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落ちこぼれ陰陽師の異世界無双  作者: 忍神沙羅堕
第三章 新たな敵を倒します。
13/15

11. 黒幕

 あれから一週間がたった。

 一週間の間特に変わった事はなかったが、セシリアの様子が可笑しい時が多々あった、ボーっとしていて声をかけても気付きにくい時などどこか可笑しい所があった。

 俺は式神にセシリアの監視させていた。報告では独り言が多いらしい、俺もセシリアを監視すると、小声でブツブツと独り言を言っていた。


(何かの催眠術か、魔法の可能性があるな、黒幕を探すか)


 俺は深夜に氷月の部屋に来ていた。


「セシリアの件だが、何かに操られてるかもしれない」


「セシリアちゃんを使って私たちに危害を加える可能性がありますし、もしセシリアちゃんの本心でやっている事でなければ助けてあげたいです」


「あぁ、そうだな。明日俺は情報を集めてくるから家の事は頼んだ、いちよう式神は置いていくから」


「わかりました。気を付けてくださいね」


「あぁ、わかった」


「その後俺は自分の部屋に戻り、明日のための準備をし、寝ることにした。



 ☆



 ―――――翌朝。


 俺は早朝から理事長の部屋に来ていた。


「こんな朝っぱらからなんだい?」


「理事長にお願いがある」


「ほぉ、聞いてみようじゃないの」


 俺はセシリアの行動について理事長に話した。


「なるほどね、厄介ごとはあまり持ち込まないでくれると嬉しいんだけど」


「こればかりは申し訳ないと思っている」


 俺は頭を下げて言った。


「まぁ仕方ないか、今回の件は自分たちで解決しなさい。自分たちで招いたことですからね」


「わかっている、そこで、今日の課題は俺の分だけ今度に回してくれ」


「敵を探してどうするんですか?」


「場合によるが、穏便に済ませるつもりはない」


「わかりました。ですが、課題については五倍出します」


「五倍か、なかなか多いじゃねぇか」


「当然のことです」


「わかった、行ってくる」


 俺は理事長の部屋を出て王都の中心街へ向かった。


 まずは冒険者ギルドで情報収集することに決めた。

 ギルドの中は人が少なかった。冒険者は朝早くからクエストに向かうため、この時間はもう人が少ないのだ。


 俺はギルドのカウンターに向かった。


「すみません、ちょっといいですか?」


「あ、ルーク君。おはよう」


「おはようございます」


 俺はギルドの受付嬢とあいさつを交わした後、最近起きた事件について聞いた。


「う~ん、最近起きた事件か」


 受付嬢は「う~ん」と言って脳内の記憶をあさっていると。


「あ! この前だったかな? 新種の魔物が発見されたんだけどね、その魔物は色々な魔物がまるで合体したような姿をしてて、Aランク冒険者のパーティでやっと倒せたっていう事があったかな」


「その魔物について他に情報とかはない?」


「今のところは無いかな」


「そっか、ありがとう」


「なんで最近の事件について調べているの?」


「ちょっとね」


「ルーク君は強いけど、まだ子供なんだから危ない事はしちゃだめだからね?」


「わかってるって」


 俺はギルドを出た後も酒場等で情報収集をしたが、ギルドで聞いた魔物に関する話しか出なかった。


「情報が少なすぎる」


 行き詰った。情報が少なすぎて犯人が分からないし、そもそも魔物の話と黒幕が関係あるかもわからない。


 そう思っていると、俺の前に式神が現れた。これは何かあったのだろう。


 俺は式神を戻して魔法学園に戻った。だが、魔法学園は火事になったいた、と、言うより見たこともない魔物に襲撃されたいた。


「な! 魔法学園が!」


 俺は急いで職員寮に向かった。そこにあったのは、炎に包まれた職員寮だった。


 その時、俺の後ろから声がした。


「ルーク! 遅いです!」


「良かった。無事だったんだな」


 俺の後ろには氷月がいた。


「氷月説明してくれ。いったいこれはどうしたんだ!」


「説明は後です! 今は学園の地下にあるシェルターに行きますよ!」


 俺は氷月と一緒に学園の地下にあるシェルターに向かった。シェルターはとても大きくて、生徒全員と職員が避難していた。


 俺は氷月に連れられ、理事長のところに行った。


「やぁ、ルーク。随分と遅かったじゃないか」


「理事長、俺はどういう事ですか、何があったか説明してください」


「あぁ、わかった」


 理事長が説明してくれたことはこうだ。俺が学園を出た後、氷月に課題を出して、帰ってきた後、突如学園の全方位を大量の魔物が襲ってきて、生徒を非難させることを第一に、避難したらしい。


「それで、今の状況は?」


「私だけじゃあの量はどうにもできないし、職員や生徒には任せられない、それに、一つ聞くよ? セシリアちゃんはどこ?」


 理事長に言われて思い出した。セシリアが見当たらない。


 と、俺が周りを見ていると、氷月が話した。


「セシリアちゃんは……魔物が居るほうに走っていき、どうしようもできませんでした」


「これは私の推測だけど、魔物に学園を襲わせている犯人とセシリアちゃんを操っている人物は同一人物じゃないかな」


 ここまで来て話が繋がった。


「見た事もない魔物がこの前出たという事を聞いた、理事長の推測が正しいとすれば」


「そ。狙いは君たち二人の可能性が高いって事」


「なら、俺たちがやらないとな」


「そうですね」


「くれぐれも無茶はしないようにね」


 俺と氷月は地上に出た。学園の至る所で火事が起きている。


「魔物は俺が倒すから、氷月は冷え消してくれ」


「はい」


 氷月は元の姿に戻って走っていった。


「さて、いっちょやりますか」


 俺は氷月が走っていった方の反対側に走っていった。



 ☆



 俺は走りながら魔物を剣で切り落としていった。


「雑魚だけど数が多すぎて面倒だな」


 俺は一枚の呪符を出した。


『装備変換』


 俺が呪符を発動させると、持っていた剣が薙刀に変わった。


 俺はもう一枚呪符を出した。


『属性寄付・雷』


 薙刀の刀の部分が黄色く光バチバチと音を上げている。


 俺は薙刀で魔物を倒していくと、今までとは比べ物にならないほどの魔物が現れた。


「お、ちょっとは強そうなのがいるな」


 俺は地面に三枚の呪符を置き、一枚の呪符を魔物に投げた。


『昇華獄炎』


 赤い炎が魔物の周りを竜巻のように渦巻いている。


 炎が消えると、全身が焼け焦げ、俺のことを睨んでいた。そのまま魔物は俺の方に走ってきた。


 魔物がちょうど地面に置いた呪符の上を通る時に呪符を発動させる。


『爆』


 前使わずに終わった遠隔版の地雷である。もろ爆発を受けた魔物は倒れて絶命した。その時、空から声がした。


「やはり、失敗作では到底かないませんか」


「誰だ!」


「これは失礼、自己紹介がまだでしたね」


 そう言いながら男は空から降りてきた。


「私の名前はシュタインです」


「で? 今回の魔物の襲撃はお前の仕業か?」


「ええ、そうですよ。もっと言うと、セシリアちゃんの件も私が犯人です」


「セシリアはどこだ」


 俺が聞いたらシュタインは笑い始めた。


「あなたは面白い方ですね。ルーク君」


「何が可笑しい」


「あなたはセシリアちゃんがスパイだって気付いているんでしょう?」


「あぁ。そうだな」


「それなのに、あなたはあの子を心配するとは、馬鹿ですか?」


「何故セシリアはお前のスパイをやっている」


「私があの子に魔法をかけて従わせているんですよ」


「なぜあの子にそんな事をした!」


「あの子は私の駒です。私が好きにしようが勝手では?」


 何かがブチッと切れたような気がした。


「セシリアを返してもらう」


(こいつには一切の妥協はしない、人を駒という奴を生かしおく必要はない)


 俺は十一枚の呪符を出した。


「その紙切れはなんですか?」


「どうせお前にはわからない」


 三枚の呪符を投げた。


『連弾炎槍』


 炎の槍がシュタインに直撃した、はずだったが。シュタインは平然と立っていた。


「驚きましたか? 僕が開発した魔法ですよ」


 シュタインは俺に見せるように魔法を使った。その魔法はまるで別の空間をこじ開けているようだった。


「この魔法は別の次元に穴をあける事が出来るんですよ」


「ネタバレをしていいのか?」


「どうせ誰にもこの魔法は超えられませんからね」


「やけに自信満々だな」


「最高傑作ですからね」


 シュタインは「そろそろいいですかね」と、言って逃げて行った。


「待て! 逃げるのか!」


「いいえ。これはゲームです」


「私の魔法を超えてみてください。ルーク君」


 その言葉を最後にシュタインは空を飛んで行った。



 ☆



 シュタインが消えた後、俺と氷月で魔物を倒して、取り敢えずゆっくり出来る時間が出来た。俺は氷月の横に座り、シュタインのことを離した。


「じゃあ、ルークがシュタインって奴を超えればいいんですね?」


「そう簡単に言うな」


「なんでですか?」


「あの魔法は別次元に穴をあけて俺の術を消し去るんだよ」


「その魔法にも弱点があるのでは?」


「例えば?」


「消耗が激しいとか、一か所しか開けられないとか」


「そう簡単にいくかな」


「だとしてもルークには出来ますよ」


「どうしてそうなるんだ」


「私のルークに出来ないことは無いですから!」


 と、胸を張りながら言う氷月を見て苦笑しながら今後の事を考えていた。

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