12. 対策
今後は、3日に1話投稿で行きます。
シュタインの襲撃から一ヶ月がたった。
学園は再建され、新しくなった。
そのついでに俺達の寮も作られ、今はそっちに住んでいる。寮の広さはとても広く、氷月が一人で家事をするには大変ということによりメイドが派遣された。若くて可愛いメイドが来て氷月は俺が不倫するんじゃないかと言っていたが、そんな事しないと誓った。
今俺と氷月は理事長の部屋の隣にある、大会議室に来ている。今日はこれから今後についての話し合いを教育委員会的な人達とするそうなのだが、一つ疑問がある。
今回の原因は俺達だとしても、こんな偉い人達が来る会議になぜ俺たちは呼ばれているのだろうか。
そう思っていると、俺の顔を見て悟ったのか理事長が説明してきた。
「何故ここに俺達が居るのか? そんな顔をしていますね、ルーク。そもそも今回の原因は貴方達にあります。よって今後の事にも貴方達は手伝ってもらいます」
やっぱりか。憂鬱になったものの会議は淡々と進んでいった。
会議での内容を纏めるとこうだ。学園には魔法などの攻撃を防ぐ結界魔法を張り、生徒が来ている制服には防御魔法を寄付させる。それから、俺達の当分の課題は魔物討伐になった。
それと、もし今後またシュタインが来たら俺達が討伐、無力化させる。
最後の所が一番厄介だな。遠回しにお前達でどうにかしろって、俺達は何もしない、そう言っているようなものだ。こいつらはそうやって生きてきたんだろう、自分は何もしないで他人にやらせる、なぜなら他人が招いた種だから。なんとまぁクズなお偉いさんだ。
会議は終わり、俺達は自分の寮に戻ってきた。
リビングで俺達だけの作戦会議をしていた。
「ルーク、どうするんですか?」
「どうするって何が」
「シュタインや魔物の事です」
「言われた通りに動くだけだろう」
「それでいいんですか?」
その質問に俺は思わず笑ってしまった。
「ただ……あっちが来るのを待つんじゃなくてこっちから攻めてやるんだ」
「ですが相手がどこにいるのかわかりません」
「そうでもないんだよ」
俺は前に情報収集した時の話を氷月にした。その後で俺が考えたことを話す。
「まず、シュタインは絶対にこの王都のどこかに居るはずだ」
「王都の近くであの魔物が出たからですね」
「あぁ、それに彼奴はこれをゲームだって言った。ゲームを楽しむ為にやっているのに自分がそこにいないでどうする」
「私たちの近くで見ている、という事ですね」
「さらに言うと、次襲撃に来る時は後になるはずだ、俺達が魔物を倒したから彼奴のストックも多くないだろうから増やすのに時間がかかるはず」
「だから自分達から行くということですか」
「だが、奴の空間魔法が問題だ、あれをどうにかしないと解決しないんだよ」
「シュタインを全方位から攻撃するとか」
「考えてもどうしようもない、取り敢えず今は情報が少ない、奴の名前もわかったし、またギルドで聞いてみるか」
俺達は課題である魔物の討伐とシュタインの情報を探すことにした。
☆
ギルドは人気が少なかった、昼頃になると冒険者は誰もいない。
俺達はカウンターに向かった
「こんにちは~」
「こんにちは。ルーク君」
今日もいつもの受付嬢に声をかける。
「今度からは魔物の討伐クエストをしたいんだけど、ある?」
「あるけど……魔物はいくらなんでも無理じゃない?」
「大丈夫だよ、ボク強いから」
そう言って魔物の討伐クエストを受けた後、俺は受付嬢に情報を聞いた。
「ねぇお姉さん」
「他に何かあるの?」
「ここからは内密で」
受付嬢は一瞬で察したようだ。気が利いてとても助かる。
「今回はなんの情報が欲しいの?」
「シュタインって奴の情報が知りたい」
「シュタイン……聞いたことがある。確かだいぶ前に貴族だった家系が犯罪を犯して平民落ちした貴族が居て、その貴族が生んだ子供の名前がシュタインだったって話」
「じゃあ奴は元貴族の息子か」
何かありそうだな。そう思っていると。
「もしかしてだけど、この前の魔法学園襲撃事件の犯人がシュタインだったり?」
少し感が鋭いようだ。
「そうだけど、他言無用でね」
☆
クエストを終わらせた後、理事長に課題の報告に来ていた。
「うん、今日もご苦労様」
「それじゃあ俺達はこれで」
「待って」
部屋を出ようとした時、理事長が引き留めた。
「何か?」
「ルーク君。シュタインについて調べているね?」
「何故ですか?」
「質問をしているのはこっちだよ」
「チッ。確かに情報を集めているよ、だがそれの何が悪い」
「どうせ君の事だ。自分が居ない時にヒヅキちゃん達が襲われかけた事に苛立ったんだろう?」
何故それを知っているのか不思議だ。確かに俺はシュタインに対して怒っている。氷月との学園生活を邪魔したのだ、苛立って当然であろう。
「図星だね?」
「氷月、先に寮に戻っていろ」
俺は氷月を見送ってから理事長と話した。
「苛立って当然だ」
「氷月ちゃんを襲ったから、だね」
「あぁ、だから俺が奴を殺す。誰にも邪魔させない」
「! まさか君がそんな事言うとは、驚きだよ」
「奴には当然の報いだ」
「ふっ、君は面白いね。いいだろう、力を貸そう」
「どういう事だ」
「君は空間魔法の対策をしていな、情報はこっちが集めよう」
「何を企んでいる」
「別になにも?」
理事長はニヤニヤしながら言った。
理事長は何を考えているかわからないが、これは助かる。正直一人じゃどうしようもなかった。
理事長の部屋を出た後、俺も寮に戻ろうとした時、後ろから誰かに抱き着かれた。
「どうしたんだよ、氷月」
「えへへ、まさかルークがそんな事を思っていたなんて知りませんでしたよ~」
嬉しそうに笑っている。どうやら理事長との会話を聞いていたようだ。
俺はため息をつきながら氷月をお姫様抱っこした。
「なっ! どうしたんですかルーク」
氷月は赤くなっていっているが、そのまま俺は寮に戻った。




