試合の対価
「エディはいるかしら」
勢いよく扉を開け放ち、部屋にいる一同の視線を集めながらクロノリティアは部屋へと入っていった。
クロノリティアは部屋の奥で数人の男に囲まれながら周りにある椅子より数段豪華な椅子に腰掛けているエディを見つけた。
「誰かと思えば、没落貴族のクロノリティアじゃねぇか。何の用だ」
「その呼び方、止めてもらえるかしら」
「俺はただ、事実っていうのを言っただけだけだぜ」
そう言うと、エディはけたたましく笑いだした。周りにいる男女も同じように、クロノリティアを蔑んだ目で見ながら。
これ以上何を言っても無駄だと悟ったクロノリティアは唇を強く噛み締めながらも話を先に進めた。
「エディ、あなたに頼みがあるの。私と試合をしてほしいの、リセッターとしてあなたと」
「つまり君はリセットをお望みということかい?払えるのかい、没落貴族の君が依頼料を」
「払えないわ」
クロノリティアは言い放った。きっぱりとはっきりと力強くエディを見据えながら。
「そこは自信満々にいうとこじゃねえだろ。まあいい、つまり君は対価で支払うということでいいんだな」
「ええ」
すると、エディはクロノリティアを品定めするかのように淫猥な目つきで上から下まで眺めた。クロノリティアの容姿は紺碧の短めの髪に整った顔立ちは美少女と呼ぶには十二分であった。
「ジロジロと見て何よ」
「いいや。なんでもないさ。それじゃあ試合の契約をしようか。試合の日時は明日の正午。こちらは君の召喚獣を殺す。それに対し君は俺に1日の間いかなる命令にも従順に従う。これで構わないかい?」
「ええ、構わないわ。ただひとつ付けあわせてもらいたいの」
「何かな?」
「召喚獣を殺す際は一撃で殺してほしいの」
「ほう、それは主人としてのせめてもの優しさかな?ふふっ、いいだろう。だが召喚獣が抵抗した場合はこちらの好きにさせてもらうよ、いいかな?」
「わかったわ」
会話が終わったのを見計らったように周りにいた男の一人が羊皮紙をエディにて果たした。その羊皮紙にいくつか書き込むとそれをクロノリティアに手渡した。
「それじゃあ、契約のサインをいただこうかな」
サインを書き込んだクロノリティアは羊皮紙をエディに返すと部屋を後にした。
クロノリティアが部屋から出て行ったのを確認するとエディはいやらしく笑った。
「ああぁ、楽しみだなぁ。彼女で遊ぶのはとても楽しそうだ。どんな顔をして楽しませてくれるのだろうか。いろいろと用意をしなければなぁ」