3:僕は傍観者でありたいと願ってる
「知らない」と僕は答えたい。全力で彼女と同じように御曹司の存在をスルーしたい。
御曹司が語っている。
「愛しい嫁の視線を独り占めする男は誰なのか」と。出逢った瞬間から嫉妬という殺意を振りまくの、やめてくれません!?
少女漫画にはありがちな展開だけども!・・・僕の死亡フラグが軽すぎる!!
この展開、非常にまずい。
「朝峰、あとで説明するよ」
「…あの、王様…」
ご機嫌いかがですか。って、いい訳ないですよね!はい!!背中がそう語ってます。
だから殺意を向けるの、やめてもらえませんか。ここは学校ですけど!
「離して!」
彼女が御曹司の手を振り払っておうとしている。当然だろう。朝峰からしたら、突然知らない男に手を握られているのだから。
「いつまで私の手を握ってるの?それにだんだん力を入れるの、やめて。痛い!」
それは、君が御曹司をの「求婚」……………そうとしか僕には聞こえなかった。
みんなそう認識している「求婚」を無視して、他の男=僕に話しかけたのが原因だ。
おそらく嫉妬して、無意識に手に力が入りすぎたんだろう。
御曹司は女性だと見たら誰にでも、そんなことを言うような男じゃない。
それは、御曹司の人となりを(君が休んでいた)二週間、見てきた僕だから言える。
それはみんな同じだ。分かっていないのは、君だけだ。
……補足すると、御曹司が「俺の嫁」だと言った女性は、君ひとりだけだから!
御曹司は、唖然と彼女を見つめていた。
彼女の顔に浮かぶのは、紛れもなく嫌悪。こんな表情を向けられるとは。
その姿。同じ男として、同情する。
もし僕が愛しのカノジョにそんなことをされたら、傷心のあまり寝込むだろう。
二度と立ち直れないかもしれない。
・・・・・なんて思った。
それが、僕の間違いだったことは、あとで嫌と言うほどで思い知らされることになる。
この物語の道のりは、果てしなく長くなりそうな予感しかしないのだから。