悲鳴と懇願と
レイジたちが進む道には、肉塊が散らばっていた。壁は赤く彩られ、鉄臭い匂いを放っていた。
クロノリティアは鼻をつまみながら、それでも鼻腔を刺激し続ける悪臭に顔を顰める。
「何なのよ。臭いし、気持ち悪いし」
「前のグループが倒した魔物の死体ですね」
「さっきから死体ばっかでダンジョンとか言ってたわりに拍子抜けだな」
そんな雑談を交えていたレイジたちの元へと洞窟の奥から突如として悲鳴が聞こえて来た。その声に一同は顔を見合わせる。
「今のって……」
「ミッシェルたちのグループの女子の声だよね」
「だよなぁ」
それから幾許も無くレイジたちの前に左右に激しく揺れる明かりが二つ現れた。明かりの正体は、二人の女子生徒だった。激しく息を切らして、恥も外聞も関係無く顔をグチャグチャに歪ませていた。
息が整うのも待てずに女子生徒の一人がジルの袖を引っ張って懇願した。
「バ、っケモノ……、ガァ、たす。け……」
その声が音を紡ぎきる前に爆音が響き渡る。少女たちが来た方向で爆発が起きたようだった。爆風とともに焦げた匂いが鼻をついた。
突然の爆発に二人の少女は頭を抱えて泣き叫ぶことしかしなくなり、とてもじゃないが彼女たちの身に起きた事はもう難しかった。
「この先で一体何が起きていると言うのですか」
ジルは取り乱した二人の意識を奪い、アイリスのグリフォンの背中に縛り付けると洞窟の奥を眺めながらそうこぼした。その目線の先から足音が聞こえた。
身構える一同の目の前に現れたのはローナとミッシェルだった。




