自己崩壊の定理
森見登美彦さんに影響を受けすぎたため、ほぼ同じような話に・・・
スミマセン^_^;
小説的、本の虫
私は今こそこのような学生にあるまじき混沌とした生活を送っているが、何も産まれたときからこのような生活を送っていたわけではない。むしろ聖人君子である。ツヤピカタマゴである。
このような学生にあるまじき生活を送るハメになったのはほかでもない我がクラスである2-Aと、吹奏楽サークル「放課後お楽しみ倶楽部」なるものが我が人生で大立ち回りを演じてしてくれてしまったおかげである。
少し私の話をしよう。私の体は私だけの意思だけで行動しているわけではない。私の中では終始クリスなる人格が「もっと積極的に行け!ひょおおおおおうううううううう」と常時叫び声をあげていて、ジェニファーなる人格が、「もうちょっと様子を見ようよう」と拮抗し、火花を散らしていて戦争状態である。こんな不安定な会議から導き出された行動を実行するのが私という悲しき生命体である。
次に我が姉の話をしよう。我が姉は奸寧邪知、邪知暴虐、極悪非道、人の不幸をおかずに飯を三杯食えるという悪魔も逃げ出すヒドイ奴である。一度怒ると手のつけようがなく、ハンガー、洗濯バサミ、目覚まし時計など、およそ平和なはずの文明の代物が牙をむいてこちらに襲い掛かってくるのである。
あくる日私が布団の中で寝ていると姉の怒声と共に我が愛すべき目覚まし時計が私めがけて飛んできた。私は急な目覚まし時計の襲来から逃れるべく、急いでリビングに飛び出した。そして寝ぼけた自分に喝を入れるべくパンを口に押し込み、卵を塩の塊にし、歯ブラシで歯をピカピカにし、母に蹴り出されつつ外に出た。諸君、春である。
私のジェニファーは大変早起きである。クリスがスヤスヤと眠っているうちから脳の操縦席で一人真面目な顔をして座っている。なので私は朝登校する時はとても物静かである。いや、いつも物静かである。そうなのである。だから同級生、サークルの後輩、宇宙人、誰と会おうと会釈を返すのが精一杯である。今日も校門前で後輩に「おはようございます」と言われアワアワ言っている間に後輩は行ってしまった。そこへ颯爽と横をマウンテンバイクが駆け抜け、車上の人物が「コミュ症ですね」と非常に的確な指摘を残しつつ走り去った。そのマウンテンバイクの持ち主とは箱根さんである。箱根さんとは、私の同級生であり同じサークルの女子である。その本質を突く言動は半径1キロメートルが凍り付く。しかし箱根さんよ、本質を突くということは時に人を傷つけるぞ。そんな事を考えていると、もう2のAの目前であった。
2-Aとは何か。それは授業中に不毛な喧嘩をし、全てにおいて迷惑以外の何物でもない無法者の集まりである。しかし読者諸君、間違いたもうな。この中にもましな人物もいる。箱根さん、同じサークルの村田と木暮、奇怪ではあるがまだましな絵木、憎むべき歯舞、そしてこの私である。しかしこの6人が同じ班に集まったため、他の班はごみの掃きだめ、いや、生ごみの掃きだめと化した。つまりは世も末である。
私には愛用のシャーペンがある。自分で選んだ木製のスタイリッシュなものである。4限目、私はいつものあの木の心地よい手触りを求めて筆箱の中に手を入れた。しかしなぜか。一向にその手触りはやってこない。その時隣から「げひひ」と、歯舞の危険な笑いが聞こえてきた。見よ。私のかわいいシャーペンは二等分の憂き目にあおうとしていた。この悲劇に対する私の叫びは蝦夷地にまで達したという。そう、この事件の被害者は私である。ならばお答えいただきたい。なぜ私は先生の前でチョコンと座っているのか。だれか答えろ。いや、答えてくれ。いや、答えてくださいませお願いします。
色々な困難を乗り越えた私は給食のパンに八つ当たりすることに決め、パンの中身をくりぬいて食べることに躍起になっていた。すると絵木が、
「随分不毛なことをしていますが、一つぱっとやりませんか?」
「お前はまた何をたくらんでいる?」
「さあ?何でしょう?別に魔田に何かしようとか考えていませんが?」
魔田とは何者か。こいつを説明するに詳しい説明はいらない。端的に言うと、暴君ディオニスのような性格に白雪姫の魔女のような笑みを張り付けたようなやつである。こいつは赤外線センサーのように張り巡らされた人の中を切って切って切りまくる極悪非道な所業を行い、そのくせ自分は廊下中に赤外線センサーのようにワイヤーを張り、コケる人を撮影しては暗い喜びを感じて楽しみ、いろいろな人を泣かせてきたのである。ことに私は正義漢である。
「貴方もワルですのう。くひひ。」
「もうすぐでっせ。」
私達は魔田を待つべく、靴箱の陰で身を寄せ合って隠れていた。絶世の美女ならともかく、誰がこんなむさい男と身を寄せ合いたいものか。近くを通る女子からの目線が刺さるようだった。私は自分で自分の身の不幸を哀れんだ。しばらくそうしていると、ついに魔田がやって来た。ワイヤーを持って今日も一段とイラつく顔をしている。
「せい!」
掛け声とともに私は絵木に命じ、糊入り特性練りけしを魔田の首筋の服の隙間を狙って投げ込んだ。するとネトネトした感触を感じて魔田が悪魔のような形相でこちらを振り向いた。
「にげるぞ、絵木!」
私が振り向くと、そこに絵木の姿はなかった。なぜ私は絵木を信じたのか。なぜ裏切りの疑いを1ミリでも持つことができなかったのか。なぜ私の人生はいつもこうなるのか。なぜこんな私を誰も救済してくれないのか。そしてなぜ誰もこの私の叫びに答えないのか。私は魔田に首筋を捕まえられそうになりながらも廊下を疾走しながら一人そう考えていた。
「新入生歓迎式、何する~?」
その時ふと失踪する私の耳にそのような会話が飛び込んできた。シンニュウセイカンゲイシキ?そう言えば私も吹奏楽サークルで出演があったような気がする?いや、まだだったはずだ。いや、・・・
「まだ行かなくていいんですか?」
本を抱えた箱根さんがいつの間にか横にいた。なんという影の薄さ。いや、気にするべきはそこではない。確か集合は昼休み前だった気が・・・。私は同学年の思いやりに満ちたスバラシイ行いに危うく決壊しかけながら階段に足をかけた。が、一つ気にかかることがあった、
「しかし、箱根さんは?」
「私は忙しいので。」
彼女はさして忙しそうにせずに至極普通に答えた。彼女は少々いさぎが良すぎるのである。まあ、わたしもそこが彼女のいいところだと思うのだが。
私が部室に入ると鋭い視線を感じた。仙崎である。仙崎とは、吹奏楽サークルの部長である。しかしその実態は仙崎の独裁政治である。しかしその独裁政治が私の美学に反すことは今更つらつら述べる必要はないだろう。従って私たちは源氏と平氏さながらに争いあっているのである。しかし仙崎には、「仙崎親衛隊」なる味方がいて、常に私の邪魔をする。ならばお前のほうにはいないのか?、と問われればそういう訳ではないのである。いるのにはいる。同じ少数派男子、木暮と村田である。しかし、なぜかこの二人が加勢するとよりこちらの敗色が濃厚になるという現象が起こるので、主に、戦力外通知を出している。というか、出されている。補足だが、この部活での男女比は10対1である。勿論、1がこちらである。この無意味な罵詈雑言の応酬によって読者諸君の真っ白な魂を汚し、アマゾンの熱帯雨林を伐採しつくすほどの紙を消費するのは私の本望ではない。よって、ここには記さないものとする。
「どうでもいいからさっさと体育館行って準備しろやごるぁ!」
もはや人間かどうか品性を疑うことを喚きだした仙崎に私が
「血圧高そうだけど大丈夫かい?」
と返した。すると、
「これ以上火に油を注がないで・・・」
と木暮が涙目で懇願してきた。しかし、私は澄まして答えた。あくまで、紳士的に。
「しらなかったのかい?火には油を注ぐものなのだよ。じゃないと消えてしまうじゃないか。」
木暮はうなだれて黙ってしまった。
私が体育館に到着すると箱根さんがテキパキと一人で黙々と働いていた。その手際はまるでベルトコンベアのように正確で素早かったので、私は思わず見入ってしまった。
「何をしに来たのですか?」
気づくと目の前に箱根さんが来ていた。
「君こそなぜ一人で働いているんだい?」
彼女はいたって普通に答えた。
「私が入ると、全員が蜘蛛の子を散らすように去って行ってしまったのです。」
私は氷点下0度の体育館を想像して身震いした。
新入生歓迎式はいたって普通に進行した。サッカーサークル、ソフトボールサークル、バドミントンサークル、テニスサークル、バスケットボールサークルと連続で私の顔にキック、シュート、スマッシュと叩き込んできたことを除けば。
様々過ぎる災難によって精神的に極度に疲労した私は、よろよろと部室に引き上げた。すると後ろに一年生が二人組で私に何かもの言いたげに見上げていた。
「どうしたんだい?」
私が気持ち優しめに問いかけると、身長が高いほうが答えた。
「吹奏楽サークルに入りたいんですけど・・・。」
これが後に私の運命を左右する人物たちの一人に入る、浅田君と多治君と初めて邂逅した瞬間だった。まぁ、この二人はあまりこの稿において、重要な役割はない。
これにおいて、私の春における主な出来事は終わりである。まあ、語ろうと思えばいくらでも語れるのだが。
拝啓
若葉萌えいずるの候、お元気ですか。挨拶はここらにして、歯舞、そろそろシャーペンと消しゴム返せ。なぜわざわざ、学業に支障が出るものだけをピンポイントで盗るのだ。これでは、GWの宿題が終わらないではないか。お前は確か美術家庭サークルだったか?いいなあ。こちらは土日も練習である。みんな気が早いもので、まだ二か月も先のコンクールのために気合が満タンなのだ。せめて、GWぐらいゆっくりさせてもらいたいものだ。というか、二か月の筋トレで筋肉はつくものなのか?そもそも私を巻き込まないでほしい。いけない。全てが愚痴で終わってしまうところだった。ところで、今度夏休みに一緒に京都にいかないか?木暮と村田、絵木と箱根さん、それと新歓の後に入部した同じパートの後輩も連れてくるつもり。取り急ぎ。
敬具
平成の石川五右衛門へ
ペン質を取られた健気な平民より
拝啓
挨拶は省略。全略。行ってやろう。シャーペンのことは、気にするな。GWに宿題とか余計なことを思い出すほうが悪い。男ならあきらめろ!いかん、全略した意味がなくなる。では、GWを楽しんで。
敬具
器のちっちゃい男へ
器のおっきい女より
追伸
お前に後輩?冗談もいい加減にしろ。どうせ、ろくなのにならない。それか、お前がろくでもなくするかのどちらかだ。
この朝、私は父の怒声によって飛び起きた。かくして私は突如出現したサハラ砂漠の穴からバンジージャンプをするのをやめ、現実へ戻ってきた。布団からゆっくり起き上がると、窓の外はセミの鳴き声と木々のざわめきで満ちていた。初夏である。
ホットケーキを口の中に詰め込み、家を飛び出すと、ちょうど箱根さんが私の家の前を通過するところだった。
「おはよう。」
と私が言うと、彼女は
「おはようございます。なぜ歯ブラシを口にくわえているんですか?」
といった。私は歯ブラシを引き抜いた。
「そう言えば、何故君はいつも敬語なのだ?」
「癖なの。」
私は彼女はこのままでいいと気づいた。
駅に着くと歯舞がオンラインゲームをしていた。
「よくもまあ、朝っぱらから出来るなあ」
「ストレス発散に効果があるからな。」
私は彼女ななかに潜む邪心を垣間見た気がし、震え上がった。
「とにかく全員来たから行こうぜ。」
歯舞が言うので、私はスマートに電車に乗り込んだ。
「ちょっと待って!」いきなり全員の声が重なり、私はまたろくでもないことだろうと予測した自分の判断力に酔いながら電車に乗り込んだ。その時私は聞き、見た。
「大阪行き急行、発車いたします。」
無情な気の抜けたプシュウゥーという音と共に我々が二つに分断されるのを。もちろん、1対7で。そして、にやつく満面の笑みの歯舞を。
結果、ついた時点で、最終の船鉾であった。なぜこうなるのか。わたしは罵詈雑言を受けるという憂き目にあいながら絶望した。私は皆に謝罪しようと思った。しかし、
「蕎麦を食おう、わんこ蕎麦だ!」
おもむろに、かつ無神経、さらに場違いな絵木の一言により、私たちはまことに唐突ながらアーケードにある風が吹けば壊れそうな蕎麦屋に向かうことになった。
「いらっしゃいませー」という店主の言葉を華麗に受け流しながら私たちは道路に面した席を陣取った。しかし、何故私が絵木の隣の席などという場所に甘んじなければいけないのか。できれば、1人で静謐な時間を、とおもわなくもないが、これも自己精進のための一環と、私はあくまで進んでこの状況を受け入れることにした。
「なに、不動明王のような顔をしてまんの。」
などという絵木の修行妨害を受けても私はあくまで平然としていた。そしてその後、私は目を開け、目の前の小悪魔たちに蹂躙された現実を見据える準備を整え前を向いた。私の前には途方もなく大きなわんこ蕎麦という名の塔が屹立していた。店内は閑散とし、道行く人の声が気持ち大きく聞こえた。
私は8人分の会計を済まして、怒りに震えながら、否、自分の忍耐を誇りながら帰途についた。初夏のセミがあまりにもうるさく、私は思わず奇声を上げた。そして、道行く人からの恐怖と侮蔑の目線を受けながら帰宅した。
これで夏は終わりである。まことに短く、凄絶な夏であった。
もう秋になった。この夏何をしたのか、そこは気にしてはいけない。大事なのは過ぎ去った時ではなく、過ぎ去ろうとしている時なのである。たとえそれがいつも何もしていないとしても、我々は常に平然としていなければならない。そう、ならないのである。異論は却下する。独裁政治というのならばいうがいい。どうせ内心の独り言である。別に、喋る相手がいないわけではない。
さて、秋と言えばと問うた時、食欲、読書などという輩は今すぐ潮岬で修行をしてくるべきである。運動などという輩は、万死に値する。学校の代名詞、しかし、それは悲劇という名のものがある。皆の者、低頭して聞くがいい。体育大会である。
体育大会とは何か。運動能力の高い奴の酒池肉林のチキンレース、いらぬ恥を全校生徒の前でさらけ出すというおよそ考えたくもない疑似地獄体験のできる日である。「つまりは運動が嫌いなんだろ。」という意見は却下する。私は断固として否定は却下する。肯定しか受け入れぬ。
当日、私は寝不足、不機嫌、運動不足の最低コンディションであった。別に、いつもそうなわけではない。
「私はサスケに行きます。」と、近くにいた箱根さんはどこかえいってしまい、私は孤独を飽きるほど味わう羽目になった。誰も、私に話しかけてこない。いつもの話だが。向こうで歓声が上がった。ちらりと見てみると、箱根さんが堂々網の仕掛けの上を走り抜ける所だった。
「なに、悦に浸ってるんですか?」
と、急に後ろから絵木が話しかけてきた。私は心底驚いたが、高貴な私が驚きを隠せないことがあるわけがない。私はいたって平然と、震えた声で答えた。
「深く人類の未来について思考していたところだ。」
「なにを、どうせわいせつなことでも考えて、卑猥な笑みでもたたててたんでしょ。」
「お前のような穢れた魂に、私の高尚な思考が理解されてたまるか。」
「まあまあ、そう取り繕わずに。おもしろいはなし、聴きたくないですか?」
「おまえの面白い話というのは、たいていろくでもないのだ。」
「そうでもないですよ。魔田が、女を連れているんです。」
私は嬉々として身を乗り出した。
校舎裏に行ってみると、その情報が真実だということが証明された。
「あいつ、どうやってあの仙崎をたぶらかしたんだ?あれじゃまさに野獣と野獣ではないか。」
「どうせ、卑猥な多種多様な超絶技巧で篭絡したんでしょう。」
「なぁ、絵木。」
「なんです?」
「地球平和のため、手伝ってくれないか?」
「ぐへへ。イエス、サー。」
結局、私も阿保なのである。
私と絵木は来たるべき戦に備えて、多忙を極めた。
「できたか?」
「いつでも。ぐふ!」
私は、このような心の汚れた奴だけにはなりたくないと思った。
「出撃!」
私は、あえて汚名をきることを選んだ。自己鍛錬のためである。
決戦の時、リレーの種目になった。
「続けては、・・・」
放送のアナウンス。魔田が態勢を整える。
「くひ。」と絵木が笑った。やはりこいつは、頭がくるっている。こんな奴にだけはやはりなりたくない。
「パンッ!」
子気味のいいごうほうとともに、魔田が飛び出した。その時、魔田のたすきが急にほどけ、後ろにたなびいた。それは、ふんどしであった。魔田は、驚いた顔をし、ふいに怒り心頭し、困惑した。恐らく、怒りたいのだろう。しかし、走りをやめても恨まれる。走れば恥をかく。つまり、板挟みなのである。私と絵木は勝利の雄たけびを上げた。とたん、魔田ににらまれた。私たちが小動物のように逃げ出したのは言うまでもない。
ちなみに、私はその後、部活対抗リレーに出た。しかし、あくまで私の走りが高度過ぎたため、凡人には遅く見えたのかもしれない。しかし、みな、間違ってはいけない。私はあくまで、しっぷうのごとく、走っていたのである。もういちどいおう。私はあくまで、しっぷうのごとく、走っていたのである。
その後、魔田と仙崎は破局したらしい。さらに、綱引きは私の引いてだめなら押してみろ作戦により大敗、思い通りの結末にさらに思い通りの終着、私の学生生活での敵は大幅に増えた。
これが秋のできごとである。別に、私が、季節が進むごとに友を失い続けているなんてことはない。しかし、私の孤独は、これにて急速に深まった。
寒風吹きさすむ中、私たちは体育館へと移動した。合唱コンクールの練習である。2月末の寒さの中、体育館練習とは。青春という炎で、奴らはあったかいのかもしれないが、私は極めて無駄を省いた体をしている上、燃すべき青春を持っていないので、私は大いに凍える羽目になった。
「なぜ、健気なのどを可愛がってやらないのか。それでも人類か?」と私が不平を漏らすと、仙崎が、
「お前ののどになど憐憫の情を垂れるだけ無駄。」と言ってきた。私はなにくそと応酬しようとしたが、練習が始まってしまった。指揮は歯舞である。先生が指揮をよく見るようにと言ってきたので、私は憮然とした態度で睨んだ。向こうもこちらを睨んだ。健気な私は、蛇に睨まれた蛙の様に縮こまるしかなかった。何故30っ分も、このような憂き目にあわなければいけないのか、と私は自分の不運を嘆いた。
もとより、この人生において、私は自分の孤独に対する耐性を信じてきた。しかし、だからと言って、このような孤独の最先端を走る必要もないのではないか。お釈迦さまも、遊びが過ぎるというものだ。そこまでしてお笑いをしたいなら、弁財天としろ。何故よりにもよって疫病神とするのだ。
その後、私は寒風すさむ二月の空の下、1人で帰った。
「人恋しさに負けるものか、人恋しさに負けるものか。」
私は呪文のように呟いた。もともと自分の蒔いた種だったことは認める。しかし、何故進んで嫌な役を買ってくれてやったのに、私だけが総スカンを食うのか。もううんざりだ。責任者はどこか。別に私は、なれ合いを必要としない。しかし、これでは孤高すぎる。もはや、孤高というには孤独すぎる。もとより自分の性格が生んだ災厄なのかもしれない。もういい。潮岬ででも悟りを開いてこよう。自己を変革、否、変革などできる訳がない。私が許さない。そう、一度崩壊させよう。これが、私なりの自己崩壊の定理だ。そう、人恋しさに負けない、強靭なメンタルと肉体を手に入れよう。実に益のない一年間であった。誰からも認められず、自己完結した一年であった。これからは、孤高の人生を送ろう。ああ、すっきりした。なんだ?周りが騒がしいぞ?歯舞、そう騒ぐな。なぜこちらへ来る。箱根さん、睨まないでくれ。おまえら、どうして急に?絵木、なぜ、付いてくる。木暮、おまえはあつくるしい。村田とたわむれるがよい。浅田、多治、ついてくるな。なに?遊び行く予定?ばかな。私にそんなことに誘ってくれるような友はいない。しかし、本当なのか?本当。そうか、そうか。では、みんな、いこうではないか。このような狭い世界とはおさらばだ。世界よ、さようなら。じぶんよ、さようなら。グッバイ!
これが、私の一年間である。本当に、中身のなく、実益のなく、実りもなく、なんら見習うべきことがなく、そして充足した、一年間であった。
読んでくださってありがとうございます。恐縮。
小説的、本の虫