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堕ちた勇者の英雄伝  作者: 学聖生
異世界チュートリアル編
25/26

黒い心は優しさを抱く

ストックがなくなりました!(悲)

筆か進む時と進まない時が激しいですね…。

 リンが嬲られ陵辱されてゆく様は、僕の心を壊すには簡単なものだった。

 ドス黒い感情が躰を締め上げ浸食して殺意の衝動を頭にいっぱいにさせる。


「苦しめ。泣け。喚け」


 一言一言、呪いを込めながら攻撃をする。


「吐け。もがいて、死ね」


 手を、足を、潰して裂いて、壊す。


「壊れろ。もっと苦しめ。リンを穢した罰だ」


 手が黒く、醜く染まる。

 足りない、血が、足りない…っ。


「……ごしゅ、じん…さ、ま…」

「リン!」


 服は所々に破れ、乱れ、地面に倒れ苦しそうな顔をしている。

 着ていた服を被せ、体を起こす。

 何か薬とかないかっ?


「よかった…ぶじ、だったんですね」

「僕のことなんかいいっ。リンは、大丈夫なのかっ!?」

「…わたしは、へーきです。ご主人様が、来てくれましたから」


 つらいはずなのに、平気なんかじゃないはずなのに、笑ってみせる。

 その姿が健気で、心が苦しめられる。


「今薬か何かないか探すからっ」

「いいんです…ご主人様、そばに…わたしのそばに、いてください」

「ああ、居るさ。ずっとな」

「ご主人様にもう一度会えたら、訊こうと思っていたんです」

「なんだ」

「お名前……教えてくださいませんか?」

「名前?言ってなかったか」

「はい。気になってました」

「そうか。サイトだ」

「サイト様……私、あなたに会えて、良かったです…」

「縁起でもない。ここから出るぞ」


 死亡フラグみたいなことを言いやがって。

 リンを抱きかかえ、フラつきながらも外に出る。

 早く、早く町へ……リンを医者に診せなければ。

 リンは疲れからか、気を失ったように寝ている。早く安全な場所へ行かなければ。

 ここは危ない。全員殺したとはいえ、他に仲間が居ないとは限らない。

 殺した……か。怒りで我を忘れていたとはいえ、僕はなんてことを……いや、あいつらが悪い。

 リンを辱め、いたぶったあいつらが…!

 そうだ、僕の邪魔をする奴らはみんな敵だ。敵は排除しなければならない。

 人であろうとモンスターであろうと。


「……はぁ、はぁ…」


 胸が熱い。息苦しい。まるで水の中で藻掻いてる感じがする。

 こんな時に病気にでもなったか。


「くそっ」


 気怠さはない。行ける。

 どこか安全な場所に……ここら辺は岩場が多いな。近くに村などはない。ここを通れば近道だ。


「迷ってる場合じゃない」


 リンを背負い、服を破いて落ちないように体に縛る。

 できるだけ崩れにくい所を進み、斜面を駆け上がる。

 登り終わると林道があり、くぐり抜けると一件の家が建っていた。


「どうしてこんなところに…」


 まだ林道は続いているはずだ。地図にはない。

 周りは木々に囲まれ、他には何もない。


「誰か居るかもしれない」


 居なくても休ませてもらう。

 敵なら倒す。ここなら誰にも見つからなそうだ。

 インターホン…は、ないか。そりゃそうか。

 扉を叩く。


「誰か居ませんか!」


 何度も叩いては呼び出す。

 だけど反応はない。


「誰かっ!!」


 扉破ってでも入ろうか。


「はいはい聞こえてるわよぉ」


 勢いを付けて蹴り破ろうとしていた所に扉が開き、ボサボサな長髪の女性が出て来た。


「中に入れてくれ!」

「いきなりなにい?ここには一般人は入れないようにしてるのに」

「通りすがりの冒険者だ。この子の様子を診てほしい」

「あたし、医者じゃないわよ?」

「ああ。……実は、盗賊にこの子が襲われて…」

「そ。まー、とりあえず中に入ったら?」

「邪魔する」

「邪魔はしないでねー」


 なんかやりにくそうな人だ。


「で、とりあえずベッドに寝かせてあげたわけだけど。あなた達、どうやってここに入ったの?」

「普通にそこの林を通ってだ」

「ここはあたしの魔術で近寄れないようにしてあるのよ。そう簡単には入れないのよねー」

「魔術?魔法とは違うの?」

「あなた、魔法は使えるの?」

「いや、魔力が無くて使えない」

「そう。魔力については知ってるの?」

「人とかモンスターにあるモノじゃないのか?」

「そこからなのね。面倒だわ。その子、汚れてるようだし、水でも浴びて汚れ落としてきて」


 説明してくれるんじゃないのか。

 だが、願ってもない。


「頼む」

「あたしにさせるの?」

「この子は女の子だ。女性の方がいいだろう」

「嫌よ。見ず知らずの他人の世話なんてしたくないわ。裏に水場あるから、好きに使ってちょーだい」


 中に入れてくれたのはありがたい話だが、人を突き放すような話し方はなんだ。

 人のことは言えないけど。


「ありがたく使わせてもらう」


 別に子供の裸には興味はないけど、本人の了承もないのに服を脱がすというのも虫の居場所が悪い。

 家の裏には使い込まれた井戸があり、近くに抱いてたリンを寝かせる。実物を初めて見る僕は使い勝手がわからないまま苦戦する。


「動くな。でござる」


 桶を井戸に入れる所まで理解した時、のど仏に光る刃が当てられた。


「何者だ。でござる」


 あんたが何者だ。と言いたいが、ヘタなことを言うと刃を肌に食い込ませそうだ。

 気配はなかった。ござる口調ってことは忍者?この世界にも忍者は居るのか。

 声は低いが女の子か。背中に感じる微かな柔らかさは女性特有のものだ。

 って事は、くノ一か。


「通りすがりの冒険者だ」

「名前は。でござる」

「サイト」

「目的は。でござる」

「そこに寝ている女の子の安全の確保と休息」

「なるほど。でござる」


 刃は引き、自由になり振り返る。

 まさかの和服だった。しかも、顔が幼い…というか、中学生くらいの女の子だった。


「では、私が補助させていただく。でござる」


 僕はこの世界はどういう時代設計なのか、疑問しかなかった。

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