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太陽と月のレクイエム  作者: 陽月 瀬南
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目覚めの時、滅びの時

みんなを助けたかった。

自我を持たず、ただこの世界のチカラを補うためだけに巫女にさせられた人たちを。

そう思うのも虚しく、あっという間に1000年が経ち、月の御子のつとめが終わろうとしていた。


「あなたが次の大巫女よ」

今の大巫女の言葉が頭をよぎった。

「私も仮面をつけられるのかな」

月の神殿の中に虚しく響く声。

最近、1人であることが怖かった。

思いっきり泣き叫びたいくらいの怖さにかられても、自分の力で進むしかない。

月の御子は、1人しかいないから。


「トワ」

私を呼ぶ声がして後ろを振り返ると、金色の髪に朱い瞳の子が立っていた。

「ヒナタ…?どうしてここに?」

「下界の視察。自分には関係ないこととは思えなくて。記憶が無いから、自分の目で見るしか無いし」

と言うが、ここは月の神殿。太陽の御子が立ち入ることは不可能なはず。するとヒナタは、

「ねえトワ。争いってどう思う?下界では、毎日のように君に似た人の多い国と、僕に似ている人が多い国で争ってる。今は講和を結ぼうとしているらしいけれどね。でも、争いの先に幸せってあるのかな」

と呟いた。スターライト王国と、スカーレット王国はずっと争い続けている。その先に幸せがあるかはわからない。私はそう思う。…ん、講和?

「嘘でしょ?あの2つの国が?」

「今やってるよ?互いの国境みたいだね。あそこでなんかやってる。ほら、朱い光と青い光が見えた」

ヒナタの指差す先には、たしかにスターライト王国の女王であり姉のルミナスと、スカーレット王国の国王ソレイユが向かい合っている。

「互いの力で"戒めの壁"を壊すみたいね」

「戒めの壁?」

「古くからあそこにあったそうよ。争いを激化させないために。それを取り払うということは、争いをしないって言う意味になるから」

その時、私の顔にうっすらと光が当たり始めた。ヒナタはハッと顔を上げ、

「まずい、夜明けだ。トワ、今日までお疲れ様。大巫女も頑張って!僕は最後のつとめを果たしてくるね」

と神殿を去った。



「トワイライト。あなたを次の大巫女とします。これを」

今の大巫女が、私に差し出したのは新しい杖だった。

「太陽も月もあなたが動かせるのです。オーブドラゴンも、あなた次第で眠らせることができます。もっとも、あなたひとりのチカラでは無理ですがね。ヒナタにもいずれ協力してもらいます。

それまであなたはドラゴンの生け贄です…。いつ殺されてもおかしくない生け贄よ…ふふふ」

一番最初に会った時の大巫女とは違っていた。

チカラが弱り、見るからに倒れそうだった。


私は、ドラゴンがいるという"虹の間"に連れていかれた途端、両手を拘束された。

「何っ…!?どうして!」

すると、目の前には大巫女がいた。

「あなたは知りすぎたのよ。天界のことも、ドラゴンのことも。だから眠ってもらうのよ…」

取り出したのは、"自制の仮面"そのものだった。

「いや、いやよ…。私、自分を失いたくなんかない!」

その時、私の脳裏に鮮烈に呼びかけてくるものがあった。

「た…て…、たす…けて…!!」

ルミナスの声にとても似ていて、鼓動が一気に早まる。

ふと横を見ると、下界が映し出されていた。


スカーレット王国と、スターライト王国が戦っている。スカーレット王国の先頭は、朱い羽を広げたヒナタだった。

羽は、神鳥の血を色濃く継ぐ証。

ルミナスは、神鳥の血を濃く継いでいなかった。

ソレイユの姿が無い。ヒナタの陣営を見ると、ソレイユを囲んでみんなが泣いていた。

「ソレイユ国王を、ルミナスが殺し…、ヒナタが記憶を取り戻して、大巫女に値するチカラに目覚めた…」

瞬時に理解できた。


戦いの前線で激しく光を放つ、一際明るい朱と青の光。

ルミナスとヒナタ。


ルミナスが必死に戦っている。

「記憶を取り戻したのであろうヒナタに敵うものは、誰もいない。絶望したでしょう…。かわいそうに。ルミナスが死んでも悲しまないように、楽にしてあげましょう」

大巫女が静かに言い、私に仮面をつけた。




「よくも僕の兄を…!許さない!」

「私じゃないわ!!」

「言い訳なんて聞きたくない!結果にifは無いんだよ…。僕の兄さんは死んだんだ!!」


意識がぼんやりとしている。記憶にも穴が空いているようだった。

体も自由に動かない。鎖が付いているわけじゃ無いのに。

でも考えることはできた。

誰かが私のことを必死に呼んでいる。

近くにいる人じゃ無い。私から遠くにいる人。


「いやぁぁぁっ!!」

呼びかけが断末魔の叫びに変わった。

あまりの現実さに崩れ落ちそうになった。

聞いたことのある声。誰の声?

でも分からない。

下界の映し出された壁を見ると、朱い光が強く輝き、青い光が静かに消えていった。

「死ん…だ?」

鼓動が早まる。息ができなくなるほど苦しい。誰、私のことを呼んだのは…。

死んだのは誰!

「輝き」

ふと頭に思い浮かんだ言葉。

「ルミ…ナス」


走馬灯のように、記憶が私の中を駆け巡った。

その途端、私は全てを悟った。

ルミナスはヒナタに倒された。

その傷は、再生を司る青いチカラをもってしても癒すことができない。

ヒナタを止めるには、私のチカラで滅ぼす他ない。


「どうして…?私、まだ何もしてあげられてなかったのに…!

どうしてよ…。無茶しないでって言ったのはルミナスなのに…。私、私…」

私の口からでた叫び声。大巫女がびっくりしたように振り向いた。

「ドラゴンが目覚めた…。私のチカラでなら、あと数十年は眠ったままのはずなのに!!」

私の強いチカラによってオーブドラゴンが目覚めてしまった。

世界が滅びるのも、もう時間の問題となった。



「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

恐怖や、怒り、全ての感情が込もった叫び声と共に、

キン!と高い音を立てて仮面が割れた。

その瞬間、私の背中には青い翼が生えた。

神鳥のチカラが目覚めた。

「目覚めたか。さぁ、あやつを止める手は1つしかない」

ライト二ング様が横に現れた。

私は流れる涙をそのままに頷き、天高く登った。

「手助けを…、お願いします」

それだけ告げると、全てのチカラを込めて、下界に青い光を放った。

みんなを守れなかった。

つとめも果たせなかった。

ただ怖かった。

これでチカラが枯れてしまっても構わない。短い人生だったけれど、私にできることは何も無くなった。


そして、私はドラゴンと共に世界を全て壊し、全てが眠りにつき、下界へと落ちていった。


地に落ちていた月の笛と太陽の笛は割れてしまい、この地に月も太陽も昇ることはなかった。


中途半端だなぁ。

gdgdだし笑

まぁ仕方がないです。ネタが切れてしまったので…笑

次は恋愛小説にチャレンジします。

この話がどうして中途半端で終わったのかも、次でわかるかも…?

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