3. 5歳になりました。
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(まさか赤ん坊に生まれ変わるとは)
転生と聞いて前の自分の体をこの世界に転送的なことをするのだと思ったが、この世界で生きていた人に魂を憑依させるようなことだったとは思わなかった。和樹のオタク話では元の人間の魂は別の世界の体に憑依してすべての世界の均衡を保っているらしい。この話はあくまで作り話などであって本当かどうか分からないがこのことはまた今度考えるか。
そんなことを考えていると、突然右側からドアの開く音がした。
入ってきたのはメイド服を着た女性だった。女性は驚いた顔をして部屋を出ていったと思ったら、女神様と同じような金色の髪と澄んだ碧色の瞳の男性と、輝いているような青みがかった銀髪に空のような色の瞳の女性を連れてきた。
(なんだ、なんだ。誰だこの人たちは)
そう思っていると。
「ねぇ、バーナード。私たちのルークが目を開けているわ!」
「あぁ、髪の色は僕で瞳の色はシャルロッテと同じで綺麗な空色だ」
(どうやら金髪が父親で銀髪の綺麗な人が母親のようだな。母親めっちゃ綺麗だな)
そんなことを考えていて思った。
(まてよ? 髪の色は父親と同じ金髪で、瞳の色は母親と同じ空色、顔は二人とも美男美女だから大丈夫だろう、……俺絶対イケメンだろ!)
前世の時は普通だったからちょっとうれしい。
☆
両親と初対面してから三年たった。俺は母親やメイド長のマリアが時々読んでくれる本や両親たちの会話でちょっとずつこの家庭や世界について知ることが出来た。まず、俺の名前はルーク・ディルフェンス。ディルフェンス家の長男。バーナードが貴族で、セフグランド王国にあるディルフェンス領の家に住んでいる。俺は貴族の子弟で、親が貴族ってだけで子弟は平民と貴族の間に位置する。この家は相当大きいはずだ、部屋を数えたら十六個部屋があった。俺は三歳でこの世界の言葉を覚えた、英語と似たような感じだったので覚えるのが楽だった、だがあえて今は子供みたいにゆっくり会話している。あまり目立ちたくないと思ってのことだ。今はまだ家を探索することしか許されてないけど、いずれこの家にある書斎に行って、魔法を覚えてみたい。
☆
あれから二年たって俺は五歳になった。五歳になったから書斎に入っていいと言われ今書庫に来ている。
「えーっと、魔法、魔法っと。あ、ここから全て魔導書!?」
書斎にある魔導書は本棚二個分あって驚いた。
「多すぎだけど、全部見てみたい」
今の俺は魔法のことしか考えてない。
「父さん、魔導書五冊くらい持って行っていい?」
俺は書斎にある机で羊皮紙を見ていたバーナードに敢えて目をキラキラさせて見た。この目で見られたら絶対にいいよって言うと検証済みだ。
「お! ルークは魔法を覚えてみたいのか?」
「うん!」
「そうか! 持って行っていいけど、ちゃんと元のところに戻すんだぞ?」
「は~い」
俺はそう言いながら書斎から出て自分の部屋に向かった。
「さて、どれから読むか」
持ってきた本は大体子供向けのものだったので一番上に合った『子供のための魔導書』を読み始めた。
読み進めていくと大体のことはわかった。簡単に言うとこうだった。魔法とは体の中にあるマナを体外に放出して、マナを基本的四属性である火、水、土、風、の他に光と闇と氷の七属性のどれかに変換させる。が、魔法発動させるときにイメージしていないとマナが暴走して爆発する。
大体の人は一つの属性しか使えないが例外もいる、およそ五百年前に魔王を封印した大賢者ルイーナは四属性と光が使えたそうだが、他の人が二属性でも使おうとしたら頭がおかしい人になるらしい。
(思った以上に魔法って怖いな。でも大賢者みたいに五属性とかやってみたいな)
他の本も読み進めるとこんなことが分かった。
魔法はマナを体の外に出すが、中には精霊魔法や紋様魔法と言ってマナを体外に排出するのではなく、精霊に食わせる代わりにその精霊がイメージした魔法のようなことをしてくれるのが精霊魔法。紋様魔法は物体にマナでイメージした能力を付加させる。
「魔法は一属性しか使えないのが難点だなー」
(それにしても、こうやって魔法の勉強していると、子供のころに陰陽術を勉強したのを思い出すなぁ)
そう考えていたとき一つの考えが浮かび上がった。
「魔法と陰陽術を混ぜ合わせれば、マナを使って陰陽術。ってことは複属性使えるってことか!」
(陰陽術学んどいて良かった~、前世宇野家でよかったわ)
「組み合わせるにしても魔法と陰陽術両方使えないと意味がないな」
取り敢えずの目標は魔法と陰陽術を使いこなす事と決めたとき、思い出した。
「あれ? そういえば、女神は雪女も転生させるって言ってたよな。えっと、確か、『雪女・実体化』」
そう言った瞬間、真横に雪女が現れた。
「うわっ! びっくりした」
「大輝様酷すぎではありませんか!? 五年も私のことを忘れるなんて!」
(おぉ。相当怒っていらっしゃる)
「いや、覚えてたよ? ちゃんと」
「嘘です! さっき『そういえば雪女は?』みたいな顔してたじゃないですか!」
「いや、だって。魔法だよ?面白そうでわくわくしちゃうじゃん?」
「魔法を言い訳に使わないでください」
「悪かったって」
「もう、今後は気を付けてくださいね」
「うん。ところで雪女、そろそろ誰か来ちゃうから実体化解除していい?」
「わかりました」
「『雪女・実体化解除』」
雪女の実体化を説いて一安心と思っていたら。
(あ、あの。大輝様…)
「!? 雪女なんで…」
何で実体化が解除されてないんだ。そう言おうとしたが雪女がちょっと透けてることに気付いた。
「一回実体化したら解除しても俺だけには見えるとかってやつ?」
(これでいつでも私のこと見れますね!)
勢いで言ってしまったのだろう。雪女は顔を赤くしている。
「自分で言っといて恥ずかしがるなよ」
と笑うと、雪女も一緒に笑い始めた。
(あぁ、なんかこういうの。すっげぇ幸せ)
笑ってる雪女を見てこう思った大輝であった。