1/11
楽しみの前兆
至らない点が多いかと思いますが楽しんで頂けたら良いです
魔王は一人寂しく玉座に座っている。
広い広間の奥で。
周りには誰もおらず、ただただ時間が過ぎていくだけだった。
魔王は思う「何故私はこんなことをしているのだろうか」と。
魔王は何年も何年もその玉座に座っている。魔王はいつしか寂しく思っていた。いつからかはもう思い出せない。
それぐらいの時が経っていたのだ。
ただし、今日の魔王は寂しく思いながらも少しワクワクしていた。
理由は今日、勇者が来るからだ。
勇者は1年に一回訪れる、魔王退治のために。
魔王も1年に一回の唯一の楽しみだった。魔王はこの日しか誰かに会うことはない。
けれども魔王は、心の中でどこか諦めも感じていた。
毎年勇者は来るが、結局は魔王にかなわず死んでいく。それが魔王を憂鬱にも感じさせていた。
「今年は・・・我に・・・魅せてくれるだろうか」