知らない世界
外国はどこもかしこも未知の世界。
知ってる言語があると安心感を得ます。
ここが日本、いや、自分が知っている世界の地形をしていなかった。
「サイトさんの居た場所、わかりますか?」
「えっと……これは」
わかるわけない。というか、ない。
アリスさんが借りた宿屋の一室、アリスさんが持ってきた地図には日本どころか世界地図のそれではなかった。
「どこだろ、実は僕、土地勘なくて」
「それは困りましたね…」
一緒に難しい顔をして地図を見つめる。
「それにしても、何から何まですみません」
「いいんですよ。困った時はお互い様です」
「本当に申し訳ない」
町に来たものはいいものの、財布はボタン付のポケットに入っていて無事ではあったが、そもそも住んでる世界が違うため(そのままの意味で)に使えないからアリスさんに出してもらい安そうな宿に泊まることにした。
ヒモになったみたいで罪悪感はあったが、怪我もしていて今の僕では何か役に立ちそうなことはなかったから言葉に甘えてお世話になることにした。
「わたしも手持ちは少ないですが、これくらいは平気です。またクエストでお金を稼ぐこともできますし」
「クエスト!」
僕の飛びつきに天使ーーもとい、アリスさんは驚く。
「あ、と、ごめん」
「いえ、少しびっくりしたもので」
「その、クエスト、僕にもできないかな?」
「できるとは思いますが…」
「お世話になってるし、お返ししたいんだ!」
このままずっとお世話になるわけにもいかないし、僕も当面の間生きるためのお金が必要だろう。
そう考えた瞬間、何か忘れている気がしたが、些細な疑問は振り落とした。
「そうですね。まずは怪我を治しましょう。話はそれからです」
「うん!」
数日後、僕は初めてのクエストを受けた。