初めての冒険者登録
ステータスはあった方が強さがわかりやすいと思いました。
怪我が治る数日の間、僕の天使のアリスさんにテーピングしてもらったり怪我が治る魔法をかけてもらったりしていた。
買い物とか簡単なできることは手伝った。
「魔法って、ほんとにあるんだね」
「見るの初めてですか?」
「うん。僕の住んでた所、魔法使える人いなかったから」
魔法どころか、魔力なんてものゲームや物語の中だけの空想だ。
リアルで起こるようものなら、大事だ。
「それは珍しいですね。はい、終わりました」
包帯を巻き終わり、上着を着る。
服は血まみれになったから代わりに服を買って貰った。赤く染まったシャツやパーカーは珍しい服ってことで服屋に少量の金銭と引き換えに引き取られた。
「もう大きく動いても大丈夫そう」
「それならよかったです」
笑顔で頷いてくれる。天使だ。
かわいくて、やさしくて、以前の僕には眩しいものだ。今も眩しくて直視できないけど。
「クエスト受けに行きましょうか」
「うんっ」
宿屋から出て何分か歩いた場所にクエストを受けるためのギルドがあり、中に入るとこじんまりとしているがしっかりと清掃されているみたいで小奇麗だ。
受付窓口には美人なお姉さんが出迎えてくれる。
「いらっしゃいませ。クエストの手配ですね。冒険者の証は持っていますか?」
「はい。サイトさんはーー」
「持って、ない…」
そりゃそうだ。
あるのは学生証くらい。
「でしたら、冒険者になるために手続きを行います。こちらの水晶に手をかざしてください」
人の頭くらいある水晶を取り出してテーブルの上に置く。
僕は言われる通り手をかざしてみる。
すると、魔方陣が現れ僕を読み取る。
「はい。あとはかざした手でこの書類に付いてください」
「えっと」
「手を置くだけですよ」
戸惑う僕に優しく教えてくれる天使。
ドキドキしながら何も書かれていない紙の上に手を置く。すると、文字が現れ上書きしていく。
「これが今の貴方のステータスです。この書類が冒険者の証になりますので、なくなさいようにお願いします。あとはこちらの書類のこの部分に血印をお願いします」
「あ、はい」
用意された刃物で指を軽く切り、血を指に馴染ませ言われた所に指を強く押した。
「これで登録手続きは終了です。お次はクエストを選んでみましょう」
「簡単なクエストはありますか?」
「そうですね。初心者向けのクエストがいくつかあります」
まるでゲームでチュートリアルを受けている気分だ。
いや、チュートリアルか。僕は初心者なんだから。
「薬草20個の調達、モンスター3頭の討伐、隣町への荷物配達の3つがお手頃です」
このどれかから選ぶのか。
どれがいいのだろうか。
「では、この薬草採取のクエストにしましょうか」
「わかりました。ではこのクエストを受注しますね」
手続きを済ませるとギルドから出る。
初めてのことだらけで緊張している。ドキドキが止まらなく、なんだか体が震えてる気がする。これが武者震いってやつか?
「ステータスはどんな感じですか?」
「ステータス?」
「はい。ステータスに合わせて武器や防具なども買わないですし」
「防具、か」
冒険者の証を取り出し、ステータスの書かれた覧を見る。
上から名前と数値がいくつか書かれている。
■ステータス■
名前サイト=サエギリ
レベル 2
打撃力 12
防御力 6
魔力 0
俊敏性 5
打撃耐性 8
魔法耐性 0
運 0
◆アビリティ◆
不運の悪夢
「なんだこれ」
「どうかしました?」
「いや、なんでも」
見せられるものじゃなくて、恥ずかしくなってすぐにしまう。
「どうでしたか?」
「えっと、防具とか買うお金もないし、とりあえず簡単なクエストこなしてお金貯めようか」
「わかりました。心許ないですが、サイトさんが言うならばそうしましょう」
やっぱり天使だ。
僕はこの子の為に頑張ろう。
そう意気込んだ。