてもらいたい! いっとき、学園は休学してくれ」

「……え」


 クリスティンは呆気に取られる。

 きらきらしいアドレーは、まっすぐにこちらを見つめ、切々と訴える。


「私の傍で、王宮で暮らしてほしい」

 

 クリスティンは彼の手を肩からそっと離させた。

 メインヒーローの傍で暮らしたりなどしたら、破滅に近づくだけだ。

 部屋の奥に控えているメルに誤解されるのも嫌だ。


「わたくし、昨晩王宮で不審者に遭遇しました。王宮も安全とはいえませんわ。どこにいても同じです、休学しませんわ」

「だが……」

「ご心配なさらないでください。昨晩も、メルが不審者を撃退してくれましたから」


 アドレーは目を眇めてメルを見る。


「そうか」

 

 彼は大きく息を吐き出し、クリスティンに視線を戻した。


「……襲撃以外に、何もなかったかい?」

「ありました」

「何があったんだ……!?」

「これも、後でお話ししようと思っていたのですわ。王宮の廊下で、異空間にまた閉じ込められたのです。以前より複雑な空間でした」


 アドレーは蒼白になり、拳を握りしめた。


「……犯人を必ず見つけてみせる……!」


 アドレーは決意表明をし、クリスティンの額に口づけた。


「アドレー様」

 

 慌ててクリスティンはアドレーから離れた。


「そ、それでは何かおわかりになりましたら、お教えくださいますか? 病み上がりですし、あまりご無理はなさらないでくださいませ」


 アドレーが帰ったあとも、メルの機嫌は悪く、クリスティンは困った。


 襲ってきた者が何者なのか、その動機も気になるけれど、メルのことが好きなのに、アドレーと仮にとはいえ婚約している今の状況が、非常に辛かった。




◇◇◇◇◇




 週明け、学園に戻れば、クリスティンは放課後、オリヴァーに声を掛けた。


「大事なお話があるのです」

 

 クリスティンを悩ませる謎のひとつ。それが、このオリヴァーのとった行動だ。


「この間の提案の件についてですか?」

「いいえ、違います。けれど、それに関することですの」

 

 メルが有無を言わさず彼に告げた。


「屋上に来てください」


 オリヴァーは顎を引く。


 三人で教室から出たところで、ルーカスと鉢合わせた。


「クリスティン。オリヴァーが、君におかしなことを言うのではと少し心配になって来たんだが……」


 ルーカスは、三人を眺める。


「皆でどこかへ行くのか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ