神様登場
「なんなんだよ、これっ!!」
「ど、どこなんだよぉ、ここ!!」
静かだった部屋が騒々しくなり、周りの人たちが狂ったように叫ぶ。
が、すぐに声がやみ、静かになった。
「 」
「 」
-いや違う。声が出せなくなっているんだ。
どういう事か分からないが声を出そうにも出せなくなっている。
他の人達もこの訳の分からない現象に驚いているようだ。
ちょ、ばっ、なんで?
そんなことを考えてると突然声が聞こえきた。
『やぁ、皆さんこんにちわ。私は----神様です』
え、なにこれ?
『これから君たちには私の世界、君達でいう異世界に行ってもらう』
この声の主は一体何を言っているんだ??
『君たちは私が今何を言っているんだと思っているだろう。安心したまえ。きちんと説明してあげるから。
なぜ君たちを選んだか?
それは君たちが伊勢会学園の人間だからだよ。』
はっ?確かに伊勢会学園に通っているけど・・・
『実はあの学園、私が作ったんだ。』
なっ!?
『ふふん、みんな驚いているね。元々あそこは異世界に連れていく人間を育てるために作られた学園でね。今年かなり有能な人間がいたからとうとう連れて来ちゃったんだ』
連れてきちゃった、てっ。
『さて、これから君たちが行く世界について説明するね。
君達が行く世界の名前はクォールド。
クォールドは君達の多くがプレイしたことのあるRPGに近い世界でね。魔法やスキルが存在するんだ。種族としては人間が一番多いだけど、エルフ、ドワーフ、獣人、魔族などがいるんだ。あと魔物も当然いるから』
ううむ、まさしくファンタジー・・・。
てっ違う!何受け入れようとしているんだ。
そんな、そんなことしたら趣味の読書ができなくなっちゃうじゃないか!!
『本当はこのまま送って行ってもいいんだがそれじゃあ私が面白くない。
そこで君達に異世界に行った途端に死なないように、いくつか特典を付けてあげよう。』
特典?なんだそりゃ。・・・・と言うよりもうこの状況に慣れてきた自分が怖い・・・。
『これが君たちへの特典だ。まずステータスと念じてごらん』
言われた通りにステータス念じてみる。
すると、
のわっ!?
いきなり目の前になんか半透明の板が出てきた。
いきなり出てくるとは・・・びっくりするなぁ、もう。
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名前:多神 荒夜(F)
年齢:18 性別:男 種族:人間
Lv: 1
HP:100/100 MP:500/500
スキル:
・翻訳読み書き ・アイテムボックス
・生産
・操糸術
称号:
・異世界人 ・操糸者
・Fクラス ・生産者
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うーん、本当にゲームみたいだ。
いや、よくよく見ればこのステータス手を抜き過ぎだろう。
『君達のスキルの欄に特典としてスキルをいくつか与えたから。翻訳読み書きはクォールドに存在する全ての言語を理解できるようになるスキル、アイテムボックスは何かをしまう時、しまう物を手に持ったまま『収納』と念じればしまえ、取り出すときはいつでも取り出せる便利なスキルなんだ。これはみんなに与えておいたから。あ、後それ以外のスキルは数や内容がそれぞれ違うからそこは注意するように』
翻訳読み書き以外のスキル?自分のは操糸と生産なんだが…。どういうものなのかさっぱり分からん
『スキルの能力とかはその名前を押せば説明部分が出てくるから。
転移させられる場所はそれぞれ違うから、そこは了承してほしいな。
よし、それではさっそく異世界クォールドに行ってみよう!!』
え、今から!?どっちかというと行くの反対なんですけど!
無意識に身構える。
『-と、おっと。その前にしなくちゃいけない事があった』
?何をし忘れたん-グっ。
一瞬視界がぶれたかと思うと、いつの間にかさっきまで1つの集団だったはずが2つに分かれていた。