ネルの変貌
レイジの周りには当然のごとく生徒の人だかりができる。が、それも午前中だけのことだった。生徒たちは一通り質問をし終わると皆それぞれいつもの生活へと戻って行く。やっと 生徒たちに解放されたレイジはネルの元へ足を向ける。
「ネル?」
ネルは昨晩ととって違い元気もなく机に突っ伏していた。ジルが話していた時もだ。教室の端で一人だけ何の反応もせずにいた。
声をかけても反応を示さないネルに痺れを切らし、彼の肩に手を伸ばす。
「僕に構うな」
ネルは暗い視線でレイジを睨みつける。その目は昨夜とは全く別の印象をレイジに強く刻み込む。
「僕は誰にも干渉されたくはない。だから構うな」
それはただただ拒絶的であり閉鎖的であり憂慮的だった。訳も分からずに一方的に拒絶されたレイジは抗議の声を上げようとするが、後ろからそれを遮るように肩を叩かれる。それはクロノリティアの手だった。無言で首を振り、有無を言わさず手を引かれる。
「何なんだよ。昨日はあんなに親しげでっ、あんなに笑って話してくれたのに……。何なんだよっ」
「ネルはいつもああなのよ。夜と昼では人が変わったみたいに変わってしまう。だから誰も寄り付かない。かかわらなければ害はないからって」
「っ、でもそんなのって」
「彼はそれを望んでいるのよ。少なくても今の彼は」
それ以上、反論できなかった。なぜならクロノリティアが言っていることがその通りだと思ってしまったから。




