2. どうやら俺、転生したらしいです。
遅くなりました。
区切ったら短くなっちゃいました。
「やっと終わった~」
今日最後の授業が終わると同時に和樹が呟いた。
「毎日そんなこと言っていたら切りがないぞ和樹」
「そんなこと言ってもよぉ、逆に大輝は毎日授業を楽しいって思ってんのか?」
「そういう訳でもないんだよ」
「どう言う意味だよ」
「毎日毎日そんな事を言っていたらいずれ耐えられなくなるよってことだよ」
「あ~、確かにそうだな」
そんなことを話しているうちに帰りのホームルームが終わった。
「大輝はこれからまっすぐ家に帰るんだろ?」
和也が聞いてきた。
「ああ、すまんが今日はすぐに帰らないといけないんだよ」
「ふ~ん、まぁいいけどよ」
「それじゃあ俺は帰るよ」
「おう、またな」
その後直哉と優斗とも話して俺はまっすぐ帰るために行きに通った桜の木を見ながら帰っていた。
(今日も物置部屋を探そう)
大輝は代々陰陽道で有名な宇野家の長男で、本来なら大輝が次期陰陽師として今頃修行に明け暮れていたであろう、だが、修行をしているのは大輝だはなく妹の紅羽だった。なぜ大輝じゃなく紅羽が修行しているかというと、大輝には陰陽師としての才能がなかったのだった、逆に妹の紅羽は期待の新星と言われるほどに才能に恵まれ、天才と言われている。その事実に大輝は陰陽師になる夢をあきらめたのだが、家の書庫からある本を大輝は見つけた、それは、『宇野家に伝わる秘術』、大輝は興味本位でその本を見ていたら、ある秘術を見つける。その術の名は『人体覚醒』人間の力はいつもおさえており、人間本来の力を出すことが出来る、『人体覚醒』を自分にかけて紅羽みたいに陰陽師になる夢をかなえるために材料を集めていた、そして最後の材料は代々宇野家に伝わる宝玉「|神玉≪しんぎょく≫」だがそれは宇野家のどこかにあるとしか書いておらず、今日も家に帰って探す為に友人たちと遊びに行かなかったのだ
(神玉さえ見つければ、家族と仲良く暮らして陰陽師になれるのに)
大輝は今までそれだけを考えていた、俺に才能があればこんなことにはならなかったのにと。
そんなことを考えていると、桜の木の反対側にある大道路に血を流しながら横たわる子猫を見つけた。
(急いで助けないと間に合わない!)
それだけを考えていたので、大輝に向かって走ってきているトラックに大輝は気づく事ができず、大輝のこの世界での人生が終わった。
☆
目が覚めたら見知らぬ部屋にいた、その部屋は掘りごたつがある日本ならではの和室だった。
その和室とは真逆な黄金のような髪に透き通った青一色の瞳のまるで漫画などに出てくる女神様のような人が寛いでいたが、俺と目が合うと慌てて寝癖を直した。
「ちょっ! ちょっとお待ちを!」
「あ、はい」
寝癖を直した女性は手元にある資料を見ながらこう言った。
「宇野 大輝さんですね? あなたは自分には陰陽師の才能がないと思っていますね?」
「ああ、だがなぜそのことを知っている」
「その話は置いといて」
(ごまかしたな)
「本当はあなたには陰陽師の才能があったのです」
「なっ! あったとはどういうことだ」
「訂正します、あったではなく|ある≪・・≫のです」
「どういう事か説明してくれ」
「いいでしょう。ですがその役目は私ではなくあなたの役目ではないのですか? 雪女 氷月さん」
そう女神は言いながら俺の背後を見ていたので振り返るとそこには、まるで雪のようにきれいな白い肌に、腰まで伸ばした黒髪によく合う白と水色の着物を着た十五か六歳くらいの女の子がいた。
(なんだ、この気持ち。どこか懐かしいような)
「私のことを覚えていますか? 大輝様」
(様!? どういうことだ)
「すまない、覚えていないんだ」
「わかりました。先ほど女神が言っていたことは本当です」
「俺には陰陽師の才能があるってことか」
雪女は無言でうなずいた。
「大輝様は三歳の頃に山の祠で私と契約したのです。契約の儀は成功しました、ですが、大輝様は気を失ってしまいその日から陰陽術が使えなくなったのです」
「なぁ女神様、なぜ俺は雪女と契約してから陰陽術が使えなくなったんだ?」
「それは、お雪女ちゃんとあなたのスペックが違いすぎてあなたの霊力をすべて雪女ちゃんとの契約の維持に使われていてあなたは術が使えないのよ。さらに言うと今は私の力で雪女ちゃんを見ているけど、今までずっとあなたのそばにいたのよ?」
「すみません、私のせいで今まで大輝様に嫌な思いをさせてしまいました」
「いや、雪女は悪くないよ。雪女との契約に耐えるのが精一杯の俺が悪いんだ」
頭を下げている雪女の頭を優しくなでてあげる。
「大輝様!」
雪女は嬉しそうに微笑んでいる。笑っている彼女はとても可愛い。
「雪女は笑っている方が可愛いよ」
素直な思いで言った言葉だが、とても恥ずかしい。だがそれは言われた雪女も同じのようだ顔を赤くして俯いている。
「あ~はいはいここでイチャイチャしないでくださーい。怒りますよ~?」
痺れを切らした女神が言ってきた。
「ところで俺はこれからどうなるんだ?」
「大輝さんには二つの選択肢があります。娯楽も何もないところで一生過ごすか、地球とは別の世界に転生して新しい人生を過ごす、どちらがいいですか」
「娯楽も何もないところで一生過ごすのは嫌だな、別の世界というのは自分で選べるのか?」
「選べます。具体的な例を挙げてもらい、一致する世界の中から選んでもらいますので、どんな世界がいいですか?」
「そうだな、これと言ってないのだが。そうだ、友人の言っていた剣と魔法があるファンタジー世界。でどうだろうか」
「わかりました。探しますので少々お待ちを」
大体五分くらい待ったら女神が言った。
「三つあります。難点を言っていきます。まず一つ目は国の治安が悪いですね。二つ目は治安は良いが、つまらないことですね。三つ目は少し治安が悪いですね。どの世界がいいですか?」
「そんなの三つ目しかないだろう」
「わかりました。では大輝さんが選んだ世界について説明します。」
「頼む」
「はい。まず大陸が五個あり、それぞれの大陸に国が作られています。一つは人間族の国、セフグランド王国。エルフ族のエルシオナ王国。獣人族のイルファノーテ王国。ドワーフのボナリア帝国。あと一つマジン族の住む大陸がありますが名前がなく、一般に魔人領と言われています。次にダンジョンについて、この世界にはダンジョンというものがあります。それと、あなたが生まれ変わったら人間属になりますので。」
「わかった」
「あ、それと異世界には雪女ちゃんも行くんだかね?」
「え!?!?!?!?」
唐突のことに驚く俺と雪女。
「大輝さんには妖を実体化させることのできるスキルを付けておくわね、そうすれば雪女ちゃんと仲良くできるでしょ?」
「「女神様って、何でも出来るんだな(ですね)」」
「女神ですから! まそれは置いといて、それじゃあ楽しい異世界生活を」
女神がそういうと眠気のようなものが襲ってきて俺の意識は薄れていった。
☆
(う、眩しいな)
そう思いながら目を開けると、見たこともないような天井があった。大輝はここはどこだ。と声に出そうとし時。
「あぅー」
(ま、まさか。)
もう一度何か言ってみることにした。そしたら。
「あ、あぅー」
大輝の予想は的中していた。
(まさか赤ん坊に生まれ変わるとは)
そんなことを考えていると、突然右側からドアの開く音がした。
ブクマ等ありがとうございます。
これからも頑張ります。