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異世界のんびり素材採取生活  作者: 錬金王
火山採取編
124/218

レディオ火山へ

『転生して田舎でスローライフをおくりたい』のコミック5巻が本日発売です。そちらも是非よろしくです。


 エルドにたどり着いた翌日。


 俺は早速依頼にとりかかるべくレディオ火山に向かうことにした。


 ドロガンとロスカは工房の方に顔を出すらしく、早くに朝食を済ませて出発していた。


 これからしばらくは別行動だろうな。


 少し寂しくもあるが互いにやるべきことがあるので仕方がない。


 宿を出発した俺は街を出る前に露店を確認する。


 この街にはドワーフたちに武具を作りにきてもらう人たちだけではなく、稀少な素材を手に入れるためにレディオ火山に向かう者もいる。


 そんな人たちのために役立つアイテムや道具が売っているのではないかと思ったのだ。


 ルミアの店でアイテムを買ったり、ドロガンに相談して出来る限りの物は買ったつもりだが念のためだ。


 厳しい環境だけに入念にやっておいて損はない。


 ドワーフのやっている道具屋に入ってみる。


 店の中には採掘道具やちょっとした武具、ポーション、アイテムがところ狭しと置かれていた。


 無造作に置いてある武具だが、どれもかなりいい物だと鑑定が教えてくれる。


 さすがはドワーフの作った武具。どれもこれも品質が高い。


 これらを買うためだけでもここにくる価値はあるだろう。


 剣や槍といった武器に憧れはあるけど、俺には剣術の心得もないので買うことはない。


 今の魔法を使った戦闘スタイルが性に合っているからな。無理して使っても怪我をしそうで怖いし。


 店内は冒険者の他に少年や少女がいる。


 制服を身に纏っていることから、この世界の学生だろうか。


「おいおい、アイテムって高いって聞いてたけどここまでするのか!?」


「僕たちの手持ちじゃ全員分揃えられない」


「……水は私が出せるから、二個だけ買っておこう」


「そうしましょう。この湧き水筒二つくださいませ!」


「毎度あり」


 どうやら彼等もレディオ火山に向かうようだ。


 そして、そのためにアイテムを買ったらしい。


 やはり暑さが厳しいだけあってか、それを和らげるためのアイテムは必須だな。


 学生たちが会計を済ませて出ていってから、俺もアイテムの陳列棚を覗く。


 その中にはルミアに売ってもらった湧き水筒もあったのだが値段がかなり高かった。


「高っ! ルミアの店で買った値段の二倍近くする!」


 これを二つも買うことができたって、さっきの学生たちはかなりお金持ちなんじゃないだろうか。あの年代の子供が持っている額じゃないだろう。


「レディオ火山のことを知りながら、現地で買おうなんて甘い奴にはちょうどいい値段だ」


 思わず呟くと、店主らしきドワーフが煙管を(くゆ)らせながら言う。


 どうやら聞こえてしまったらしい。


 確かに火山に行こうというのに装備を現地で整えようなんて甘いよな。


 厳しい環境地ならば、事前に調べて準備するものだ。


 店主はそれに対する戒めとして値段を上げているのだろう。


「魔法使いがいない限り、火山に入るためにそういうアイテムは必須だ。命を守るために高くても買うしかない。そして、俺は儲かる」


 違った。ただ、客の足元を見て値段を釣り上げているだけだった。


 あの学生たちも可哀想に。


 まあ、それが商売というものなので文句も言えないな。


 そう考えると、グランテルで大体の準備を済ませていた俺の判断は良かったのだろう。


 ここで揃えればいいと楽観視していたら、かなりのお金を浪費するところだった。


「既に他の街で準備をしてきたのですが、持っているといいものってありますか?」


「ほう、素直だな。そういう奴は嫌いじゃない。塩は持っているか? 水分だけとっても塩がないとぶっ倒れる」


「あります」


 水分だけじゃなく塩分も失われるので塩は十分に用意している。脱水症状でダウンしたくないからな。


「なら耐火性のグローブは? 火山の近くでツルハシを素手で握れないぞ?」


「うっ、耐火性がしっかりしてるかと言われると自信はないです」


 そのことについてはドロガンに注意を受けて、できるだけ厚手のものを買っているが、そう言われると不安になってくる。


「なら買っておけ。深部まで潜って採掘できないとか面倒くさいだろ。ここにあるグローブは火山に棲息している魔物の革を使っているから安心だ」


 店主に言われてグローブを触ってみると、しっかりとした革の生地だった。


 手にはめてみると、自前のものよりも遥かにしっかりとしている。これなら熱を通す心配もなさそうだ。


 でも、これも高いんじゃないだろうか。おそるおそる値段を見てみる。


「あれ? これはそこまで高くないですね」


「どこでもそれなりの値段だからな。釣り上げてもあんまり意味はない」


 先程の言葉を聞いたせいか、ちょっと疑わしいがここは信じることにしよう。


「では、このグローブをください」


「俺の言葉を信じるのか?」


「ちょっと疑わしく思っちゃいましたけど、アドバイス自体は的確でしたから」


「……そうかよ。毎度あり」




 ◆




 それからいくつもの店を覗いて十分な情報と道具を集めると、レディオ火山行きの馬車に乗った。


「馬車で行けるのはここまでだ。ここから先は歩いて向かってくれ」


「わかりました。ありがとうございます」


 小一時間ほど揺られると、山の近くで停車して降りた。


 これ以上先に進むには洞窟の内部から進む必要があって馬車では進めないのだ。ここからは徒歩での移動になる。


 見上げても山頂部分は視界に入らない。近くでみてみると今のところただの山のように見えるな。


 急な傾斜道をテクテクと進んでいくと洞窟が見えた。


 ここから山の内部に入って、奥へと進んでいくらしい。


 ヴォルケノスが棲息しているのは奥にある火山区画と聞いたので、かなり進まないとダメだろうな。


 暗い洞窟の中に入ると、内部は鍾乳洞のようになっていた。


 魔石調査を発動させると、頭上にたくさんの蝙蝠が張り付いているのが見えた。


 デミオ鉱山にもよくいた魔物だ。夜になると活発に行動するらしいが、今は朝方なせいか眠っているようだ。


 特に攻撃を仕掛けてこないのであれば構う必要はない。


 あまり足音を立てないように進んでいくと、開けた場所に出てきた。


 そこにはポツリポツリと動き回る――というか這いずる影が見える。




【ラゾーナ 危険度E】

 レディオ火山周辺に棲息するワニ型の魔物。とても獰猛で獲物を見つけると襲い掛かってくる。食用でありその身はジューシーな鶏肉のよう。



「おお、ラゾーナだ」


 つい昨夜に酒場で食べたラゾーナだ。


 手羽として見えていた手足がしっかりとついている。緑と茶色が入り混じった鱗だ。


 食べたばかりの魔物が実際に目の前で動き回っているのは何ともいえない感じだな。


 見た目からするとあまり美味しそうには見えないのだが、鶏肉のように食べやすくてジューシーなのは既に口にしてわかっているので見かけによらないものだ。


 ラゾーナは四頭ほどおり、二頭は端っこで眠っており、一頭はボーっとしており、一頭は元気に這いまわっている。


 多分、あの元気な個体の傍を通れば襲われてしまうのだろうな。


 元気な奴から離れるよう迂回して進んでいくと、岩陰に茶色っぽい草があり、赤い実がついていた。



【アツアツイチゴ】

熱帯地域で育つイチゴ種。食べるとほのかに身体が温まる。

 熱を通すと旨味が倍増し、冷やすと旨味がなくなる。ラゾーナの大好物。



 気になって鑑定してみると、この辺りに自生するイチゴらしい。


 実を手に取ってみると、熱を持っているのかほのかに温かい。


 水で洗いたいところであるが、冷やすと旨味がなくなるそうなので布で軽く拭ってから食べる。


 少し酸味の強いイチゴの味が口の中に広がり、呑み込むと仄かに体内が温かくなった。


 って、これから暑い場所に行くというのに温まってどうするんだろう。


 でも、熱を通すともっと美味しくなるみたいなのでジャムにすると美味しそうだ。


 冬になったらトーストに塗って食べると身体が温まりそうだな。


 ラゾーナの大好物だそうなので絡まれないようにササッとアツアツイチゴを採取していく。


 火山だけあって素材も特殊だな。他にもどんな素材が採取できるか楽しみだ。





お読みくださりありがとうございます。


『今後に期待!』

『続きが気になる!』

『更新頑張れ!』


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こちら新作になります。よろしければ下記タイトルからどうぞ↓

『異世界ではじめるキャンピングカー生活~固有スキル【車両召喚】は有用だった~』

― 新着の感想 ―
[一言] イチゴを撒き餌にすればラゾーナ獲れるかな?
[一言] 流石に一晩では蒸留酒出来なかったか(目反らし
[一言] 蝙蝠がいると臭そう 糞が落ちてるだろうしきついな
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