朝の喧騒
「レイジ!いつまで寝てるのよ」
レイジの目覚めはクロノリティアの怒声と扉を叩く音で始まる。昨日の出来事はレイジが思った以上に体を疲弊させていた。大きく背伸びをしてスイッチを入れようとするレイジを鋭い視線が刺す。レイジは恐る恐る背後を振り返るとそこには頭から毛布に包まりながらレイジを睨みつけるネルの姿があった。
「騒々しい」
「悪りぃ、すぐに辞めさせるから」
低い声で物言うネルに対し、レイジは手早く着替えをすませると逃げるように部屋を飛び出した。昨夜にベルと約束を交わしたばかりだったが今のレイジにはまだネルとの関係を作るのは難しかった。復讐の炎に焦がれたあの目をまだ直視できなかった。
急いでネルから逃げ出したレイジだが、逃げた先でも鋭い視線に襲われる事になる。
「召喚獣の分際で寝坊とはいい度胸じゃない」
「落ち着いてよ、クロ。レイジくん、クロに聞いたよ。昨日は大変だったんだってね」
「だぁかぁらぁ!クロって呼ぶのは辞めなさいって言ってるでしょ!!」
レイジは部屋の前で言い争いを始める二人をネルが機嫌がさらに悪化する前に納めようとする。だが、レイジが行動を起こす前にクロノリティアの空腹の腹の音が場に静寂をもたらす。恥ずかしさに顔を赤く染めるクロノリティアにアイリスが助け舟を出す。
「レイジくんがお寝坊だからお腹すいちゃったよね、クロ。早く朝ごはんに行こっか」
「そうよ。レイジが遅かったのがいけないんだから。ってまた……、もういいわよ好きに呼べば」
二人はレイジを置いて食堂へと向かう。さっきまでの喧騒が嘘の様に仲良く並んで歩いている。今日はダンジョン探索の日だ。レイジは食堂へと向かう二人の後を追いかける。
「レイジ、あんた寝坊したから朝はパンだけね」
「そんなあ」
寮にレイジの絶叫が響き渡った。




