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異世界のんびり素材採取生活  作者: 錬金王
美食保護区採取編
193/218

黄金コーン

「異世界のんびり素材採取生活」の小説3巻とコミック2巻が発売中です。書き下ろしもありますのでよろしくお願いします。

 

「フランリューレさん、助かりました!」


「いえ、お互い様ですわ」


 にしても、ボムコーンは髭を燃やされるのが弱いんだな。


 他の場所に攻撃を受けてもピンピンしているのに、髭だけは敏感な模様。


 もしかして、髭が弱点なのではないか?



【ボムコーン 危険度B】

 人型のトウモロコシの魔物。

 纏ったコーンを内部で爆裂させることによってコーンを飛来させてくる。

 全身が肉厚なコーンに覆われており、生半可な攻撃ではビクともしない。

 ボムコーンの髭にはそれぞれ個性があり、艶やかで長いほど立派。

 頭部の髭が弱点であり、攻撃すると怒り狂う。

 髭が短くなると、元気がなくなり、コーンを装填できなくなる。



 そう思いながら鑑定をしてみると、ボムコーンの情報が出てきた。


 やっぱり、頭部の髭が弱点みたいだ。



 鎮火させ終わったボムコーンがゆっくりと立ち上がるなり、体を震わせる。


 狙われるは魔法を放ったフランリューレ。


 次の行動が予想できたので、俺はボムコーンの周りを囲うように氷壁を展開させた。


 俺たちに近い距離で受け止めなければ、コーンを破裂させたとしても支障はない。


 ガガガガガガガガガガッと爆裂した無数のコーンが氷壁に阻まれた。


 そのすべてが炸裂し、氷壁が一気に破砕する。


 氷の破片やコーンの破片がこちらに飛んできたので、風魔法で散らした。


 ああいった爆破系の攻撃をする相手には、氷魔法を使うのはあまり良くないな。


 自分の魔法が思わぬ方法で危害を加えかねない。


「とんでもない攻撃力ですわね」


「ですが、それがずっと続くわけではないみたですよ」


「そうなんですの?」


 崩れ落ちた氷壁の奥では芯だけになったボムコーンが、コーンを再装填している。


「よく見てください。コーンを装填する度に頭部の髭が短くなっていませんか?」


「あっ! 本当ですわ! それに最初に比べてコーンを生やすのも遅くなっているような?」


 コーンを採取しているだけのように見えて、フランリューレはしっかりとボムコーンのことを観察していたようだ。


 未知の魔物との戦闘は相手のことをしっかり見ること。


 それが冷静に出来ているだけで十分にすごい。


「どうやらボムコーンの弱点は頭に生えている髭みたいですね。あそこを攻撃することで元気がなくなり、コーンを生成できなくなるみたいです」


「なるほど! でしたら、あそこに攻撃を加えれば大人しくなってくださいますわね!」


 俺たちが続けて燃やしたこともあり、最初に比べるかなり短くなっている。


 このままコーンを爆裂させ続ければ、勝手に消耗して大人しくなるだろう。


 ボムコーンは再び身体を震わせてコーンを飛ばしてくる。


「ウインドベール!」


 それに対して俺はボムコーンの周囲に風魔法を展開。


 飛来したコーンが風のカーテンにすべて受け止められる。


 こうなってしまえば飛来するコーンは意味を成さない。


 ボムコーンは風の中を突っ切って脱出しようとしたが、風圧を強めると髭部分に切れ込むが入った。


 これには怒り心頭だったボムコーンも真っ青になり、安全圏である中心部分に座り込んだ。


 どっかりと体を投げ出して座る様は、まるで降参だと言わんばかりの様子。


「どうやら大人しくなってくれたみたい」


「ええ、そうみたいですわね」


 俺はウインドベールを解除した。


 警戒しながら近づいてみると、ボムコーンは襲ってくる様子はない。


 自慢の髭に切れ込みが入ってしまい、すっかり戦意喪失してしまったみたいだ。


 項垂れるように座っており、短くなった頭頂部の髭が悲しげに揺れている。



「なんだかすっかり元気がなくなってしまいましたわね」


 先ほどまで襲われていたというのに、思わずそんな感想を漏らしてしまうほどだ。


 ボムコーンの髭は時間が経てば伸びるだろうが、しばらくこのままにするというのは可哀想だ。


 そう思った俺はマジックバッグからポーションを取り出した。


「シュウさん、それは?」


「錬金術師の店で買った育毛ポーションです。これをかければ、ボムコーンの髭も伸びるかなと」


 世の中の男性は皆、毛根の死滅を恐れている。


 いつか必要になるかもと思って買っていたネタポーションではあるが、作ったのはサフィーだし何かしたの効果があるかもしれない。


「世の中にはそのようなポーションがあるのですね。人間用に開発された育毛ポーションが魔物に効くでしょうか?」


「わかりませんが、やってみる価値はあるかなと」


 フランリューレが頷いて許可をくれたので、ボムコーンの髭に育毛ポーションを垂らした。


「まあ! ボムコーンの髭がみるみる伸びていきますわ!」


「すごい。というか、魔物にも効くんですね」


 あっという間にボムコーンの髭は、最初の二倍以上の長さになった。


 ついでに髭の色艶もかなり良くなっている。


 ボムコーンは頭頂部にある髭が伸びたことに気づいたのか、呆然とした様子で自らの髭を触り、大いに喜んだ。


 意気消沈としていた姿が嘘のようで、嬉しさを表すようにその場で跳ねまわる。


「これを繰り返せば、爆裂コーンが取り放題ですわ」


 フランリューレの物騒な呟きが聞こえたのか、ボムコーンがビクリと固まった。


 俺も一瞬そんな思考がよぎったが、さすがにそんな鬼畜採取方法をしようとは思わない。


「さすがにそれをすると俺たちだけじゃなく、ボムコーンの身がもたない気が……」


 俺の言葉に同意するようにボムコーンが頭を縦に振り、おずおずと何かを差し出してきた。



【黄金コーン】

 ボムコーンから一つしか取れない貴重なコーン。もっとも甘みが強く、皮が硬い。

 茹でなくても生で十分に美味しく食べることができる、もちろん、茹でても美味しい。



 他のコーンに比べると、黄色みが強くほのかに光を放っている。


 どうやらボムコーンから一つだけしか獲れない貴重なコーンのようだ。


「黄金色のコーン! ボムコーンからこのようなコーンがとれるとは知りませんでしたわ!」


 フランリューレが興奮したように言う。


 どうやら彼女も知らない食材だったようだ。


「……これをくれるのかい?」


 ボムコーンは頭を縦に振って頷いた。


 そして、ぺこりぺこりと頭を下げて離れていく。


 これを上げるから育毛ポーションによる無限採取だけが勘弁してくれっていうことだろう。


 あれだけ爆裂コーンを回収させてもらったし、貴重な黄金コーンもくれたんだ。


 さらに追い打ちをかけて食材を剥ぐことはできないな。


 俺たちは森に消えていくボムコーンを見送ることにした。


「なにはともあれ、これで爆裂コーンも採取完了ですね!」


「わたくし、爆裂コーンの採取がここまで大変だとは思いませんでしたわ」


 安堵の息を漏らすフランリューレ。


 ボムコーンの危険度はヴォルケノスと同じBランクだ。疲弊するのも無理はない。


「休憩も兼ねて昼食を取りましょうか」


 見上げると太陽が中天の位置を過ぎている。


 朝早くに出発したこともあってか、お腹もペコペコだ。


 保護区に入ってから、ずっと歩きっぱなしの採取しっぱなしだからな。


「そうですわね。この近くにあまり魔物が近寄らない場所があるので、そこに向かいましょう」





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こちら新作になります。よろしければ下記タイトルからどうぞ↓

『異世界ではじめるキャンピングカー生活~固有スキル【車両召喚】は有用だった~』

― 新着の感想 ―
[気になる点] >コーンを飛来させてくる。 「飛来させる」ですと動詞的におかしいので「射出する。」で良いように思います。
[気になる点] トリコみたいだな
[一言] 更新ありがとうございます。 次回を楽しみにしています。
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