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残念な職業で、ゲームの世界に転生しました!  作者: 十宮ユウギ
第一章 〜彼らの残念な物語は始まったばかりだ〜
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この世界での魔王軍の幹部は結局踏み台なのである。

「降ろしてくださいよユウギさん」

「却下だ。少しは反省しろ」

「んな殺生な……」


 昨日の夜に俺の部屋に侵入してきたタスさんを物干し竿で干すこと三時間。辺りはすっかり明るくなり絶好の散歩日和になっていた。いや、しないんだけどさ。めんどくさいし。


「ユウギ殿、また美少女をおとしたのか……で、昨日はお楽しみだったと」

「はい、それはもう激しーーー」

「おい、誤解されるような言い回しはやめろ」

「ちえー」


 今日は朝から成雅に会った。どうやら今からダンジョンでレベリングをしに行くみたいだ。

 俺は断じていかないけどな。今日は家でゆっくりするって決めたんだ。


「どちらにせよ我にとってはリア充であることに相違ない。爆発しろ」

「断固拒否する。そういうのはウィンに言ってやれ」

「言ったのだがな……」


 どうやらもう言ったみたいだ。ていうかこいつ前まで俺以外と話せなかったよな。それなのに今じゃあウィンと肩を並べニ柱神と呼ばれる大物。彼女こそいないが本人の知らぬところでファンクラブが着々出来上がってたりする。こいつだけは同類だと思ってたのだが裏切られたような気分だ。


「それなのに『僕なにか君に恨まれるようなことしたかな? それなら謝るよ、ゴメン』と爽やかな笑顔で返してくるのだぞ! あの鈍感リア充が……爆発しろ!」

「それは盛大なブーメランだ。もうお前が爆発しろよ」

「ユウギさんの言うとうりです。私が言っているので間違いありません」

「あ、あれ……? 僕なにか悪いことしましたっけ?」


 おい成雅、素に戻ってんぞ。中二病ならもうちょっと耐えろ。あと、タスさん。いつの間に脱出した。頑丈にピアノ線で縛ったはずだぞ。


「私に不可能はありません」

「そうかそうか、それはよかったな」

「我忘れられてる……」


 それは気のせいだ、と言おうとしたがそれが口に出ることはなかった。

 なぜかというとーーー


『緊急クエスト発生! これより町にいる攻略者を強制転送します』

「「「は?」」」

「へ?」


 警告音がなったと思ったらアナウンスと同時に町の門の所にいたからだ。いや、なんだよ。超スピードなの? 催眠術なの? スタ○ドなんてこの世界にないはずだぞ。


「ここは……門前?」

「なんだよ、緊急クエストって……」

「くそっ! 俺はまだマックのハンバーガー食ってねえんだぞ!」

「俺はモスバーガーだ!」

「モスだと!? お前マックに喧嘩売ってんのか!?」

「お前こそ!」

「いやいや、ケンタッキーこそが至上だろ!」

「「「ぐぬぬ!!」」」


 どうやらこの場にいる人は皆戸惑っているみたいだ。一部の方は放って置こう。俺はファミマ派だ。異論は許さない。

 パッと見てここには五十人以上いる。鍛冶屋などの非攻略者をいれても三十人程度だったはずだ。入れなければ十五人あるかさえ怪しいくらいだ。

 たぶんNPCノンプレイヤーキャラクター、つまり元からいたこの世界の住人もまぎれているのだろう。やはり、この世界には俺たち以外にも攻略者がいたのか。

 勝手に自己解釈していると草原の向こうから黒い鎧を着、なにやらどす黒いオーラを放っている騎士が馬に乗りやってきた。

 この場にいる全員がそれに気づいたのかあたりは沈黙し緊張がその場に走る。

 そんな中、暗黒騎士が口を開いてからの第一声はーーー


わたくしは魔王軍の暗黒騎士舞台の幹部を務めている者でして、佐藤さとう道忠みちただと申します。あ、これ名詞です」


 どうもサラリーマンじみた挨拶だった。いや、幹部が何でそんな口調なんだよ。みんな固まってるぞ。

 つか、佐藤って……どう考えてもあれの関係者だよな?


「ユウギさん、魔王軍の幹部ってどう考えても厄介ごとですよね!」

「ん? ああ、タスさんか。まあ、そーだな。って、何でお前体半分壁にめり込んでるの?」

「転送された場所がここだったんですよ。まあ私はタスなので大丈夫ですけど」


 ああ、タスだからか、もうそれでいいや。ボクナットクシチャッタヨ。

 実際タスは何でもありだと思う。乱数調整でレベルいじったり、持ち物いじったり、所持金いじったりとなんでもできる。唯一できないのは自分以外に乱数調整を行えないことくらいだ。

 楽してレベルアップしようとしてお願いしたことがあるが、無理だったのは内緒である。


「というわけで、もうあれぶっ殺……ぶっ倒してきてもいいですか?」

「なにがというわけだよ……。まあ、いいんじゃないか?」

「それでは早速……」


 いつの間にか壁から脱出していたタスさんの周りに文字の羅列ができる。

 タスさん曰く魔方陣みたいなものらしい。ただ乱数調整するのは地味なので演出エフェクトをつけてみたとのこと。

 文字の羅列がタスさんの手に集中し、それがどんどん形を構成していく。

 しばらくするとアクション映画とかでしか見たことがないマシンガンのような物がタスさんに握られていた。


「じゃあこれぶっ放してきますね」

「お、おう。っていやいやいや!!」


 マシンガンに注意がいき、つい無意識のうちに返事をしてしまう。タスさんはすぐに走り去ってしまった。


「止めないといけねえのか……?」


 なんかもうどっちでもいいような気がしてきた。ほら、相手は敵だし……。

 とりあえず様子を見ることにし、草むらに隠れながらあの暗黒騎士が見えるところに移動する。そこには地獄のような光景が広がっていた。


「ほらほらほらァ! もっと早く逃げないと当たりますよォ!」

「ぎゃァァァァァあああああ!!」

「「「外道だ!? 外道がここにいる!」」」

「あれ? あんまり効いてませんね。ならこれならどうですか!」


 マシンガンをぶっ放すタスさんに、逃げ回る暗黒騎士、そして明らかに引いている攻略者たち。その光景はカオスだった。

 マシンガンをぶっ放していたタスさんの手からマシンガンが消え、どこかで見たような破壊力抜群の重火器が出てきた。つまり、ロケットランチャー、通称ロケランが出てきたのである。


「ハァハァハァ……やっとおさまってくれーーー」

「はいドーン☆」

「ぎゃァァァァあああああ!! 体が焼けるゥゥゥううううう!」

「「「やめたげてぇぇぇ!!!」」」

「あれ、こっちもあまり効いてませんね……こうなったらこれです!」


 攻略者の制止も聞かずロケランを収納欄インベントリに収納して今度はタスさんの手の中ではなく、タスさんを包み込むように文字の羅列が集まっていった。そして、それは正面に筒のような物がついた迷彩色の乗り物になった。

 どこからどう見ても戦車ですねありがとうございます。


 轟音が響き、戦車から砲弾が発射される。それは地面で痛さをたえているのか転がりまわっている暗黒騎士にむかって突き進んでいった。


「へ?」

『砕け散って宇宙の塵になりやがってください!』

飛騨ひだん秀康ひでやす、めぐみ……すまん。お兄ちゃん先に逝くよ……。ぎぃぃやァァァァァあああああああ!!!」

「「「佐藤ォォォォおおおおおおーーッ!!」」」

『ふっ、汚ねえ花火です』


 結果、タスさんの活躍により魔王軍の幹部、佐藤道忠は一方的にやられ倒れたのである。完全にこちらが悪役だったのは気のせいだろう。……気のせいだよね? うん、やっぱきのせいじゃねえな。




「つまり、お前はお礼をしに来たと?」

「はい……」


 気絶した暗黒騎士を回収し、なぜここにきたのか問いただしてみると、弟の飛騨の事でお礼を言いたかったらしい。

 

佐藤兄弟は全員幹部なのだが、一番下の飛騨だけ幹部どころか幹部候補にすらなれずグレてしまってたとのこと。まあ、確かにあの時は背中に喧嘩って書いてある法被ハッピのようなもの着てたからな。こっちの世界ではこれが一般的な不良なのだろう。


 それで、グレていたところに現れたのが俺たち二年B組の生徒。暗黒騎士曰く俺に倒されたことによって努力することを決意したらしい。

 俺が倒したことになってるのかよ……


「あいつが出家したと聞いた時は本当にビックリした。精神から鍛えなおすつもりらしい」

「出家しちゃったの!?」


 あの中二病が出家……。なんというか想像できない。ああいう性格のやつは根本から叩き直されそうだ。南無三。


 この後暗黒騎士を帰しました。勿論もうこの町にこないことも約束してもらった。本人ももう来たくないのか快く了承してくれた。


 ついでだが、暗黒騎士に食事でもと今度こそ城に招待してもらえることになった。その際に城の場所を教えてもらった。町とすごく近かったのは意外でした。……なんで今まで気づかなかったんだよ。

踏み台とは言ったが主人公のとは言ってない。

次回は主人公組で食事会プラスその他と行こうと思っています。

それでは次回も宜しくお願いします。

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