朝食の話題
朝食を求めてやってきた食堂は生徒たちで賑わっていた。ここでもレイジは注目の的になっていた。時折聞こえてくる会話もレイジのことで埋め尽くされていた。
「レイジくんてば、すっかり人気者だね」
「これは人気者というよりはいい話のネタにされてるだけだろ」
最初こそレイジの話題ばかりだったものの食堂の列に並んでいる間に生徒たちの話題はレイジのものから他のものへと移っていった。
「好きなものを選びなさい」
「好きなものって言われても……」
「お金なら心配いらないわよ。昨日の試合で賞金が入ったし」
「いや、メニューが読めない」
「はぁ、そういうことね」
メニューが書いてあるであろう看板には見たことのない文字が並んでいた。料理の写真はもちろんの事、イラストもなかったのでレイジにはどんなメニューがあるのか見当もつけられなかった。列に並びながら朝食のメニューを教えて貰ったレイジはひとまず胸をなでおろした。異世界に来てレイジはまだパンとアイリスの持ってきたサンドイッチしかこの世界の料理を目にしていなかった。食文化というものはその土地に根付いた変化をするものだ。主食の違いから始まり、辛いものばかりを食す土地もあれば、虫などの他の土地では口にすることもないものを食す食文化もある。その為、レイジは得体の知れない食材がメニューに並んでいる可能性も考えていた。その心配をよそにメニューに並ぶものは見知った名前の料理ばかりだった。レイジたちは料理を食堂のおばちゃんから受け取ると隅の方のテーブルで朝食をとることにした。
朝食の話題に上がったのは今日、会うことになった学園長のことだった。レイジが今の所知っているのは国王でありながら学園長も兼任していることだけだった。
「学園長はドルトブルグの国王でフェニックスを召喚獣にしているわ。国王の召喚獣は特殊で代々受け継いでいるのよ」
「それにものすごっく強いんだ。かっこよくて綺麗で憧れちゃう」
「ちょっと待てよ、召喚獣を受け継ぐってなんなんだ?」
「あぁ、そうね。国王の召喚獣は始祖の四獣の一体なの。世界が魔物で溢れかえっていた頃、四人の召喚士が四体の召喚獣を召喚し戦った。戦いの末、ほとんどの魔物を倒した召喚士たちはそれぞれ国を持ち、その子孫が代々国を受け継いでいるのよ。王から子へ玉座とともに召喚獣を受け継ぐのよ」
「ほへぇー。……って魔物っているのかよ」
「いるわよ。国から出たらすぐ会えるんじゃないかしら」
クロノリティアとアイリスに国王についての説明を受ける。クロノリティアは淡々と説明していたがアイリスは興奮していて説明というより茶々を入れているという方が正しかった。
「そういうわけで偉い人だから絶対に失礼のないようにしなさいよ」
「わかってるよ」
レイジはクロノリティアの説明を聴きながら一つのことを考えていた。なぜ、レイジたちと直接会おうとするのかということを。レイジは新色の召喚紋の召喚獣である。が、その把握のためなら国王がわざわざ会う必要はない。部下にやらせればいいことである。ではなぜなのだろうか。その疑問に悶々としながらレイジは朝食を平らげるのであった。




