プロローグ 始まりの日、全てが変わる日
『予言』
【『彼ら』は出会う。そして全ての『予言』が動き出す】
【『彼ら』は出会う。出会い、『彼ら』に関する全ての者たちが動き出す】
【『彼ら』の封印を解きし者、一人は炎を操りし者、他方は氷を操りし者】
【『彼ら』の仲間に成りし者、その数四人。紅き瞳の少年、青き瞳の少年、金色の瞳をもつ少年、翠と銀の瞳をもつ少年、四人は『彼ら』を守るために旅に出る】
【『彼ら』の最初の敵、それは次元の裂け目の魔物】
そこにあるのは暗闇。光の届かない場所。世間からは隔離された場所。そこにいるのは二人。
髪の色が、左が白で、右側が黒、左眼の色が紅の男。右眼は前髪に隠れて見えていない。
そして、もう一人は、髪は、白髪で右眼が青眼の男。この男も前髪に隠れて反対側の眼を見ることは出来ない。
そこは二人にとって、牢獄。城という名の牢獄。二人に自由は無い。そこから、全ては始まった。
それは、二日前の事・・・・・・。
僕の兄さん、―『フォルティア=フレイス』―が、この城のある異変に気が付いた事が全ての始まりだった。
光の届かないはずのこの城に日光が注いでいたのだ。
「おい! オルフェ! こっちに来てみろよ! 日光だ! この城に光が届いてるってことは・・・・・・、ふげっ!」
兄さんがなにか言おうとしたとき、横にあった本に手を伸ばし、兄さんに投げつけた。飛んでいった本は兄さんの頭に見事に直撃した。
「うるさいな・・・・・・。知ってるよ、そんな事」
読んでいた本を閉じながら僕―『オルフェウス=フレイス』―は不機嫌そうに顔を上げた。そして、
「兄さんが言いたいのは、この『予言』に出てくる『彼ら』が現れたって言いたいんでしょ?」
それでも、『彼ら』に会いに行くには、それなりに時間が必要だけど・・・・・・、と僕は思っていた。
「そういうこと。よし! 今からその二人に会いに行くぞ!」
・・・・・・。
「は?」
意味が分からない。『彼ら』に会いに行くには、三つぐらいの次元を超えていかなきゃならないから、結構な長旅になるし、今の僕たちの力じゃあ次元の穴一つ開けるのだって相当な力使うから大変―、
「ほら、行くぞ? 早くしないと、閉じちまうぞ?」
そこには、きれいな円を描いた次元の穴があった。
「いったいこれは・・・・・・」
兄さんは次元の穴を指差しながら、
「これか? コイツは、俺がこの七年間ずっと考え続けてきた術式で開けた次元の穴だけど?」
・・・・・・。・・・・・・この七年間に兄さんは何度か部屋にこもる事が合ったけどそういうことだったのか、と感心していると、
「もういいだろ? 後のことは移動中にでも説明するからさ。早くしねぇと閉じちまうんだって。コイツ、維持すんの結構大変なんだぞ!」
・・・・・・。・・・・・・ふぅ。
「どうでもいいけど兄さん・・・・・・」
一度は感心したものの、とりあえず聞かなきゃいけないことが一つ。
「ん?」
「彼らの所までどれくらいかかるのか知ってる?」
それぐらい知ってるよね。・・・・・・。
「・・・・・・。・・・・・・。」
・・・・・・えー。
「そ、そんな事知るか! 行きゃあ分かる!」
兄さんに盛大に逆ギレされた。
でも・・・・・・、
「(これから楽しくなりそうだ)」
そんなことを思いながら、僕らの旅は幕を開けた。
*
これが、二日前のこと。今、僕たちは、次元の穴の中を移動している途中。
「どうした? 急に止まって」
二日前のことを、回想していると、うるさい兄さんがなんか言ってきた。
「なんでもないよ。別に兄さんに心配されることはないよ」
「それが、お兄様に言う言葉・・・・・・、ふげっ!」
また兄さんが、うるさいので本を投げつけた。
兄さんは、あれからずっとうるさくて仕方ない。兄さんはなにかを見つけると僕に「おい! オルフェ!」と言って、話しかけてくる。僕は、集中して魔導書を読みたいのに・・・・・・、兄さんがうるさくて、集中できない。はぁ。ダメな兄さんを持つと大変だ。
「おいっ! 聞いてんのか!」
・・・・・・だから、うるさいんだって。
「兄さん・・・・・・。」
「ん? なんだ?」
「うるさいんだよ! 静かにしてくれないかな!」
このあと、僕たちは、延々と文句を言い続けた。
そう、あいつらが現れるまで。
こうして、僕たちの旅は始まり、そして『彼ら』の物語は、動き始めたんだ。
そして、向かうんだ。・・・・・・そう。僕ら兄弟と『彼ら』の物語が交錯するあの時間へ・・・・・・。




