9. 課題と初陣 ♯2
第二章の人物紹介を少し変えました。もしかしたらこれから人物紹介で紹介してない人物が出るかもしれません。そのたびに人物紹介に足していきます。
俺たちはギルドに登録した後に掲示板に来ていた。
掲示板には少ないがクエストが書かれた紙が貼ってある。
俺たちは今日出された課題はDランク級の魔物の討伐クエストのクリアなので、早速クエストを探していると三つのクエストがあった。
『オーガ×3体の討伐 Dランク』
『トロル×2体の討伐 Dランク』
『ハイコボルト×1体の討伐 Dランク 詳細:ハイコボルトの周りにはコボルトが多数いるので注意』
報酬は銀貨5枚で設定されている。
「正直どれでもいいが、一番楽そうなオーガで行くか」
「そうですね」
俺たちは紙をクエストカウンターに持って行った。
「このクエストを受けたいんだが」
「え! もうDランク級のクエストを受けるんですか?」
「あぁ、俺とこいつの二人でパーティを組むから問題ない、それと地図を貰えないだろうか」
「わかりました。こちらが地図です、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
俺たちは受付嬢に心配な目で見られながらギルドを出た。
「さて、次は冒険道具一式そろえるか」
「今回の場所は樹海の森なのでそんなに距離はないので一式そろえると逆に荷物になりますよ」
地図を見ながら氷月が言った。
「そうなのか、じゃあバックと食料、水、でいいか」
「そうですね」
俺たちは冒険に必要なものを買いに商店街へ向かった。
「それじゃあ氷月、買い物は頼む。俺は無理だ」
俺は交渉術は持ってないのでこういう時は氷月がやってくれるのを見ているだけだ。
「あの、この干し肉はいくらですか?」
「30Gだ」
「ちょっと高くはないでしょうか。だってこのお肉って鹿肉ですよね? 鹿肉ならもう少し安くてもいいのでは?」
「どうやってこの肉が鹿だって気づいたんだ?」
「筋肉の付き方などで鹿だとわかりました」
「なるほど、いいぜ。半額にしてやる」
「では買いましょう」
流石氷月といったところであろう。俺は鹿肉だなんて気づかなかった。
そんな感じで必要な物を買って俺たちは王都を出た。
☆
俺たちは樹海の森の中を歩いている。
王都を出てから二時間くらい歩いてようやくついた樹海の森で今オーガを探している。
オーガは洞窟などを作ってその中を住処にしているので洞窟さえ見つければこっちのものだ。
「洞窟見つけるって言ってもさ。洞窟を作れそうな岩山すらないんだけど本当にここにいるのかねぇ」
「取り敢えず探すしかありませんよ」
そんなことを言いながら数十分歩いていると崖の下にたどり着いた。
「崖ってことはこの辺に洞窟がありそうだな」
「ですね。右か左どっちを探しますか?」
「そうだな。あぁそうだ、式神召喚して探させるか」
そう言って俺は式神を憑代に憑依させた。
「お前たち、この崖にあるオーガの住処を探すんだ。いいな?」
そういうと頷いたので、探させてる間に俺たちは昼食を取ることにした。
「今日のお昼はサンドイッチを作ってみました」
「和食じゃないのか」
「やはり異世界なので和食だけでは無理だと思い作りました」
「そっか、まぁずっと和食だとさすがに飽きるからこういうのもありだな」
俺と氷月が昼食を食べていると式神が一体戻ってきた。どうやら住処を見つけたらしい。
俺たちが洞窟に着くと他の式神たちが見張っていた。
「ご苦労」
そう言って俺は式神を戻した。
洞窟の中に入るとオーガはいなかった。どうやら狩りにでも行っているのだろう。
「こっちとしては好都合だな。罠でも仕掛けて見張ってるか」
「罠なんてどうやって作るんですか?」
「これ」
と、言って俺は一枚の呪符を出した。
「この呪符は所謂地雷だ」
「地雷というと踏んだら爆発するあの地雷ですか?」
「あぁ、この呪符を洞窟の入り口に埋めておけば踏んだ瞬間に爆発してオーガは死ぬはずだ」
氷月に説明した後、洞窟の中を調べ、誰か捕まっていないか確認したが誰もいなかったので予定通り地雷をセットして外の木に隠れて待っていると、オーガが戻ってきた。が、オーガは小さな女の子を担いでいた。
(っ! まずい! あのままじゃ女の子まで爆発に巻きこまれる!)
「氷月! 作戦変更だ! オーガが地雷を踏む前に始末するぞ!」
「はいっ!」
俺たちはオーガに気付かれるのを承知し、作戦を変更した。
俺と氷月は同時に木陰からでてオーガに向かって走ると、オーガと目が合った途端。
「グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!」
鼓膜が破れそうなほどの咆哮をしたオーガに一瞬ビビったが足は止めづに走り続け、魔導陰陽術の射程範囲内にオーガを入れると俺は呪符をオーガに向かって投げた。
呪符がオーガの目の前まで飛んだと同時に呪符の発動をした。
『連弾炎槍!』
呪符が燃え、その炎が一瞬で複数の炎の槍に変わり、ドドドドドッ!っと音を立てながらオーガの腹部を貫いた。
「氷月! 女の子の安否を」
「はい!」
氷月は飛んでいったオーガの死体の横に転がっている女の子に近づき脈と呼吸を見た。
「怪我もありませんし、大丈夫です」
「良かった」
その後俺たちは式神に女の子を任せてオーガを二体倒して戻ってきた。
「戻った」
草をかき分けながら言うと。
「あ、あの!」
「ん? あぁ、目が覚めたのか」
「た、助けていただきありがとうございます」
「いや、お礼なんていらないよ。たまたまオーガを倒しに来たら君が捕まってて助けただけだから」
「で、でも。ありがとう、ございます」
「ルークは女の子にとってオーガが最悪の魔物だってことを知らないだけなのでお礼なんて大丈夫ですよ」
「ん? どういうことだ氷月」
「なぜオーガが女の子を攫って来たのかわかりますか?」
「何か理由があるのか?」
「女の子を攫って苗床にするためです」
「そうだったのか」
「だから助けられたことはとても幸せな事なんですよ」
と、俺が説明を受けていると。
「そ、その事なのですが」
「ん? どうしたんだ」
「私の村ではオーガに攫われたらたとえ苗床にされてなくても、村の掟でもう村には帰れないんです」
「なんだその掟は」
「仕方ないんです。孕まされてるのを隠してる場合が昔あったのでそんな掟が出来たんです」
「可哀想に、ルーク。この子どうにか出来ませんか?」
「どうにかって言われてもな。俺たちは寮生活だしな。ある可能性に賭けてみるか?」
「もしかして、理事長に相談する。ですか?」
「それしか方法ないだろ」
「ですね」
俺と氷月で相談して取り敢えずこの子の事は理事長に相談することになった。
「そういえば、まだ君の名前を聞いていなかったな」
「わ、私はセシリア……です」
「「よろしく、セシリア(ちゃん)」」
明日は忙しいので多分無理です。




